(27日、第96回選抜高校野球大会2回戦 中央学院7―6宇治山田商) 心地よい痛みだった。二回2死一、三塁でふらふらと飛球が上がった。中央学院(千葉)の捕手・飯山成夢はマスクを外して落下点に駆け寄ると、ジャンプ一番。「無我夢中だった」。バ…

 (27日、第96回選抜高校野球大会2回戦 中央学院7―6宇治山田商)

 心地よい痛みだった。二回2死一、三塁でふらふらと飛球が上がった。中央学院(千葉)の捕手・飯山成夢はマスクを外して落下点に駆け寄ると、ジャンプ一番。「無我夢中だった」。バックネットに顔をぶつけながらもボールをつかみ、ピンチの芽を摘んだ。

 直前の打席では、1死二塁から左前安打を放ち、先制点をお膳立て。1回戦も3安打し、打撃も好調だ。

 なのに、試合後の表情は晴れない。「リードが単調になってしまった」。後半に失点を重ね、1点差まで詰め寄られたことを悔やんだ。「打撃より、守備」

 血は譲れない。父は日本ハムで内野の名手としてならした裕志さん。プロ生活20年で本塁打は1本だが、安定した守備でチームを支えた。引退後は内野守備のコーチを務め、今年からスカウトをしている。

 そんな父にあこがれ、中学までは遊撃手。強肩を買われて高校から捕手に転向した。野球を始めた6歳のころに教わった「相手の胸に投げる」を今も大切にする。

 夢舞台で安打を放ち、盗塁を決め、ガッツも見せた。でも、この日スタンドで見守った父にきっとこう言われるだろう。「しっかり守れ」。もちろん、そのつもり。「次は守り勝つ」(山口裕起)

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 ○相馬幸樹監督(中) 7点リードから1点差に迫られたが、「粘りきれた、勝ち切れたっていうのは大きいこと。選手には自信だけを持ち帰ってほしい」。