サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニ…

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回のテーマは、「あこがれの場所」。

■リバプール遠藤航の「欧州初タイトル」

 2月25日に行われたイングランドの「カラバオ・カップ」決勝戦、チェルシーリバプールは、延長後半13分、PK戦まで残り2分というところでリバプールのDFフィルジル・ファンダイクが見事なヘディングシュートを決め、チームを1-0の勝利に導いた。

 リバプールの「アンカー」として先発し、最後までピッチに立ち続けたMF遠藤航にとって、欧州でつかんだ初めてのタイトル。試合後半に左足首を痛めながらも最後まで120分間を戦い抜いた。

 試合会場は例年どおりロンドンのウェンブリー・スタジアム。ウェンブリーは、イングランド代表戦とともにFAカップ(日本の天皇杯に相当)とカラバオ・カップ(日本のルヴァンカップに相当)の決勝戦、FAコミュニティーシールド(日本の富士フイルムスーパーカップに相当)など、ごく限られた試合にしか使用されない特別なスタジアムである。遠藤は、そうした試合でフル出場してカップを掲げた最初の日本人選手となった。

■現在のサッカーの聖地は「2代目」

 ウェンブリー・スタジアムはロンドンの北東部、ブレント区のウェンブリーにあるサッカー専用スタジアムである。9万人を収用する世界屈指の名スタジアムだ。しかし、特定のクラブのホームというわけではなく、特定の試合にしか使用されないため、「サッカーの聖地」とまで言われている。

 ロンドンの都心部からは、地下鉄(英国ではundergroundという)のメトロポリタン線、あるいはジュビリー線で20分ほどの「ウェンブリー・パーク」駅から歩くのが最もポピュラーなアクセス方法である。駅を出て階段を降りると、幅30メートルほどの歩行者専用道路がスタジアムまで、まっすぐ約600メートルにわたってのびている。現在のウェンブリーの象徴である巨大なアーチが、駅を降りるとすぐに見えてきて、一気に気分が盛り上がる。

 このアーチをシンボルとするスタジアムは「2代目」で、2007年に完成した。「初代」は1923年に完成し、2000年に最後の試合を行い、2003年までに解体された。新旧合わせて100年を超す歴史のなかで、ウェンブリー・スタジアムは数多くの伝説的な試合を生み、文字どおり「サッカーの聖地」となったのである。

■エッフェル塔を上回る「358メートルの鉄塔」

 20世紀初め、ここにはパリのエッフェル塔を上回る高さ358メートルと計画された鋼鉄製の「ワトキンズ・タワー」の建設地だった。だが、資金の不足により、タワーが47メートルの高さになったところで工事中止になり、結局1907年に解体撤去された。その跡地に建てられたのが、「初代」のウェンブリー・スタジアムだった。

 1924年から1925年にかけて行われた「大英帝国博覧会」の中心会場として建設され、当初の名称は「帝国博覧会スタジアム」、あるいは短く「帝国スタジアム」と呼ばれた。当初の計画では万博終了後に解体する予定だったが、ドッグレースの施設として残され、サッカースタジアムとしても継続されることになった。

いま一番読まれている記事を読む