楽しむということ 自転車部で主将を務めた諸隈。決してたやすいとは言えなかったが、楽しかったと語る大学4年間を振り返る。自転車を始めたきっかけは中学3年生の頃に倉庫にあったおじさんのロードバイクに乗ったこと。今までの自転車とは違うスピード感に…

楽しむということ

 自転車部で主将を務めた諸隈。決してたやすいとは言えなかったが、楽しかったと語る大学4年間を振り返る。自転車を始めたきっかけは中学3年生の頃に倉庫にあったおじさんのロードバイクに乗ったこと。今までの自転車とは違うスピード感に惹かれ高校入学と同時に本格的に競技として自転車を始める。高校生の頃には結果を出し、卒業後も自転車競技を続けたいという意志から、高校卒業後はすぐに競輪選手の養成所に入るという選択はせず、早稲田大学に入学した。自転車競技と競輪は違う面があると諸隈は語り、自転車競技という方向で自転車を極めようという理由から大学進学を決めた。

 大学1年生の頃には、コロナウイルスが蔓延し、取り巻く環境も変化。高校時代に日々行えていた練習が2ヶ月~3ヶ月に1回という練習の少なさに変化したものの諸隈は前向きに室内で行える練習に取り組み、モチベーションに関しての変化はなかったという。しかし、9月になるとコロナの影響で大会の中止が相次いで決まり、大会という目標がない中でモチベーションを維持することは困難だったという。人と競うという面での自転車競技も好きだと語る諸隈は、この時期に関してはそれが出来ない歯がゆい時期だったという。2年生になっても試合自体は戻ってきたもののインカレではコロナの蔓延で出られない大学があるなど諸隈にとっては「あの時のインカレはインカレじゃなかった」と語るほど完璧に元に戻ることはなかった。そんな諸隈は「今振り返ると3年生になっても目標やモチベーションは下がったままであった」と語る。このモチベーションに関しては、高校生の頃に悩むことはなかったため、コロナは大学におけるターニングポイントであったと語る。コロナの影響でモチベーションがポカンと無くなってしまいすぐには対応できなかったという新たな課題に直面する時期もあったが、4年生になると、諸隈は主将を務めることになった。もとより人をまとめることは苦手で、人に強く言えない性格であった諸隈であったが、主将として自転車部を率いていく上で180度人が変わったとは言えるほどではないが、練習のメニューを考えるなどの主体性などが身につき主将をやることで成長した部分が多々あったと語る。

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 大会で競技に挑む諸隈

 諸隈は4月から新たな一歩を踏み出す。高校から進みたいと決めていた道である競輪選手になるため養成所に通う。卒業研究は自分のパフォーマンスの研究で、自分が考えてきたことは正しかったのかということを検証し、大学4年間では競技をやるだけでなく学問の面から自転車に向き合うということも楽しかったそう。大学4年間を振り返ってもらうと、「楽しかったです」という返事が返ってきた。モチベーションの面で苦しんだり、人を率いることは苦手であったのに主将を任されたり、決して平坦ではない困難な道を歩みながら、楽しみながら大学生活を過ごした諸隈。この経験が新たな場所でも活かされるものとなるだろう。

(記事 長野雪華、写真 早稲田大学自転車部ご提供)