埼玉西武ドラフト1位ルーキー武内夏暉インタビュー【「やってやる!」という気持ちが強い】 2024年シーズンに向けた春季キャンプ・オープン戦が行われる中、ルーキーたちが慣れないプロの世界で奮闘している。 昨秋のドラフト会議では、東都大学リーグ…

埼玉西武ドラフト1位ルーキー

武内夏暉インタビュー

【「やってやる!」という気持ちが強い】

 2024年シーズンに向けた春季キャンプ・オープン戦が行われる中、ルーキーたちが慣れないプロの世界で奮闘している。

 昨秋のドラフト会議では、東都大学リーグでプレーしていた7投手が1位指名を受けたが、その中でも3球団が競合して注目を集めたのが、國學院大から埼玉西武ライオンズへの入団が決まった武内夏暉投手だろう。最速153キロの速球と制球力を備え、「新人王候補筆頭」との呼び声も高く、春季キャンプでA班スタートを掴み取った。

新人王候補にも名前が挙がる西武のドラ1左腕・武内 Sankei Visual

 年末年始を地元の福岡でゆっくり過ごしたという武内は、1月の若獅子寮への入寮時に「高校時代から応援してくださっている知人が持ってきてくれた」と、同じ21番を背負って通算251勝を挙げた東尾修氏のベースボールカードを持ち込み、話題になった。

 2019年までの旧若獅子寮では、清原和博、松坂大輔、菊池雄星(現トロント・ブルージェイズ)など、球界の歴史を彩る選手たちの初々しい姿がメディアを賑わせていた。武内も、自分の部屋から手を振る"スター候補の儀式"を行なったが、その感想を問うと「ファンのみなさんが熱心に応援してくださるので、その期待に応えたいと思っています。(手を振った時は)緊張しましたが、今は『やってやる!』という気持ちが強いです」と、思いの丈を語った。

 1月17日のプロ入り初ブルペンでは、キャッチャーを立たせて24球を投じた。球種はすべてストレートで「実戦を意識しながら投げた」と振り返り、「気負わずに自分のペースでやれましたし、力まずに質のいいボールを投げられたのはよかったと思います。トレーニングをしながら、ケガなく1年過ごすことを意識していきたい」と、先発ローテーション入りが期待されるルーキーイヤーに意欲を見せた。

【意識して取り組む体幹の強化】


インタビューに答えた武内

 photo by Shiratori Junichi

 新人合同自主トレでは、新入団選手たちがトレーニングに励む様子がSNSなどで公開された。その中で武内は、大学日本代表でも共に戦い、大商大から2位指名を受けた右腕・上田大河や、「先輩に積極的に関わってくれるので、壁がなくやりやすい」と話す育成ドラフト3位の左腕・川下将勲らと、「年齢差はあるものの、それを感じさせない雰囲気で、毎日楽しい日々を過ごせています」と、充実した日々を過ごしていることを感じさせた。

 豊田清一軍投手コーチからは、「本当に焦らず、無理はしないように」というアドバイスをもらったという。

「(豊田コーチからは)ひとつひとつの練習に対して、そのトレーニングがなぜ必要なのかを教えてもらっています。そういった点が『質が高い』と言われている投手をライオンズが輩出してきた理由なのかなと思います」

 今季の武内が意識して取り組んでいるのは、「体幹」を鍛えるトレーニングだ。「毎日の練習でも、ハードなメニューが組み込まれている」というが、体幹の強化は、大学入学時に130キロ台後半の技巧派左腕だった武内を、最速153キロ左腕に変貌させた大きな要因でもある。

「体幹を中心に身体の筋肉を増やすことで、身体全体を使ったピッチングができるようになりました」

 大学3年時の2022年にエースとして國學院大を牽引し、春秋連続優勝を成し遂げた。「最高殊勲選手」に輝いたあと、同年秋には各リーグの勝者が集い日本一を決める明治神宮大会に出場し、「この時期に新たに覚えた」というツーシームを武器に、チームを初の決勝に導いた。試合は明治大学に1-0で惜しくも敗れたが、"大学ナンバーワン左腕"の実力を示した。

「実力派揃い」と言われた昨秋のドラフトでも、総合力などが評価されて3球団が競合したサウスポーは、キャンプ入り前に「やっぱり体幹は大切ですから、さらに強度を高めていきたいです。キャンプではきっと厳しい練習が待っていると思いますが、自分のいい成長の機会にできるように過ごしていきたい」と意欲を語っていた。

 同期入団の東都大学リーグ出身の7投手とは、プロの世界でも投げ合うことが予測される。その意気込みを語るとともに、開幕が近づく今季の目標をこう語った。

「大学のリーグ戦でも投げ合った細野晴希投手(東洋大→北海道日本ハム)と、プロの世界でも対戦してみたい。ただ、まずは信頼を勝ち取り、苦しい時にもチームを引っ張っていけるような投手になりたいです。多くの方からの期待にしっかり応えて、本当にファンに愛してもらえるような選手になりたいと思っています。みなさんと一緒に協力しながら、チームの勝利に貢献できるように全力で頑張ります」

 武内は2月23日の紅白戦に登板し、2回を無安打無失点。開幕ローテーション入りを目指して前進を続ける。

【プロフィール】
武内夏暉(たけうち・なつき)

2001年7月21日生まれ。福岡県北九州市出身の22歳。186cm・90kg。左投げ左打ち。最速153キロの投手。福岡・八幡南高では1年秋にベンチ入りしたが、甲子園の出場経験はなし。國學院大に進学後、2年秋の明治神宮大会2回戦で九州産業大を相手に無四球完封。3年秋のリーグ戦では4勝0敗、防御率0.68でMVPを受賞した。2023年ドラフトで3球団から1位指名を受け、埼玉西武ライオンズに入団した。