ビキニフィットネス・ダンシーあずさ インタビュー後編(全3回)ビキニフィットネスの世界で活躍するダンシーあずささんだが、高い壁として君臨するのが「オールジャパン フィットネス チャンピオンシップス」(JBBF主催)163センチ超級8連覇を達…

ビキニフィットネス・ダンシーあずさ インタビュー後編(全3回)

ビキニフィットネスの世界で活躍するダンシーあずささんだが、高い壁として君臨するのが「オールジャパン フィットネス チャンピオンシップス」(JBBF主催)163センチ超級8連覇を達成している安井友梨だ。ダンシーは、163センチ以下級のカテゴリーでこそ5連覇しているが、無差別級の「JBBFフィットネス ジャパン グランド チャンピオンシップス」では、4大会連続で安井に敗れての2位に終わっている。そんなダンシーが、挑戦と葛藤の日々を語る。



日本のビキニフィットネスシーンを牽引するダンシーあずささん

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【女王には競っているようでは勝てない】

ーー安井友梨さんとはどのような存在なのでしょうか?

ダンシーあずさ(以下同) 「オールジャパン」で勝っても、「グラチャン(グランド チャンピオンシップス)」で安井さんに負けてサブチャンピオンになること4回。なかなか越えられない高い壁ではあるのは間違いないですね。

 でも、それが自分のなかでモチベーションになっている部分でもあるんですよ。2位だからこそ守りに入らずに向上心を保っていられる。トレーニングや減量で心が折れそうになった時は、安井さんはこれだけやっているんだから、と思うようにしてます。

ーー昨年の「グラチャン」後には、表彰式では涙も見られました。

 1点差でしたらかね。客観的に見て負けてなかったと感じていたので本当に悔しかったです。でも、安井さんは「チャンピオン」のイメージで審査員も見るから、競っているようじゃ勝てない。ひと目見て、「ダンシーあずさのほうが上」と思われるくらい圧倒しないといけなかった。前回は、そこまでの体をつくれなかっただけだと思うので、受け入れてまた頑張ればいいだけです。ただ、今年は安井さんを倒すことに、そこまでこだわっているわけではないんですよ。

ーーなぜですか?

 勝負にこだわってしまうとステージ上の自分が全然楽しそうじゃないんです。実際に、昨年は「オールジャパン」と比べると、「グラチャン」はあんまり楽しそうじゃない、イキイキしてない自分がいました。

 ステージで楽しめなかったら意味がないので今年は意識せずに、去年の自分を超えることだけにフォーカスしたいと思います。楽しんで仕上げた自分の体をステージで輝かせられて、それが結果的に評価される......そっちのほうが私には合ってるんです。


2023年の「オールジャパン フィットネス チャンピオンシップス」で階級5連覇

 写真/本人提供

【心の安定が体づくりには必要】

ーー去年は、シーズンを通して楽しめなかった?

 プライベートな話だと去年離婚をしてしまい......。気持ちの浮き沈みから寝られない日も多く、疲労がとれず、競技に集中しきれなかった部分はあります。そんな状態だからしぼりきれなくて慌てて有酸素運動をやりまくったらガリガリになってしまって。筋肉に全然元気がなかったし、冷静に考えれば安井さんに勝てなかったのは納得です。

 心の安定も体づくりに影響が出ることを初めて知れたので、それは収穫だったのかもしれません。本当に強い人は、そういうことに影響されないと思うんです。



インタビューで葛藤を明かすダンシーあずささん

ーー今年の状態はいかがでしょうか?

 じつは、今年は休養しようかと思っていたんです。去年の大会と、大会までの過程が全然楽しめず、みんなが期待してるから出るという状態だった。今年も大会に気持ちを持っていけるのか、去年と同じになるんじゃないか、そんな思いがあったからです。

 でも今は全部区切りをつけて新しい人生に踏み出せているから幸せですし、心は安定しています。現状、競技に集中できそうなので、コンテストに出るつもりで頑張っています。

ーー競技者としての今後の目標を教えてください。

 まずは楽しむこと。そうしないと継続は難しいですから。楽しくなくなったら競技はやめるけど、トレーニングはずっと続けていきたいですね。大会に勝っているからって理想の体かというと、そうではない。だから、なりたい自分に近い状態で生きていくために、トレーニングは80歳になろうと続けていきたいですね。

ーー目指す体はあるのでしょうか?

 その時々、その年齢に合った自分のなりたい体を目指していきたい。人生は一回きりだから、自分が自分のことを好きじゃない人生ってつまんないじゃないですか。自分を変えられるのは自分しかない。自信を持って生きたほうが道は開けるし、周りの人にもいい影響がある。そこは追い求めたいですね。

【絶対に筋肉のある男性がいい!】

ーー"ダンシー"という名前は、元旦那さんのファミリーネームだそうですね。

 本名は「坂本あずさ」というんですが、ダンシーあずさが浸透してて、今さら名前を戻して出場しても「お前、誰?」となりそうで(笑)。ちょっとタイミングをいろいろ悩んでいます。いいアイディアがあったら教えてください!

ーーでは最後に、人生の目標を教えてください。

 家庭を持ちたいという最終的な目標はありますよ。子どもがほしいですね。

ーーちなみに、好きな男性のタイプは?

 絶対に筋肉がある人がいいです(笑)。とくに外側広筋(太ももの外側の筋肉)が発達している男性。セクシーじゃないですか。脚は筋肉がつきにくいからこそ、トレーニングを頑張ってきたんだなって過程が見えて、尊敬にもつながります。

ーー競技もプライベートも、"坂本あずさ"さんのさらなる飛躍を応援しています!

終わり

前編<ダンシーあずさ「キレ食い」時期も乗り越えビキニ階級で5連覇 「過酷なことはしてません」週5時間のみのトレーニングの秘密>を読む

中編<「こいつ、やばい」ビーチでポテチ、朝までクラブで飲酒...ぽっちゃり留学生だったダンシーあずさはなぜトレーニングに目覚めたのか>を読む

【プロフィール】
ダンシーあずさ 
1990年、東京都生まれ。大学卒業後、社会人生活を経て25歳のスペイン留学中にホストマザーの影響でトレーニングを始める。「オールジャパン フィットネス チャンピオンシップス」(JBBF主催)・ビキニフィットネス163センチ以下級で5年連続優勝、階級無差別の「JBBFフィットネス・グランド・チャンピオンシップス」(同)のビキニフィットネスでは4年連続2位。2022年のIFBB世界フィットネス選手権のビキニフィットネス160センチ以下級では3位に入った。