ついに井上(右)との対戦が正式発表されたネリ(左)。両陣営が交わした交渉の舞台裏が報じられた。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext  ようやく正式発表に至っ…

 

ついに井上(右)との対戦が正式発表されたネリ(左)。両陣営が交わした交渉の舞台裏が報じられた。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 

 ようやく正式発表に至った。

 3月6日、ボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)とWBC1位のルイス・ネリ(メキシコ)によるタイトルマッチが正式決定した。舞台はゴールデンウイーク真っ只中(5月6日)の東京ドーム。ボクシングの世界戦では、1988年と90年にヘビー級王者のマイク・タイソン(米国)が出場して以来であるため、まさに至高の場と言えよう。

【動画】WBCが公開! 厳格さを物語る井上尚弥とネリの記者会見前計量の様子

 

 井上が「まだちょっと想像ができないけど、とてつもない興行だなと」という今回のタイトルマッチは、ボクシング界でも有数のメガイベントだ。失敗は許されない。ゆえにシビアなテストを求めてきた王者側は事前計量(30日前、15日前、7日前)とVADAによる抜き打ちのドーピング検査も義務付け、厳格な体制を両陣営に求め、これに日本ボクシングコミッション(JBC)とWBCが合意したという。

 ここまで厳格な体制を取るのは、挑戦者であるネリに、日本のボクシング・ファンにとって“忘れがたい過去”があるからにほかならない。

 2017年8月にWBC世界バンタム級王者だった山中慎介(帝拳)に挑戦したネリは4回KO勝ちで王者になったが、その後の薬物検査で陽性反応が発覚。18年3月の再戦では前日計量で2.3キロの大幅な体重超過。再計量でも1.3キロオーバーで王座剥奪された。

 ネリは強行された試合で2回TKO勝ちを収めたが、からJBCから日本国内でのライセンス無期限停止処分を受けていた。

 その後、20年2月にスーパーバンタム級に転向したネリは、20年9月に世界2階級制覇を達成。21年5月の統一戦で敗れたが、再起後は4連勝。昨年2月のWBC挑戦者決定戦を制し、今回の挑戦権を手にした。

 山中戦以降、階級を上げ、正当に勝ち上がってきた。それだけにネリ本人や陣営も井上側からのシビアな要求を当初は渋っていたという。メキシコのボクシング専門サイト『Izquierdazo』は、「ネリ陣営はイノウエの要求を快くは思わなかったが、だが、彼には“前例”があり、それを受け入れた」と舞台裏を伝えた。

 もっとも、試合を実現させるためにネリは要求を飲み込み、やる気を漲らせているという。同メディアで代理人を務めているギジェルモ・ブリトー氏は、次のように語った。

「日本のコミッションはすでに処分を解除している。その条件として前回と同じようなことが起こらないように、ネリは特定の検査、正確な体重、さまざまなものをクリアしなければならない。しかし、我々はネリがこの試合に向け、かなりの熱意を持って取り組んでいることを知っている。彼は非常に意欲的であり、イノウエたちが要求するすべてに従うだろう」

 3月6日の記者会見では「2度、皆さまを裏切ってしまいましたが、今回はきちんと節制し、調整をしています。偉大な、グレートな試合をみせたいと思います」と猛省したネリ。本番まで約2か月でルール通りの調整ができるのか。試合に向けたポイントとなりそうだ。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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