(写真:Getty Images) 今夏のメルカートはACミランが話題をさらった。昨季に中国資本への売却が決定し、31年間ボスとして君臨したベルルスコーニが去った。新時代の幕開けを迎えるミランは、次々と選手を獲得して新しいチームへ生まれ変わ…


(写真:Getty Images)

 今夏のメルカートはACミランが話題をさらった。昨季に中国資本への売却が決定し、31年間ボスとして君臨したベルルスコーニが去った。新時代の幕開けを迎えるミランは、次々と選手を獲得して新しいチームへ生まれ変わっている。

 驚きとともにミランの本気度が伝わってきたのはボヌッチの獲得だ。ユベントスの6連覇すべてに貢献した中心DFの移籍は、今夏のセリエA最大のトピックスとなった。そして、新時代の顔の一人となるドンナルンマとの契約延長に成功し、ラツィオの核だったビグリアも獲得。さらに昨季に躍進したアタランタからコンティとケシエ、若くしてポルトの背番号10を背負ったアンドレ・シウバら将来性豊かな選手も加わった。ストライカーの獲得は執筆時点でまだ発表されていないが、最後のピースもきっちりと埋めてくるだろう。あとはモンテッラ監督の手腕次第というところまで戦力は整っている。

 ただ、どれだけミランが補強してもユベントスの牙城は崩れそうにはない。ボヌッチとダニエウ・アウベスがチームを去ったが、バイエルンからやってきたドウグラス・コスタは間違いのない実力者で、フィオレンティーナから獲得したベルナルデスキはイタリアの近い将来を担う逸材だ。毎シーズン選手個々の特徴を巧みに結合させてチームを作ってくるマッシミアーノ・アッレグリ監督が留任したことも大きい。今季のスクデット争いのリーダーも間違いなくユベントスだ。

 ユベントスに大きく遅れをとってきたミランがチャイナマネーによってどこまで追い付くことができるのか。もしミランが大きなステップアップを遂げればセリエA全体に活況が訪れるのではないか。逆につまずいてしまえばリーグ全体に停滞感が蔓延するのではないか。ともかく、新生ミランに大きな注目の集まるシーズンになる。

 セリエAは、今週末から開幕する。

文・寺田 弘幸