強張った表情で記者会見に臨んだ大谷。その顔つきからは騒動に対する複雑な感情がにじみ出た。(C)Getty Images 大谷翔平(ドジャース)の専属通訳だった水原一平氏の違法賭博スキャンダルは収まる気配がない。 大谷がメジャーリーグ…

強張った表情で記者会見に臨んだ大谷。その顔つきからは騒動に対する複雑な感情がにじみ出た。(C)Getty Images

 大谷翔平(ドジャース)の専属通訳だった水原一平氏の違法賭博スキャンダルは収まる気配がない。

 大谷がメジャーリーグで「唯一無二」と言われた二刀流の軌跡において、水原氏は公私で“欠かせない人物”と考えられてきた。しかし、現地時間3月20日に米連邦捜査局の調査を受けている南カリフォルニアのブックメーカー(賭け事の取扱業者)にギャンブルで負債をつくり、大谷の銀行口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)が送金されたことが判明。波紋は広がった。

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 世界にショックを与えた騒動から5日が経過した現地時間3月25日、大谷は初めて肉声で自身の考えを明らかにした。

 本拠地ドジャースタジアムで、水原氏の違法賭博問題を受けての会見を実施。質疑応答のない異例の形で声明を発表し、「正直ショックという言葉が正しいと思わないが、それ以上……言葉で表せないという感覚で過ごしてきた」「僕自身、何かに賭けたり、スポーツイベントに賭けたり、頼んだこともないですし、送金を依頼したこともありません」と赤裸々に語った。

 全てが語られたわけではないだろう。それでも12分間にわたって、水原氏に対する想いも漏らすなど真摯に騒動に向き合う姿勢を見せた大谷の姿勢には、米メディアからの称賛の声が相次いだ。

 MLBの公式ネットワーク局『MLB Network』のアナリストでもあるラッセル・ドーシー氏は、米版『Yahoo Sports』の番組内で「ショウヘイ・オオタニがそもそもスポーツベッティングに本当に興味を持っているタイプだという確信はなかった」と指摘。そして、今回の会見を受けた騒動への印象を口にした。

「正直言って会見の前までは『友達のために借金を返したいという気持ちはわかるよ』という感じはあったし、それに少なからず理解はできた。例えば、本当に長い付き合いがある友人が、悪い状況にあったとして、こう思うんじゃないか。『今は冷静じゃない。でも、僕は君のことを愛しているし、大切に思っているから、君の面倒を見るよ』ってね」

 そのうえで「今回のショウヘイはそのすべてを打ち消した。『いやいやいや、そんなことはないんだ』という感じだったね」と指摘したドーシー氏は、水原氏の“裏切り行為”を目の当たりにした大谷の心情を察しつつ、会見で垣間見えた疲弊ぶりを指摘している。

「メディアであれ、ファンであれ、なんであれ、僕らはショウヘイがこれまで見たこともないようなことをやってのける、とてつもない才能の持ち主だったと思ってきた。だからこうして議題にするんだと思う。でも、この7~10日間で起きた現実がいざ起きて、対応に追われた彼を見ていると、『ああ、彼も人間なんだ。人間だから欠点もあるんだ』と痛感させられる」

 果たして今回の会見で騒動は沈静化されるのか。今後の調査について「全面的に協力する」と語った本人の動向を含めて、しばらくは余波が続きそうである。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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