川崎フロンターレの10番がついに返ってきた。4月9日に行われた練習で、大島僚太が完全合流。公式戦復帰に向けて大きな一歩…

 川崎フロンターレの10番がついに返ってきた。4月9日に行われた練習で、大島僚太が完全合流。公式戦復帰に向けて大きな一歩を記した。

 昨年のリーグ戦出場試合数は14。7月1日の名古屋グランパス戦(豊田スタジアム)での77分間のプレーが最後のピッチ上の姿となり、同8日の横浜FC戦(等々力)でベンチ入りしたものの試合出場しないままチームを離脱していた。

 当時、公表された診断名は「右下腿三頭筋肉離れ」だったが、その後、リハビリがうまくいかなかった。違う部位の負傷も重なったことで、離脱期間は長期化。「なんだかんだ、こんなに(チームを)離れたのは初めて」と語るものとなった。

 その間、練習には部分的に合流した期間もあった。今年3月以降はその時間も増え、4月4日の練習では、この日、設定されたメニューをすべて消化。チームの中での基準を満たしていないことで部分合流という扱いではあったものの、復帰へのプロセスを着実に積み重ねてきた。負傷前との違いについて、「あんまりそういうのがないようにリハビリをしたつもり」と話す。

■「僕自身ができることは他にもきっとある」

 現在、チームは2勝1分4敗と負け越している。タイトル奪還を目指していたチームにとっては苦しい船出となった。そんな中で鬼木達監督は、「ゼロからチームを作り直す」と覚悟を決め、技術レベルの向上を改めて求めるとしていた。

 それだけに、止める・蹴るでは右に出る者がいない大島への期待は高まるのも必定。そこで求められるものが大きいのではという質問も出たが、その期待とは別に、大島には別に感じているものがあった。

「僕自身は、自分がこれまで長くサッカーやってきたのに対してそれだけが全てだと思ってない。それだけだったら、もっとうまい人もたくさんいると思うので、僕自身ができることは他にもきっとあると思ってるので、そこを結果に結び付ければ」

 とはいえ、ここに至る部分合流でもその技術の違いは存分に見せている。9日の練習以外にもすでにミニゲーム形式の練習にも参加しており、対峙した選手のタイミングをずらしてのパスで、チャンスになりかけた場面もあった。ある新加入選手は、通ってくると思わなかったようで、そのパスをうまくコントロールできずにフイにしてしまう場面があったが、大島が加わることによって、前への意識や勇気は間違いなくプラスされるはずだ。

(取材・文/中地拓也)

(後編へ続く)

いま一番読まれている記事を読む