判定ではほぼ負けが見えかけていた大劣勢の展開から、最終ラウンド怒涛の3ダウンで大逆転。元ボクシング世界王者も「映画ロッキーを地で行った試合。すげえ超逆転」と興奮気味に語った。 【映像】まるで映画ロッキーのような大逆転KO  3月22日(日…

 判定ではほぼ負けが見えかけていた大劣勢の展開から、最終ラウンド怒涛の3ダウンで大逆転。元ボクシング世界王者も「映画ロッキーを地で行った試合。すげえ超逆転」と興奮気味に語った。

【映像】まるで映画ロッキーのような大逆転KO

 3月22日(日本時間23日)イタリア・ローマで開催された王者マイケル・マグネッシと力石政法(緑ジム)のWBC世界スーパーフェザー王座挑戦権をかけたWBCシルバー・スーパーフェザー級タイトル戦は、劣勢が続くなか力石が12ラウンドに3ダウンを奪う大逆転でTKO勝ちを収めた。
 
  WBCスーパーフェザー級5位の力石がマグネッシのホーム、イタリアで挑んだ次期挑戦者決定戦。力石にとっては完全アウェイでの試合は序盤から劣勢が続く苦しい試合となった。

 試合序盤から小柄なマグネッシがプレッシャーをかけ続ける。力石は足を使いながらやや下がり気味で打ち合うが、マグネッシの近距離でのパンチが当たる場面も見られる。決定的な一発はないものの、頭をつけながらの打ち合いでマグネッシ優勢の展開が続く。
 
 内容的には互いのパンチが当たりほぼ互角の展開に見えるが、ABEMA解説・畑山隆則は「マグネッシは見栄えがいい、パンチを貰っても怯まない」とパンチを貰っても全く下がらないマグネッシのタフさを指摘した。

 中盤5ラウンドが終わった時点で、オープンスコアでも2人のジャッジがマグネッシにフルマークをつけ3-0と力石の劣勢。ラウンドを重ね徐々に手数は減るマグネッシだが、タフにハイプレッシャーを続ける。一方の力石はペースを相手に握られながらも、足を使って距離を取ってパンチを当てはじめる。しかし、9ラウンドには右の連打を次々と被弾、途中経過のオープンスコアでも4ポイントの差と苦しい展開だ。
 
  10ラウンド後半、下がる状況が続いていた力石が、はじめて近距離での強い打ち合いに応戦。左右の連打を次々と被弾したマグネッシがたまらずクリンチに逃れる。はじめてグラつく場面も見られ、力石が攻勢を仕掛ける。続く11ラウンドも、力石が打ち下ろしのパンチを次々と当て、この試合ではじめてマグネッシが下がりはじめる。自らバッティングをアピールして時間稼ぎする場面など弱気なシーンが続いた。
 
 そして運命の最終12ラウンド。ポイント的には後がない力石だが、ラウンド開始直後から足を止めての打ち合いで、右を当て最初のダウンを奪う。さらに攻勢を仕掛ける力石は左右の連打から再び右、これが効いたマグネッシは後方に崩れ落ち2ダウン。
 
  残り1分、マグネッシはコーナーで連打の力石に殴られる一方的な展開。逃げ切りたいマグネッシだが、レフェリーがブレイクした直後にダメージの蓄積から自ら後方に崩れ落ちる。
 
  もはや足元がフラフラ、それでもレフェリーは試合続行を宣言し、最後の最後に地元選手の逃げ切りアシストとも取れるアウェイならではの洗礼だ。

 残りわずか、力石は迷わず前に出てパンチの連打、腰から崩れるマグネッシ。ここでレフェリーが試合を止めた。

 後半の解説でも熱がこもっていた畑山だが大逆転に「すげぇー」を連発。ファンからも「ドラマだ」「ギリギリ危なかった…」「漫画やん」「手が震えた」という声があがる。
 
 試合を通して大劣勢のなか、後半で巻き返した力石の激闘にイタリアのファンも拍手で応える。畑山は改めて「映画『ロッキー』を地で行った試合、すげえ超逆転KO。気持ちを切らさず最後まで勝ちに行った」と終始興奮気味だった。