チャンピオンベルトを引っ提げて来日するモロニー。その決断の裏には少なからず迷いもあった。(C)Getty Images バンタム級で名を馳せる王者は、並々ならぬ想いを持って日本での決戦に挑む。来る5月6日に東京ドームで行われる興行で…

チャンピオンベルトを引っ提げて来日するモロニー。その決断の裏には少なからず迷いもあった。(C)Getty Images

 バンタム級で名を馳せる王者は、並々ならぬ想いを持って日本での決戦に挑む。来る5月6日に東京ドームで行われる興行で、ボクシングWBO世界バンタム級10位の武居由樹(大橋)とのタイトルマッチに挑むWBO同級王者ジェイソン・モロニー(オーストラリア)だ。

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 昨年5月にビンセント・アストロラビオ(フィリピン)を破って王座についたモロニー。東京ドームという大舞台で迎える武居戦は2度目の防衛戦だ。実績で言えば、K-1から転向して約4年の27歳を上回るが、「印象深い試合をする」と意気込む豪戦士に抜かりはない

 もっとも、モロニーは武居戦のオファーを受け入れるかどうかを迷っていた。というのも、彼の下には5月12日に豪パースで開催される元世界3階級制覇王者ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)とジョージ・カンボソスJr.(豪州)によるIBFライト級王座決定戦をメインに据えた興行への出場オファーが舞い込んでいたためだ。

 北京(2008年)とロンドン(2012年)の両五輪で金メダルを獲得するなどアマチュア時代にも輝かしい功績を残してきた大物ロマチェンコを招くという母国での一大興行。その魅力ある試合オファーを受け、モロニーの覚悟は決まりかけていた。

 米老舗誌『The Ring』の取材に応じた33歳は、「今年1月に試合をしていたから、その段階で、オーストラリアで行われるロマチェンコとカンボソスの試合のアンダーカードに出場できると確信していた。世界タイトルの防衛戦を母国でやりたかったし、あれだけ大きなショーでやるのは最高だった」と告白する。

 ではなぜ、モロニーは、敵地・日本での武居戦を受け入れたのか。彼はこう続けている。

「そこで僕のマネージャーを務めているトニー・トルジとトレーナーのアンジェロ・ハイダーが、日本で試合をする機会を与えてくれた。正直言って、かなり難しい決断だったんだ。たしかにオーストラリアで戦えることに興奮はしていたけど、ずっと日本でも戦いたいと思っていたんだ。

 僕にとっては、いつも目標だったんだ。去年1月に日本でトレーニングキャンプをしたんだけど、その時は本当に楽しかった。彼らは素晴らしい文化を持っていて、本当に謙虚な人たちで、素晴らしい国なんだ」

 愛着を抱いていた国で、新進気鋭のチャレンジャーの挑戦を受諾したモロニー。今となっては母国での興行に対する想いも吹っ切れている。ベテランチャンプは、日本で成功を掴む決意を新たにしている。

「会場となる東京ドームが5万5000人の超満員になり、間違いなく世界中で何百万人もの観客が見るイノウエの興行に出ることは、僕にとっては大きなチャンスだ。オーストラリアでやるか、日本でやるか、迷った。でも、あれだけ大きなショーに参加できること、そして日本の市場に自分自身をアピールできるということに、興奮している。

 日本では軽量級の選手たちにもリスペクトがある。自分も井上戦のあとに、日本のファンからいいサポートを受けている。だから今回の防衛戦で本当に印象的な試合をして、日本のファンを少しでも増やしたい」

 果たして、モロニーは武居を相手に“印象深い”試合を見せられるか。「とにかく自分の仕事をするだけだ」と意気込む男の試合も必見だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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