【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬 【エーピーインディ】  プリークネスSを勝ったサマースコールの半弟にあたる良血。1歳夏、ケンタッキー州キーンランドのセリに上場され、日…

【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【エーピーインディ】

 プリークネスSを勝ったサマースコールの半弟にあたる良血。1歳夏、ケンタッキー州キーンランドのセリに上場され、日本人の鶴巻智徳氏が290万ドルという高値で落札しました。

 父シアトルスルー、母の父セクレタリアトはいずれも米三冠馬。母ウィークエンドサプライズは、セクレタリアト≒サーゲイロード1×3という特殊な凝縮を持っており、配合的にも際立った存在でした。

 3歳時にBCクラシック、ベルモントSなどを制して米年度代表馬に。ケンタッキーダービーとプリークネスSは挫石の影響で出走が叶いませんでしたが、もし出走していれば、能力的に三冠を達成していた可能性も十分あったと思われます。

 引退後はアメリカで種牡馬入りし、2003年と2006年に首位種牡馬の座につきました。種牡馬として成功しただけでなく、サイアーラインの伸長も目覚ましく、直系子孫から3年連続米チャンピオンサイアーのタピットが現れ、その息子フライトラインは近年のアメリカ最強馬と評価されています。日本でもシニスターミニスター、パイロ、マジェスティックウォリアーなど多くの種牡馬が輸入され、ダート競馬で成功を収めています。

 基本的にはスピードの持続力を武器とするパワー型の血統ですが、産駒のシンボリインディ、ヒシナイル、アラタマインディ、サヤカといった馬たちは日本で芝重賞を勝っており、タピット牝馬のタピッツフライは繁殖牝馬としてグランアレグリア(父ディープインパクト)を産みました。配合次第で芝競馬にも対応できます。

◆血統に関する疑問にズバリ回答!

「最近GIへの直行が増えてきたけど…血統面も関係ある?」

 トライアルを使わずにぶっつけ本番で成果を残す、というここ数年のトレンドは、調教技術の進歩、調教施設の充実、といった面が大きいでしょう。血統面から補足すれば、アメリカ血統が広く浸透してきたことも遠因に挙げられるのではないかと思います。

 アメリカ血統は、仕上がりが早く、気のいいタイプが多いので、総じて休み明けを苦にしません。昔の話になりますが、たとえばミスタープロスペクターやダンジグの仔は、休み明けで買うのがセオリーでした。そして、2走目に反動が出て凡走するシーンをしばしば目にしたものです。バブル期以降、アメリカ産の種牡馬、アメリカ産の繁殖牝馬が日本に大量流入し、わが国のサラブレッドに広く浸透していきました。その影響は決して小さくないだろうと思います。