2月28日から開催されていたデンソーカップもいよいよ最終日。この日はグループステージの結果から対戦カードを組まれる、順位決定戦が行われた。 ヒル袈依廉(スポ3=鹿児島城西)、山市秀翔(スポ2=神奈川・桐光学園)が所属するU20全日本大学選…
2月28日から開催されていたデンソーカップもいよいよ最終日。この日はグループステージの結果から対戦カードを組まれる、順位決定戦が行われた。
ヒル袈依廉(スポ3=鹿児島城西)、山市秀翔(スポ2=神奈川・桐光学園)が所属するU20全日本大学選抜はグループA・3位のため、グループB・3位の関東選抜Aとの5位決定戦に臨んだ。関東でも実力のある選手が多く集まっている関東選抜A相手に互角以上の戦いを見せたU20全日本大学選抜。前後半通じて、互いに多くの決定機をつくるが決め切れず0-0のまま90分を終える。勝負の行方はPK戦へ委ねられた。緊張感漂う中行われたPK戦では、両チームともに4人目まで全員が成功。先攻、関東選抜Aの5人目も無事成功させるが、U20全日本大学選抜5人目のキックをキーパーがセーブ。この結果、関東選抜Aが勝利し、U20全日本大学選抜は6位で大会を終えた。早大からはこの試合に山市が後半頭から出場。過密日程の中、中盤で運動量を全く落とさず、攻守においてチームに貢献した。一方のヒルは初戦以来出場機会を得られず、本人としても課題が残る大会となった。
大会優秀選手に選ばれた山市
森璃太(スポ4=川崎フロンターレU18)と神橋良汰(スポ3=川崎フロンターレU18)が所属し、浅木柊人(スポ4=広島)がトレーナーとしてチームに帯同している関東選抜Bは日本高校選抜との7位決定戦に臨んだ。昨年は優勝しながら、今年はグループステージを全敗で終え、さらに未だ無得点の関東選抜B。序盤は相手に押し込まれる時間も続くが、徐々に自分たちの時間をつくれるようになる。すると39分に先制に成功。この勢いのまま追加点を奪いたいところではあったが、後半開始早々に同点に追いつかれると、直後に逆転弾を浴びる。そのまま反撃の糸口をつかめず、1-2で敗れ、まさかの全敗、最下位というかたちで大会を終えた。この試合には神橋が先発出場。持ち味の空中戦では相手FWに全く仕事をさせず、確かな手応えを得た。森も後半途中から出場機会を得たが、存在感は示せず。悔しい結果に終わった。
空中戦や左足のキックで存在感を示した神橋
5日間という大会期間を終えたデンソーカップ。山市が大会優秀選手に選ばれたが、早大勢が所属していた2チームは共に6位と8位。満足のいく結果とはならなかった。個人としても通用する手応えを感じたところもあれば、思ったプレーをできずに消化不良に終わってしまった選手もいるだろう。それでもこうした全国からレベルの高い選手が集まる環境でプレーできたことは、間違いなく大きな経験となったはずだ。自身のレベルアップ、チームの目標実現のためにも、この経験をア式蹴球部(ア式)に帰ってから良いかたちで消化してほしい。
(記事・写真 髙田凜太郎 写真 大幡拓登)
※学年は来年度のものです。
★Column/コラム トレーナーとしてのデンソーカップ
トレーナーとしてデンソーカップに参加した浅木
全国の大学サッカー部員の中から選りすぐりの選手が集まるデンソーカップ。プロのスカウトやメディアも多く集まり、この大会でアピールできれば間違いなく目に留まる。プロの世界へ羽ばたくための登竜門とも言える大会だ。そんな今大会だが、選手だけではない、アナリストやトレーナーといった学生スタッフもまた、全国の大学から選ばれた人が集まっている。ア式からは今回、浅木柊人が関東選抜Bのトレーナーとして参加した。普段は違うチームで活動する選手が集まる環境だからこそ、「いかに選手の心に入り込めるか」が一番難しかったという。その先の、この選手がどういった状況にあり、どういうケガをしているのかを把握するためにも、コミュニケーションを取ることの重要さが際立った。一方で、浅木がア式で任されている「フィジカルの部分が、他のトレーナーよりもしっかりできた」と、日頃ア式でやっていることが通用するという手応えも感じた。これから始まる長丁場のリーグ戦を戦い抜く上で、ケガ人を少なくする選手のコンディションを整えることは必要不可欠。トレーナーはチームに欠かせない存在となる。今回のデンソーカップで全国の舞台を経験した浅木。自身が痛感した課題と手応えをア式での活動に生かし、チームの1部復帰という目標達成の一役を担うことだろう。
コメント
浅木柊人(スポ4=広島)
――デンソーカップが終わりましたが、振り返ってみていかがでしたか
実際ケガ人も出た中で、自分にもっとできることが間違いなくあったのでそこはしっかりと反省して、この悔しさをばねにア式での活動に活かしていきたいと思います。
――トレーナーとして急造のチームに帯同する難しさ、具体的にはどのようなものがありましたか
