21年のダスマリナス戦以来、日本での興行を続けている井上。その挑戦に批判的な意見も集まっている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext 多士済々のボクシング界で当代屈指の力を持つ“怪物”には日本のみならず…

21年のダスマリナス戦以来、日本での興行を続けている井上。その挑戦に批判的な意見も集まっている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 多士済々のボクシング界で当代屈指の力を持つ“怪物”には日本のみならず、世界中の期待が高まっている。来る5月6日に東京ドームで、元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)とのタイトルマッチに臨む世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)だ。

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 最大収容人数5万5000人を誇る東京ドームで、ボクシングの世界戦が実現するのは、1990年2月11日にマイク・タイソンとジェームス・ダグラス(ともに米国)がヘビー級王座戦を繰り広げて以来、34年ぶり。そんな歴史的な興行に対する関心は、日々高まっている。

 井上陣営は21年6月にマイケル・ダスマリナス(フィリピン)とのWBA・IBFバンタム級タイトルマッチ以来、国内での興行開催を続けている。当然、そこに金脈が眠っているからこその強行的なスタンスだが、“ボクシングの本場”である米国から「アメリカにきて俺たちと同じ土俵で戦うべきだ」(元世界5階級王者のフロイド・メイウェザー(米国)という批判的な意見も聞こえている。そうした意見を並べる人々の大半は「ボクシングの本場で真価と人気度を証明してこそ一流だ」という認識でいる。

 ただ、いまやありとあらゆる試合が動画配信サイトや中継局によるPPVで“金”に代わる時代だ。両陣営の合計で、約10億円という軽量級史上最大の収益を生み出した昨夏のスティーブン・フルトン(米国)戦のように、十分なサイクルが出来上がっている以上は、常に自らのベストパフォーマンスを求める井上が国外での開催にこだわる理由はない。

 実際、米メディアでも井上の国内興行を好意的に捉える声も上がっている。専門サイト『Fight Nights』は「イノウエの活躍を語るうえで何よりも重要なのは日本で試合を実現させている点だ。彼のような選手がアジアを舞台に戦うことは、ボクシングの知名度を高めるのに役立っている」と強調。「日本で戦うというイノウエの選択はボクシング界を大いに助けている」と論じている。

「イノウエはボクシング界で最も注目され、魅力に溢れた選手の一人であり、各国の強豪と戦い続けている。そして、アメリカから遠く離れた日本で戦うという挑戦は、アメリカ大陸以外でもボクシングの知名度と親しみやすさを高める要因となっている」

 批判的な意見を吹き飛ばし、欧米メディアで評価が高まっている井上の成果。ゴールデンウイークに開催される東京ドーム決戦は、彼のキャリアにおいてターニングポイントとなるのは間違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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