ヤマハスタジアムで行われたジュビロ磐田と名古屋グランパスの試合は前半8分に倍井謙が、左サイドから巻くシュートを決めて幸…

 ヤマハスタジアムで行われたジュビロ磐田名古屋グランパスの試合は前半8分に倍井謙が、左サイドから巻くシュートを決めて幸先よくリードを奪った。そこからもアウェーの名古屋が堅実な守備と2シャドーの倍井、森島司を生かす効果的な攻撃で、試合の主導権を奪っているかに見えた。

 しかし、倍井が味方からパスを受けて、ドリブルに入ろうかというところでコントロールミス、慌てて拾いに行ったところで、ボールを処理に来ていた磐田のDFリカルド・グラッサをスライディングで倒してしまう。上田益也レフェリーは一発退場と判定。残り時間を10人で戦うことになった名古屋だが、3ー5ー2から5ー3ー1に形を変えながら、冷静に磐田の攻撃に対応して、攻撃では効果的なカウンターと時間を進める狡猾なゲームコントロールで、相手にリズムを握らせなかった。

 そうした戦いをゴールマウスから支えたのが36歳のGK武田洋平だった。名古屋の守護神であるミッチ・ランゲラックのコンディション不良により、前節のアビスパ福岡戦でもスコアレスドローの試合を支えていたが、磐田戦はランゲラックが復帰する可能性もあった中で、前日の練習までコンディションを見極めた上で、武田の連続出場が決まったという。

■「本来ならセカンドキーパーじゃないぐらいのポテンシャル」

 長谷川監督は「2試合連続クリーンシートで終えてくれたことはチームにとって非常に大きいですし、頼もしいベテランだというふうに思っています。ああいう選手がいたからこそしまった試合ができたと思いますし、今後も武田をしっかりと盛り立てて、チームとして戦っていければ」と改めて信頼を語った。

 中盤で獅子奮迅のプレーを見せた米本拓司も「本来ならセカンドキーパーじゃないぐらいのポテンシャルの高さを持ってるキーパーだと思うので。何も心配してなかった」と語る。

「むしろシュート打たせて求めてくれるというぐらいの気持ちで、前節も、今節も入れてたと思うので。みんなが信頼して。シュートを打たせる時も、みんながタケさん信じてコース切ってると思うので。本当にみんなから信頼されてると思います」

 その武田は「簡単なゲームじゃないとわかっていたから。とにかく入りをしっかりというところかな」と試合を振り返るが、10人で守りながら磐田のシュートを13本、枠内に打たれたシュートを2本に抑えた結果について「ほんまに、みんな頑張ってくれたし、攻守ともにみんな素晴らしかったと思うので、その結果やと思う。キーパーに限らず。でかい勝利やと思います」とあくまで、チーム全体の頑張りがあってこその勝利であることを強調した。

 試合が終わった瞬間は「やあもう、終わったという感じ」と安堵したというが、10人になってからもチームが集中して、やるべきことをやり切る背後に、どっしりと構えるベテランGKの存在があったことは間違いない。

(取材・文/河治良幸)

(後編へ続く)

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