水戸市の大成女子高校の生徒たちが、サッカーJ2水戸ホーリーホックをPRしようと、選手と一緒に路線バスの車内アナウンスを収録した。地域との関わりや創造性を考える授業の一環で、台本は生徒が考案。5月から茨城交通バスの水戸駅発着便などで流れる。…

 水戸市の大成女子高校の生徒たちが、サッカーJ2水戸ホーリーホックをPRしようと、選手と一緒に路線バスの車内アナウンスを収録した。地域との関わりや創造性を考える授業の一環で、台本は生徒が考案。5月から茨城交通バスの水戸駅発着便などで流れる。

 同校普通科のキャリアデザイン授業で選択制の「地域デザイン」の一コマだ。地域の魅力を発見するフィールドワークや地域資源を生かした商品開発を考える。

 生徒たち約30人が地域を代表する存在としてホーリーホックに着目。同世代の若いファンを増やすにはどうすればよいかをテーマに、2023年8月から企画立案に取りかかった。6班に分かれてアイデアを練った。

 誕生日にシールを貼って観戦したら選手とふれあえる特典、選手を招いての学校給食や体育祭、バーチャル観戦などの案が並んだ。関係者へのプレゼンテーションを経て「試合に来たくなるバスアナウンス」が採用された。

 これにホーリーホックのオフィシャルパートナーである茨城交通(水戸市)が協力。同社によると、選手自らが試合をPRするアナウンスを流すなどの実績があるが、高校生によるPRアナウンスは初めてという。

 収録は3月28日に茨城県城里町のホーリーホックのクラブハウス・アツマーレであった。1対1で生徒が選手にインタビューするスタイルで、「聞かせてホーリーホック」と名付けた。

 「小さいころの思い出は?」「茨城でお気に入りの場所は?」といった質問や、生徒による選手の性格診断も。最後はケーズデンキスタジアム水戸での観戦を促すセリフで締めくくる。

 収録時間は、停留所から次の停留所までの間で話が完結するよう30秒でまとめることが条件。生徒も選手もだんだん息が合うようになり、笑顔が絶えない収録となった。

 参加した生徒は新3年生の下川あやさん、鈴木美祐さん、鳥羽日菜子さん。試合に足を運んでもらう一歩手前として、選手の人となりを知ってもらえるやり取りを工夫したという。鳥羽さんは「性格を知れば親しみがわいて、多くの人がホーリーホックに興味を持つきっかけになると考えました」と語った。

 選手は6人が参加し、春名竜聖選手は「地域の高校生の皆さんが考えてくれた取り組みからホーリーホックを知ってもらえるとうれしい。僕たち選手はピッチで表現することで応え、勝つ姿を見せることでファンになってもらいたい」と言う。

 収録を担当したホーリーホックホームタウン部の木村孝さんは「私たちスタッフは『スタジアムの集客増』といった直接的な思考になりがち。(性格診断などは)内部では思い浮かばない発想です」と驚いていた。

 6本を収録し5月から月替わりで採用。水戸駅発着で各系統のバスが集中する「南町三丁目」停留所付近で流す。高校生らの通学利用が高いエリアという。日立市の「銀行前」付近を通るバスの一部でも使う予定だ。(中村幸基)