日本では5年ぶりとなるBMXの世界大会「UCI BMX FREESTYLE WORLD CUP ENOSHIMA JAPAN」が神奈川県藤沢市江ノ島にて、2024年2月24日(土)に「FUJITA Presents ENOSHIMA WAV…

日本では5年ぶりとなるBMXの世界大会「UCI BMX FREESTYLE WORLD CUP ENOSHIMA JAPAN」が神奈川県藤沢市江ノ島にて、2024年2月24日(土)に「FUJITA Presents ENOSHIMA WAVE FEST」 内で開催された。

大会期間中、生憎の雨天により練習日のスケジュールが変更になったり、準決勝及び決勝が中止となるなど選手たちにとっては波乱の展開となった。そのため最終リザルトは予選の結果が採用される形となり、BMXフリースタイルパーク種目は男子カテゴリーにてフランスのアンソニー・ジャンジャン、女子カテゴリーではアメリカのハンナ・ロバーツが優勝し、一方でBMXフラットランド種目は片桐悠と鈴木仁菜が優勝し男女ともに日本人の強さを示す一戦となった。

惜しくも大会期間中で晴れたのは中日である2月24日(土)だけとなってしまったが、やはり人気観光地の江ノ島で開催ということもあり、都心からのアクセスの利便性も相まって当日は会場にたくさんの観客が訪れ、5年ぶりの開催となったこのBMXフリースタイル競技のUCI公認世界大会で新たな歴史が生まれる瞬間を楽しみに見届けていた。また日本のキッズライダーたちは憧れのトップ選手に会えるチャンスということもあって、合間を見ては一緒に写真を撮ってもらうなど思い思いの時間を過ごしている様子も垣間見れた。

今回は決勝だけがライブ配信される予定だったため、当日会場に来れなかった方は残念ながらリアルタイムでのお観戦は叶わなかったが、各予選の様子がアーカイブ映像としてFISEの公式Youtubeにてアップされ始めているので是非見逃した方はそちらをチェックしてほしい。

本記事では、入賞した選手たちにフォーカスして今大会を振り返る。

大会レポート

男子フリースタイルパーク:惜しくも4位で表彰台を逃す形で大会を終えた中村輪夢。優勝したのはフランスのアンソニー・ジャンジャン。

今回男子カテゴリーで出場した日本人選手は中村輪夢、溝垣丈司、小澤楓の3名。雨天の影響から大幅に変更された練習スケジュールの中での調整も余儀なくされるなど難しい戦いとなった。また準決勝以降が中止になることも一歩成果を出し切れなかった要因だろう。日本最高順位は中村の4位でわずかに表彰台を逃す形となった。

優勝者:アンソニー・ジャンジャン (フランス)

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フランスのBMXコンテストシーンを牽引する世界トップ選手の一人。豪快な超高難度の回転技のコンボが特徴的な彼は、今大会でも各セクションを大技を次々にメイクし、「繋ぎ」と呼ばれる小技をほとんど入れないライディングで会場を魅了。その中でも「720」、「フレアテールウィップ」や「バックフリップ360トリプルテールウィップ」は世界トップクラスの難易度を誇るが軽々と決めて見せ、最高順位を見事獲得して今回優勝を収めた。

準優勝者:ローガン・マーティン (オーストラリア)

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言わずと知れた世界最高のBMXライダーの一人であり「ミスターパーフェクト」の愛称で呼ばれる彼は、今大会でも驚くほど安定したライディングを見せる。「フロントフリップ・タックノーハンド」でランを始めると「720・テールウィップ 」「バックフリップ・バースピン・ノーハンダー」など様々なフリップ系とフレア系を織り混ぜたミスの無いパフォーマンスを披露した。今回は予選だけの結果が反映されたため彼の本領発揮とはならなかっただろうが、それでも2位を収めた。

第3位:ニック・ブルース (アメリカ合衆国)

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全体的にジャンプ中の浮遊感が長いこともあり、今大会でも豪快な大技を見せたアメリカを代表するトップ選手。今回特徴的だったのは「バックフリップ360テールウィップ」や「フレアダウンサイドテールウィップ」「360テールウィップtoオポテールウィップ」などで大技にも関わらず余裕を持ったライディングだ。これらのトリックがしっかり評価され3位になった。

