ランコ・ポポヴィッチ体制の鹿島アントラーズは今、最初の難局に直面している状況。ここでズルズル行ってしまえば、上位躍進、…

 ランコ・ポポヴィッチ体制の鹿島アントラーズは今、最初の難局に直面している状況。ここでズルズル行ってしまえば、上位躍進、優勝争い参戦はもちろんのこと、多くのサポーターが望む常勝軍団復活は遠のくばかりだ。ここで踏み止まらなければ、致命的な状況になりかねない。だからこそ、確実にチャンスを作り、ゴールをこじ開けられるチームに変化していくことが強く求められる。

「今は流れから点を取れてないっていうところで、成功体験がみんなの中にないんで、自信になりきってないのかなと。そこは試合重ねて、そのチャレンジしていくしかないのかなと思います」と語気を強めるのはベテランの土居聖真だ。

 2010年代から在籍し、小笠原満男(鹿島アカデミー・アドバイザー)や本山雅志(鹿島アカデミースカウト)、遠藤康(仙台)らと共闘し、タイトルを取れるチームの一員だった彼は当時と今の違いをこう語っていた。

「僕と(柴崎)岳の例で言うと、ホントに話さなくても、見てなくても、パスが来るというのがある。満男さんだったり、ヤス君だったりもそうでしたけど、『こいつだったらこう動いてくれる』『こいつならここに出してくれる』っていう信頼関係があったと思う。それがやっぱり同じ絵を描けてたっていうことなんだと思います。だからこそ、今のチームでももっと密に信頼関係築いていかないといけない。プライベートとかじゃなくて、サッカー面で積み重ねていかなきゃいけないのかなと感じます」

■3試合連続で異なるトップ下

 今季の鹿島攻撃陣を見ると、絶対的エースの鈴木優磨は不動だが、彼と組むトップ下が試合毎に変わっている。今回の3連戦で言えば、ジュビロ磐田戦が名古新太郎、福岡戦が土居、FC東京戦が樋口雄太と全て異なっている。

 ポポヴィッチ監督には「毎回メンバーを変えて攻撃に変化をもたらしたい」という思惑があるのだろうが、人が変われば連携やコンビネーションも違ってくる。土居がかつての鹿島で感じていた「阿吽の呼吸」は生まれにくくなってしまうのだ。

 ボランチに関してもタテパスを思うように入れられないという課題がある。ここ3試合は知念慶佐野海舟のコンビだが、彼らは守備のバランスはいいが、攻撃の違いを作るようなプレーはやはり苦手だ。むしろ土居が下がった方がいいボールが供給される。彼らと鈴木優磨、そして今はサイドで起用されているチャヴリッチらとの関係性を研ぎ澄ませていくことが、得点力不足解消へのカギになってくるのではないか。

「今は結果が出てないですけど、悲観する必要はないと思いますし、ずっとチャレンジするだけなんで。『鹿島は今年も常勝にはなれないのかな』と思われてもしょうがないですし、それはみんなも思うことでしょうけど、やってる僕らは負けを引きずってもしょうがない。監督も『下を向かずにやっていくぞ』って試合後のミーティングでも言ってくれたんで、それにしっかり乗っかって、下向かずに進んでいくだけかなと思います。

 とにかく今の僕らに必要なのは成功体験。それさえあれば絶対によくなる。僕はそう信じています」

■京都戦までの準備期間

 年長者の土居が語気を強めるように、今の鹿島に必要なのは勝利という結果に他ならない。鈴木優磨、あるいは別の選手に流れの中からゴールが生まれ、1つ勝つことができれば、この停滞感は払拭できる。今はチーム全体がそういった前向きなマインドを持っている。そこは明るい材料と言っていい。

 4月13日の次節・京都サンガ戦までは1週間の準備期間がある。これをどう有効活用していくかが重要だ。主軸メンバー固定が顕著なポポヴィッチ監督にしてみれば、疲労困憊の関川郁真、安西幸輝、濃野公人らを休ませられるのもポジティブな材料だろう。

 ここでしっかりと攻守両面で組織を立て直せるか否か。今こそが今季鹿島の今後を左右する重要局面なのは間違いない。

(取材・文/元川悦子)

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