満を持して侍ジャパンに参戦する山下のピッチングが楽しみだ(C)産経新聞社 3月6、7日に行われる侍ジャパンの強化試合・欧州選抜戦のメンバーが発表された。今秋のプレミア12に向けて新戦力発掘が大きな目的となり、多くの初…
満を持して侍ジャパンに参戦する山下のピッチングが楽しみだ(C)産経新聞社
3月6、7日に行われる侍ジャパンの強化試合・欧州選抜戦のメンバーが発表された。今秋のプレミア12に向けて新戦力発掘が大きな目的となり、多くの初選出者が生まれた。その中から今回は山下舜平大(オリックス)について紹介したい。
■次なる怪物
最速160kmのストレート、縦に割れるパワーカーブに加え、フォークも高品質ーー。
山下はこの3球種のみでプロの世界を歩み始めた。ストレートとカーブで投球割合の9割を占めるスタイルは、その制圧ぶりを含めて江川卓(元巨人)を彷彿させる。
実働はまだ1年のみだが、野球ファンに強烈なインパクトを残しており、令和の怪物・佐々木朗希(ロッテ)と並ぶ、若き剛腕だ。すでにMLBからの熱視線も浴びている。
「舜平大(しゅんぺいた)」という名前は、20世紀を代表する経済学者、ヨーゼフ・シュンペーターから名付けられている。母親が「発音しやすく海外の人も呼びやすい」からだという。
ドイツ人のシュンペーターは「イノベーション(革新)が経済を変動、成長させる」という理論を構築。彼の没後70年余りが経ち、21世紀の日本で新たな“シュンペーター”が野球界にイノベーションをもたらしてくれるだろうか。期待は高まるばかりだ。
■最初のインパクトは「合同練習会」
福岡県出身の山下は福岡大大濠高で2年時からエースを務めるも、甲子園出場はなし。最後の夏がコロナ禍と被ったのも不運だった。
一方で、野球ファンに最初のインパクトを残したのも、その最後の夏だった。8月末に甲子園球場で開かれた「プロ志望高校生合同練習会」である。コロナによって実戦機会が少なかった高校生を対象に行われたもので、プロ野球の合同トライアウトのように、投手と打者がシート打撃で対戦する形式だった。
山下はこの時、最速153キロの速球で押して、打者5人に対し3奪三振の好投。プロ志望届を出せば上位指名は確実視されていたが、その実力を大いにアピールした。
迎えたドラフト会議では、オリックスが1位指名。プロの世界に身を投じた。
■デビュー戦は開幕投手
2年目までは1軍登板がなく、2軍で汗を流した山下。ただ、1軍の非公式試合で登板したり、ポストシーズンでベンチ入りするなど、潜在能力は早い段階から首脳陣に認められていたようだ。
その証拠に、3年目のデビュー戦はなんと開幕戦の先発投手(3月31日、西武戦@ベルーナドーム)。山本由伸、宮城大弥がWBC帰りだった事情はあれど、大物らしく快挙で飾ったデビューだった。
2戦目(4月11日、楽天戦@楽天モバイルパーク)でプロ初勝利を挙げ、そこから5連勝をマーク。間隔を空けながらの登板ではあったが、ひとたびマウンドに上がると相手を制圧する投球が続いた。
8月末に腰の張りを訴え、そのままシーズン終了となったものの、デビュー年で9勝&防御率1.61の好成績をマーク。新人王に輝き、背番号も憧れのダルビッシュ有(パドレス)や大谷翔平(ドジャース)が付けていた「11」に変更となった。
今回の侍ジャパン初選出は、その実力を考えると「満を持して」という印象だ。シーズンを順調に過ごせば、秋のプレミア12でも大きな戦力になるのは間違いない。まずは慣れ親しんだ本拠地・京セラドーム大阪で、ド派手に代表デビューを果たしたいところだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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