女子フリースタイルパーク:日本人女子勢もイレギュラーな戦いの中、力を出し切れず優勝の座はアメリカのハンナ・ロバーツに。

一方、今回女子カテゴリーで出場した日本人選手は内藤寧々、大池水杜の2名。雨天の影響で変更された練習時間は予選前のわずか30分足らずで、当日はかなり気温も低かったことから難しいコンディションだったと話す選手もいたりと、準決勝以降が中止となるイレギュラーな環境の中での戦いとなった。

優勝者:ハンナ・ロバーツ (アメリカ合衆国)

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現在世界ランキング1位で2023年度のUCI世界チャンピオンである名実ともに世界最強であるBMXライダー。今回もその名にふさわしい走りを見せ、各セクションでは高いエアーの中に様々なバリエーションのトリックチョイスで得点を重ねて今シーズン初戦を見事優勝という形で締め括った。

準優勝者: マカレナ・グラセット・ペレス (チリ)

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Maca
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「マカ」の愛称で呼ばれる彼女は、今大会で「バックフリップ」や「タックノーハンド 」など様々なトリックをライディング内に盛り込み、できるだけミスを少なく、自分ができる最大限のトリック数を意識したランを見せた。彼女自身としてはあまり自信がない様子もうかがえたもののライディングは高く評価され2位となった。

第3位:ヤー・ウェン・デン (中国)

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近年急激に力を付け、世界最強国の一角を担う中国を代表するトップ選手。2023年10月に中国で開催されたワールドカップでは優勝するなど注目が集まっている彼女。「バースピン」や「テールウィップ」の精度が高く、これらを中心にしたコンボトリックで会場を魅了した。今後日本にとって永遠のライバルとなりうるアジアの雄だ。

男子フラットランド:世界最強メンバーが集まった一戦。予選だけとなり各選手が出し切れない中で強さを見せたのは片桐悠

世界中から本当の意味でトップライダーが集まった今大会。普段ではなかなか見られない選手たちの組み合わせだっただけに、決勝での熱い戦いが期待されたが惜しくも今回は叶わず、予選の結果が最終リザルトとなった。

優勝者:片桐 悠 (日本)

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ここ最近ほぼ負けなしで現在BMXフラットランド界最強と呼ばれる世界最先端を突き進む若手ライダー。今大会でも彼の代名詞である「フルバイクフリップ」や「舞空術」などのシグネチャートリックを次々と決めると、最後は新しいトリックにトライしミスする一面もあったが、遊び心溢れたライディングで彼の持ち技の多さと今後の彼の可能性を感じさせた。そんな彼は昨年の「X Games Chiba 2023」や「YUSF FLATARK 2023」、「FLAT ARK in 阪神甲子園球場」での優勝に加えて、今年も早速最初の国際大会で新たな優勝を収めた。

準優勝者: ジーン・ウィリアム・プレボースト (カナダ)

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「ダブ」の愛称で呼ばれ、数々の国際大会での優勝経験を持つ実力者であるプレボースト。リアトリックでの高速のスピンが特徴的な彼は、ペグ重心のパドルから「バックスピン」やフレームを縦に跨ぐ「デストラック」など、スムーズかつキレのあるスピントリックをメインに組み込んだルーティンを魅せた。しかしラスト10秒あたりで惜しくもミスがあり悔しそうな表情を見せた。

第3位:荘司 ゆう (日本)

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2023年のUCI世界選手権では自身初の世界王者のタイトルを獲得し、2024年シーズンはディフェンディングチャンピオンとして挑んだ今大会。フロントトリックとリアトリックの両方組み合わせた「トランスファー」を元にした高難度トリックのコンボを今回も披露。中盤にミスをして迎えた残り1分ではそれを取り返すかのような攻めのライディング。最後は時間ギリギリでトリックを決めてやり切った様子でランを終え3位という結果になった。

女子フラットランド:国内最強の日本人選手たちが集まる中で、圧倒的な強さを見せたのは鈴木仁菜

今回ほとんどの出場者が日本人選手となった本カテゴリー。日本人男子選手の強さが注目されがちの本種目だが、改めて女子選手たちのトリックレベルのたかさや彼女たちの今後のさらなる可能性を感じる大会となった。

優勝者: 鈴木 仁菜 (日本)

