ガヌー(左)はボクシング2戦で連敗も大金を懐に収める。この背景には井上(右)の興行開催も狙うサウジの猛烈な支援がある。(C)Getty Images 2戦2敗――。それがボクシング界に文字通り殴り込んだ元UFCヘビー級王者フランシス…

ガヌー(左)はボクシング2戦で連敗も大金を懐に収める。この背景には井上(右)の興行開催も狙うサウジの猛烈な支援がある。(C)Getty Images

 2戦2敗――。それがボクシング界に文字通り殴り込んだ元UFCヘビー級王者フランシス・ガヌー(カメルーン)の戦績だ。それでも彼はキャリア最高額と言っていい収入を得た。

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 現地時間3月8日にサウジアラビアの首都リヤドで行われた元WBA、IBF、WBO世界同級統一王者で、現WBC、WBO1位のアンソニー・ジョシュア(英国)との一戦において、ガヌーは防戦一方。初回にいきなりダウンを喫すると、続く2回には2度のダウンを奪われてKO負け。成す術なく総合格闘技とボクシングの違いを改めて思い知らされる結果となった。

 昨年10月に行った現WBC世界同級王者タイソン・フューリー(英国)との初陣でも健闘しながら敗れていたガヌー。しかし、殴り込みをかけた業界のトップ・オブ・トップと拳を交わした“価値”は、たしかにあった。

 米老舗経済誌『Forbes』のブライアン・マジク記者によれば、ガヌーはフューリーとの一戦で1000万ドル(約14億7000万円)のファイトマネーを獲得。さらに今回のジョシュア戦では、2000万ドル(約29億4000万円)の巨額を手にしたという。かつて彼が主戦場として米総合格闘技団体『UFC』の最終戦のファイトマネーが60万ドル(約8820万円)とされているだけに、驚きの倍増と言えるだろう。

 ジョシュア戦後にガヌー自ら「危険なことをやっているのは百も承知」と語った戦いに身を投じるのは、こうした巨額契約があってこそだろう。その背景には、過去2戦の舞台となり、石油依存からの脱却を狙うサウジアラビアによる猛烈な後押しもある。

 近年、数多のイベントを実現させている彼らは野望を叶えるために惜しみない投資を各界で続けている。

 ボクシング界では、昨年12月にスーパーバンタム級の4団体統一王者となった井上尚弥(大橋)を招いての興行開催も囁かれた。これについては米興行大手『Top Rank』のボブ・アラムCEOも「サウジアラビアを訪れた時に、スポーツエンターテインメント部門の一番偉い方にお会いし、彼らの口から最初に出てきたのが『イノウエの試合をサウジアラビアでできないか』という話だった」と認めている。

 今後もサウジが格闘技界、ひいてはボクシング界にどこまでの投資を続けるかは不透明だ。しかし、彼らの構想に井上のような日本の偉才が絡むとなれば、ファイトマネーも含めて興味深いものとなるのは間違いない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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