カーフキックで勝ち筋が見えていた試合が一転、ラウンド残り40秒で悪夢の右を被弾。ウエイトオーバーを受け実施されたグローブハンデ戦での、体がよじれる衝撃ダウン、壮絶KO劇にボクシング元日本王者が苦言。ファンの間でも波紋が広がった。 【映像】…

 カーフキックで勝ち筋が見えていた試合が一転、ラウンド残り40秒で悪夢の右を被弾。ウエイトオーバーを受け実施されたグローブハンデ戦での、体がよじれる衝撃ダウン、壮絶KO劇にボクシング元日本王者が苦言。ファンの間でも波紋が広がった。

【映像】体がよじれる衝撃ダウン

 4月28日に後楽園ホールで開催された「Krush.160」で、FUMIYAとジン・シジュンが対戦。1ラウンド終了間際、ジンの右のフックを被弾しダウンしたFUMIYAが追撃を受けKO負け。試合の主導権を握りながらの敗戦、しかも相手がウエイトオーバーでハンデありの試合での逆転劇に解説陣も含めファンからも様々な意見が飛び交った。

 当日4試合を綱引きで対戦相手を決める「K-1 vs Krush」のスーパーライト級4対4マッチの第一試合は、韓国からの刺客としてK-1選抜に加わったジンと「倒すか倒されるか」のKrushきっての激闘派FUMIYAの対戦。しかし前日計量でジンの250グラムオーバーが確認されたため、ペナルティとして減点1からの試合開始とグローブハンデが課された。

 試合開始とともに、FUMIYAはジンの左足へのカーフキックで試合を組み立てる。遠距離からジャブを散らしながらカーフと一貫性のある戦いぶりでペースを握ったかに見えた。

 しかし残り40秒、唐突な形で試合の流れは変わる。FUMIYAがサークリングしながら巧みに攻撃を仕掛けるが、ロープを背にした場面でジンが一気に間合いを詰める。解説の石川直生からも「近距離での打撃が強い選手」との特徴が挙げられていたジンだが、得意の間合いを見逃さず右のフックを全力でフルスイングすると”ズドン”と一発。まともに被弾したFUMIYAが腰から砕け落ちた。

 グニャリとマットに前のめり、必死で立ち上がり復帰するも足元がグラつき、身体はエビ反り状態で何とか踏みとどまる危険な状態だ。ジンは冷静に間合いを詰めてパンチをコンパクトに連打、ダメージが蓄積し立てないFUMIYAにゴングが要求された。

 この試合のゲスト解説でボクシング元日本スーパーライト級王者の細川バレンタインは「グローブが重くなった分効くんですよ…」とグローブハンデで10オンスと重く設定されたジンのパンチの威力について指摘。
 
 従来であればグローブの重さがハンデになるところだが、結果的にその重量が皮肉な結果をもたらしたという細川の指摘にファンからは「10オンスのほうが有利じゃないか」「ハンデになってない」という声や、ジンのウエイトオーバーを受けての敗戦ということもあり「スッキリしない」という意見があがった。一方で「あれだけクリティカルなパンチ、グローブのハンデは関係ない」「なんでガード下げたんだ」「スウェイで避けようとするから」など、ジンの攻撃の的確さ、FUMIYAのディフェンスの甘さを指摘する声も聞かれた。
 
  この勝利について、解説の細川は「ごめんなさい。俺はどうしてもウエイトオーバーした選手が勝つのは許せない、納得できない。だけど勝負ごとですからね…」と本音を明かすと、石川も「(計量に失敗すると)こういう見方になってしまうので、絶対に良くない」とウエイトオーバーへ苦言を呈した。

 勝ったジンもその点には自覚があるのか「相手に痛い思いをさせて申し訳なかったです」と控えめかつ低姿勢なコメント。鮮やかなKO勝利らしからぬ勝利後のマイクだった。