スルガ銀行チャンピオンシップは、日本のルヴァンカップ王者と南米のコパ・スダメリカーナ王者が対戦する一戦だ。今年は8月1…

スルガ銀行チャンピオンシップは、日本のルヴァンカップ王者と南米のコパ・スダメリカーナ王者が対戦する一戦だ。今年は8月15日に開催され、浦和レッズとブラジルのシャペコエンセが対戦。シャペコエンセは昨年、コパ・スダメリカーナの決勝戦の会場に向かう途中、選手やスタッフを載せたチャーター機が墜落するという悲劇に遭った。現在は復興への道を歩んでいる。今大会の出場権、すなわちコパ・スダメリカーナのタイトルも、相手チームの計らいで手にしたものだった。そうした背景のある特別な一戦、試合後に浦和サポーターは温かい演出を見せた。
感動的な場面だった。遠藤の言葉を借りれば、「ああいうことができるのもサッカーの魅力」だ。
激しい球際の争いから両チームがもみ合う場面もあった。確かに際どかったが、PKの判定に対してシャペコエンセは執ように抗議し、それは試合後にも及んだ。当然、タイトルを欲する選手たちの熱い気持ちの表れだったろうが、決して気持ちの良いものではなかった。しかし、それがおそらく見る者だけではなくシャペコエンセの選手たちにとっても払しょくされるような出来事が試合後に起きた。
浦和のサポーターがゴール裏をシャペコエンセのチームカラーである緑に染めると、「Vamos nosencontrar novamente nos campeonatos mundiais!!Amigos!!!」、日本語にすると「世界の舞台でまた逢いましょう!! 友よ!!!」というメッセージを送った。
浦和のサポーターが相手チームにメッセージを送る、ましてや浦和以外の色に染まることは極めて異例だ。その光景を見たシャペコエンセの選手たちもゴール裏に向かい、ユニフォームを投げ入れて感謝の気持ちを示した。「PKではない」と試合後もなお主張したグローリも「あんなにきれいなサポーターの表現は見たことがない。(日本に来て)ずっと愛情、おもてなしを感じていたけど、最後にああいうメッセージをもらってうれしく思っている」と感謝した。
一方、シャペコエンセのファン・サポーターも浦和を拍手で迎え、日の丸を掲げるファンも。浦和のゴール裏とシャペコエンセの選手たちの様子を見ていた槙野はブラジルのファンたちの拍手に感謝しつつ、求められたユニフォームをためらうことなくシャペコエンセのゴール裏に投げ入れた。
タイトルを懸けた一戦だが、それだけではない。「日本と南米の結びつきをさらに強くすることができる大会」というアレハンドロ・ドミンゲス南米サッカー連盟会長の言葉どおり、両者の友好が深まった一戦だった。
文・菊地 正典