「FLATARK produced by ARK LEAGUE in YUSF」にて2年連続優勝を収めており、日本の女子BMXフラットランド界を牽引するライダーの一人となった彼女。高身長を活かした豪快なトリックの数々は観客を魅了するが、今大会にて唯一の80点超えという男子顔負けの得点を記録し、まさに今後の女子BMXフラットランド界をネクストレベルへ引き上げる中心人物となる可能性を感じさせた。

準優勝者: 宮嶋 歩菜 (日本)

昨年のJFBFシリーズでは負けなしの大型ルーキーでに全日本タイトルを獲得した彼女が、FISEという世界最高峰の国際大会でも素早い動きの中に完成度の高いフロントトリックをたくさん組み込むライディングでその強さを見せた。

第3位: 清宗 ゆい (日本)

2023年の世界大会「FLAT ARK 2023 in 阪神甲子園球場」では3位入賞を果たし、最近頭角を表している彼女が今回も3位入賞。フロントトリックでのスピンやポジションをスイッチするレベルの高さが定評のある彼女が今年も幸先良いスタートを切った。

大会結果

(*予選の順位が最終結果として反映されます。)

BMXフリースタイルパーク

<男子エリート>
優勝: アンソニー・ジャンジャン / フランス 91.50pt
準優勝: ローガン・マーティン/ オーストラリア 91.00pt
第3位: ニック・ブルース / アメリカ合衆国 87.10pt
4位: 中村輪夢 (ナカムラ・リム) / 日本 86.36pt
12位: 溝垣丈司 (ミゾガキ・ジョージ) / 日本 73.6pt
17位: 小澤楓 (オザワ・カエデ) / 日本 66.63pt


<女子エリート>
優勝:  ハンナ・ロバーツ / アメリカ合衆国 79.00pt
準優勝: マカレナ・グラセット・ペレス / チリ 72.40pt
第3位: ヤー・ウェン・デン/ 中国 66.90pt
7位: 内藤寧々 (ナイトウ・ネネ) / 日本 59.90pt
9位: 大池水杜 (オオイケ・ミナト) / 日本 58.40pt

BMXフラットランド

<男子エリート>
優勝: 片桐悠 (カタギリ・ユウ) / 日本 93.00pt
準優勝: ジーン・ウィリアム・プレボースト / カナダ 89.33pt
第3位: 荘司ゆう (ショウジ・ユウ) / 日本 87.33pt
4位: 佐々木元 (ササキ・モト) / 日本 84.33pt
5位: 片桐亮 (カタギリ・リョウ) / 日本 83.00pt
7位: 内野洋平 (ウチノ・ヨウヘイ) / 日本 81.33pt
8位: 早川起生 (ハヤカワ・キオ) / 日本 79.50pt
9位: 田圓尚人 (タマル・ナオト) / 日本 78.67pt
10位: 菅原脩 (スガワラ・シュウ) / 日本 78.33pt


<女子エリート>
優勝: 鈴木仁菜 (スズキ・ニイナ) / 日本 80.33pt
準優勝: 宮嶋歩菜 (ミヤシマ・アユナ) / 日本 64.33pt
第3位: 清宗ゆい (キヨムネ・ユイ) / 日本 62.00pt
4位: 中川きらら (ナカガワ・キララ) / 日本 61.33pt

イベント概要

開催日程: 2024年2月23日(金・祝)~25日(日)
開催場所:江の島島内特設会場
開催概要:
(1) UCI BMX FREESTYLE WORLD CUP ENOSHIMA JAPAN 
日本では5年ぶりの開催となるUCI公認世界大会
(2) ミュージックライブ
さまざまなジャンルのアーティストによるスペシャルライブ
(3) 湘南-Food Festival【入場無料】
地元湘南・藤沢エリアのグルメが集結
主催:ENOSHIMA WAVE FEST 実行委員会
共催:一般社団法人全日本フリースタイルBMX連盟
後援:神奈川県、藤沢市、公益社団法人藤沢市観光協会、湘南藤沢活性化コンソーシアム、 一般社団法人日本アーバンスポーツ支援協議会
協力:株式会社湘南なぎさパーク、江の島振興連絡協議会、江の島防災対策協議会
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ゴールドパートナー 株式会社フジタ
シルバーパートナー 株式会社関電工
ブロンズパートナー 株式会社京三製作所

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