第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)は26日、2回戦があり、創志学園(岡山)は前年優勝の山梨学院に0―4で敗れた。7年ぶりの春の甲子園で最後まで粘り強さをみせた選手たち。応援…

 第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)は26日、2回戦があり、創志学園(岡山)は前年優勝の山梨学院に0―4で敗れた。7年ぶりの春の甲子園で最後まで粘り強さをみせた選手たち。応援席からの惜しみない拍手を受け、「必ず夏に戻る」と誓った。(大野宏)

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 創志学園の背番号「12」小西太陽(3年)はこの日の朝の練習中、公式戦初の先発マスクを告げられた。驚きはなかった、という。

 「『準備はしておくように』と監督が一人ひとりに言っていたので、どんな形でもいつでもいける準備は常にしてきました」

 「気持ちと声で投手を引っ張っていくタイプ」。自分も仲間もそう認める。門馬敬治監督が掲げる「アグレッシブ・ベースボール」を貫くことだけを考えた。

 コンビを組む明星大翔(2年)も公式戦初先発。球速100キロ台で大きく弧を描くカーブが持ち味だ。「あれが明星を一番引き立たせるボール。退(ひ)かないで攻め続ける気持ちを確かめました」と小西。

 一回、先頭打者をそのカーブで三振に取る。次打者に初安打を許したが、投球がワンバウンドした際に離塁が大きかったのを見逃さず、一塁へ送球してアウトに。緊張はしていた。だが、これで乗っていけると思った。

 ただ続く二回、カーブの制球が定まらなくなる。2死からセンターの頭上を抜かれ、次打者には四球を選ばれて一、二塁。「カーブを狙われている」と感じて要求した直球が甘く入り、中前へはじき返される。身を翻してタッチにいったが先制を阻止できなかった。

 三回には2死一、二塁で、右打者のひざ元への会心のスライダーを深々と左中間に運ばれ、決定的な2点を奪われた。「明星の状態は悪くなかった。相手がすべてにおいて上でした」

 大阪府出身。甲子園には小さい頃から観戦に訪れていた。「一つの夢は達成できたけど、チームとして甲子園で優勝する目標が達成できず悔しい。夏に絶対もう一度戻ってくる」。完敗の後でなお、小柄な体にみなぎる闘志が伝わってきた。(大野宏)