最初はもちろんコミュニケーションの難しさを感じました。いつもとは違うメンバーとどのように仲良くなっていって、いかに選手の心に入り込めるか、というところが一番難しかったです。それができるようになってからも、その選手がどんなけがを抱えているか、どんなプレーをするのかによって色々と変わってくることがあるので、そこを把握することも難しかったかなと。一つ解決しても、そこからまた難しさが生まれてくる、というような大変さはありました。
――この大会で手応えを感じたこと、成長したと思う部分を教えてください
ア式でやっていて、こっちでも生かせることと生かせないことが明確にあるなということが分かりました。自分はメディカル寄りで活躍をしたい中で、ア式ではフィジカル寄りのことをさせてもらっているのですが、ここに来ると逆にメディカルの分野でできることがあまりなかったので。逆に自分が好んでやっていなかったフィジカルの部分が、他のトレーナーよりちゃんとできるというところで、改めてア式で良い経験をさせてもらっていると思いました。
――今大会の経験を今後ア式の活動にどのように活かしていきたいですか
ここでコミュニケーションの大切さや、そもそもア式での経験がいかに大事かということに気付けたので、ア式での残り短い期間後悔のないように勉強しながら頑張っていきたいです。
神橋良汰(スポ3=川崎フロンターレU18)
――今大会を振り返っていかがですか
4連敗というあり得ない結果を残してしまったというのは、関東の約3000人の(大学サッカー部員の)代表として、責任感も足りなかったですし非常に情けないなと思います。
――個人として得た手応えはありますか
空中戦の強さだったり左足のキックだったりは、自分で生かそうという意識で試合に入りました。ロングボールは受けてありきの武器でもあると思うので、前線の選手とコミュニケーションを取りながら実践しました。ヘディングはゴールキックで負けない、など前への気持ちの部分を毎回意識していました。
――セットプレーのターゲットになるなど、空中戦に関してはこういった舞台でも通用した感覚はありましたか
相手のFWが大きかったり選抜の選手にもヘディングを武器にしている選手も多かったりする中で、自分も全然まだまだですが通用する部分は多くあったと思います。今日は相手も高校生でしたし、フィジカル的な面では絶対に負けてはいけなかったので、結果には自信を持っていいのかなと思います。
――今大会初選出はご自身がプロを目指す上でも1つ大きな経験になったと思いますが
自分もこういったデンソーカップの舞台、昨年出られなかったのは悔しかったですし、シーズン終盤になるにつれて意識し始めていました。実際バックアップですが来られたのも縁だと思いますし、スカウトの方も沢山いらっしゃっていますが、バック陣として沢山失点してしまってまだ「プロ」ということは口には出せる段階ではないと思うので。また来年この舞台に戻って来られるように、まだ自チームで結果残したいなと思います。
――今大会得た経験、ア式の活動にどのように還元していきたいですか
こういった即席のチームというのはコミュニケーションが非常に大事だということは、もともと分かってはいたものの再確認できました。周りの選手の特徴をもっと早く把握して、もっと活かしてあげるプレーはもっと必要だなと今回感じました。周りを盛り上げる声や、コミュニケーションという部分はア式でも実践していきたいです。あとは国士舘大コーチの西田さんが非常に熱のある指導をしてくださって、そういったものはア式にはあまり無いですし、勉強になったのでア式に帰って自分から発信して、チームに還元していきたいなと思います。
ヒル袈依廉(スポ3=鹿児島城西)
――今大会全体振り返っていかがですか
初戦自分たちのチームが上手くいかなくて結局修正がきかないまま4失点してしまいました。自分自身もなかなか修正できず、チームを助けることができなかったですし、そのあと2戦、3戦目と出番が来ませんでした。去年も1試合しか出られなくて、勝つことができなかったのでそういった面では悔しい大会になったのかなと思います。
――ご自身の中で見つかった課題はありますか
今日も先発した豪(上林、明治大)は日常からチームに溶け込めるスーパーな存在で、自分に足りないものを彼はものすごく武器として持っていて、そういった部分で劣っているということが明確になったと思っています。チームを鼓舞する、支える側として、キーパーとしてももちろん大事だと思うので、すごく勉強になりましたし課題だと思います。
――上林選手の声出しや存在感的な部分はやはり刺激になりましたか
彼の立ち振る舞いは本当に関東屈指だと思います。大阪出身なのもあって性格にも出ていますし、すごく影響力がありました。
――今大会の活動をどのようにア式に還元していきたいですか
もちろん今話した課題を修正しながら、上級生としてリーダーシップを発揮していかなければならないですし、キーパーである自分から発信して1部復帰の目標を達成できるよう、全身全霊をかけて頑張っていきたいと思います。