20チーム編成で突出したチームが少ないと言われる2024年J2。そこで注目される存在の1つが2シーズンぶりのJ1復帰を…
20チーム編成で突出したチームが少ないと言われる2024年J2。そこで注目される存在の1つが2シーズンぶりのJ1復帰を狙うベガルタ仙台だ。
2022年に12シーズン在籍したJ1から陥落し、今季でJ2・3年目となるが、原崎政人監督から伊藤彰監督(現金沢)が指揮した1年目は7位、伊藤監督から堀孝史監督(現横浜FCコーチ)の2年目はクラブワーストの16位に低迷。昨季途中に就任した庄子春男GM主導で育成型クラブへの転換を図っている真っ最中だ。
その方針に沿い、2015~2023年までU-17日本代表指揮官を4世代にわたって務め、久保建英(レアル・ソシエダ)や中村敬斗(スタッド・ランス)、菅原由勢(AZ)ら数々のタレントを輩出してきた森山佳郎監督を招聘。サガン鳥栖から完全移籍した相良竜之介や大卒ルーキーの石尾陸登らフレッシュな面々を軸に新たなチームを構築している。
「昨年は16位で、自信を失って強度も運動量もないところからスタートしたので、キャンプではかなり追い込みました。練習試合でも強豪にチームに0-5、0-6のようなゲームが続きましたが、最後の2試合くらいでやれそうな状況が作れて、開幕3戦でスタートダッシュを切れました。(開幕の)大分トリニータは最後に追いつかれたものの、第2節で(Vファーレン)長崎に勝って、ホームで(水戸ホーリーホックに)と連勝という感じで、いい入りができましたね」と指揮官も手ごたえをつかんだ様子だった。
■実力を出せなかった前半
その後も4試合無敗で上位争いに参戦したが、第8節・愛媛FC戦で今季初黒星を喫してしまう。藤枝MFYCにも勝ち切れず、いい時と悪い時の波があるのが現状。それが若いチームというものなのだろう。
「前節の(モンテディオ)山形戦でいい試合ができたり、横浜FC戦も後半に尻上がりに交代選手を含めてグッとよくなったりしましたけど、上位にはいい戦いができるけど、下位チームには勝ち切れない傾向がある」と指揮官が言うように、まだコンスタントに高値安定というわけにはいかないようだ。
こうした中、迎えた4月20日の第11節・清水エスパルスとのアウェー戦は真価を問われる一戦だった。相手は首位で、権田修一や北川航也ら日本代表経験者もいるチーム。そこに互角以上の戦いができれば、今後に向けて大きな弾みがつくはずだった。
ところが前半の仙台は全くと言っていいほど実力を出し切れなかった。守備がハマらず、攻撃時も1人1人がパスの出しどころを探している状態。テクニカルエリアの森山監督がポジション修正の指示を出し続けるほど、うまく行っていない状況が色濃く感じられた。
「大卒選手もいる中でアウェーで満員っていうのは、経験の少ない選手にしたら難しさもあったと思う。そこで自分たちがもう少しいい方向に持っていってあげたらよかった」と中島元彦も反省の弁を口にする。それにしてもシュートゼロというのはいただけなかった。
■「全く面白くない前半45分を過ごしてしまった」
「ざっくり言うと、全く面白くない前半45分を過ごしてしまった」と指揮官も酷評したが、確かに相手を怖がっている印象が強かった。今季4得点の相良にしても、吉田豊とルーカス・ブラガに徹底マークされ、仕事らしい仕事ができない。そうなると彼だけでなく、他の攻撃陣も消極的になってしまう。まさに悪循環に陥ったのだ。
厳然たる事実を監督にズバリ指摘されたら、選手たちも目の色を変えざるを得ない。森山監督はサンフレッチェ広島ユースを率いていた頃から、愛ある中にも歯に衣着せぬ物言いをする指導者として知られていた。
久保らを教えていた頃も「今、ここにいるやつでA代表まで残る人間はほとんどいない」と危機感を煽り、闘争心に火をつけていた。「ゴリさんから言われた激しく戦うメンタリティを今も忘れたことはない」と菅原も強調するように、心に響く言葉を投げかける。そこが仙台の面々にとっては大きいのだろう。
後半は反撃への姿勢を鮮明にし、最終的に中島とオナイウ情滋がゴール。2-3まで迫った。勝てはしなかったが、気迫と粘りを示せるようになったのは確か。そこが森山・仙台の1つの前向きな変化ではないだろうか。
(取材・文/元川悦子)
(後編へ続く)