(写真:Getty Images) 今季のリーガの見どころをキャッチフレーズにすると「ストップ・ザ・レアル・マドリー」となる。2季連続CL王者、リーグ王者のレアル・マドリーを残り19チームが追い掛ける、という構造だ。 昨シーズン後半戦に明ら…


(写真:Getty Images)

 今季のリーガの見どころをキャッチフレーズにすると「ストップ・ザ・レアル・マドリー」となる。2季連続CL王者、リーグ王者のレアル・マドリーを残り19チームが追い掛ける、という構造だ。

 昨シーズン後半戦に明らかになったジダンのチームの優位性(イスコ、アセンシオ、コバセビッチらの台頭による選手層の厚さ、ジダンの下に結集したチームの一体感と自信による)は、今シーズンさらに拡大する可能性がある。追っ手側が弱体化しているからだ。

 対抗馬となるべきバルセロナはネイマールを失い、バルベルデ新監督の適応具合も未知数。現状でのレアル・マドリーとの差は、14日のスペインスーパーカップ第1戦のスコア1-3に象徴されている。シメオネ監督最後の年になるであろうアトレティコ・マドリーは世代交代(ガビ、ファンフラン、フィリペ・ルイス)の時期なのに、FIFAの制裁によって夏の補強を禁止されてしまった。セビージャは主力(ビトロ、ナスリ、ヨベディッチ)を失い新監督ベリッソの下で再出発だし、継続路線のビジャレアル、ソシエダ、エイバルは伸びしろがあって単発のサプライズ(ホームで勝ち点を奪う)を起こす力はあるが、タイトル争いに加わるほどではない……。

 もっとも、このパノラマは移籍市場が閉まる残り2週間で変わる可能性がある。8月14日現在リーガ勢が補強に費やした金額はプレミアリーグの3分の1、セリエAの半分以下でブンデス、リーグ1を下回っている。その沈黙を破り、レアル・マドリーが狙うムザッペ、バルセロナが狙うコウティーニョ、デンベレ、アトレティコ・マドリーが狙うジエゴ・コスタらの獲得が現実となれば勢力図は修正せざるを得ないだろう。今週末にリーガは開幕するがそれ以降の動きには注意が必要だ。 

 追う側の補強がどこまで進むか、出足でつまずく傾向があるレアル・マドリーを止めるチーム(特に第2節のバレンシア戦に注目)が現れるか。独走を防ぐにはこの2点が当面の見どころになる。

文・木村 浩嗣