順当な出足を見せたヴィッセル神戸やサンフレッチェ広島らとは対照的に、前評判が高かった浦和レッズ、長谷川健太監督3年目の…

 順当な出足を見せたヴィッセル神戸サンフレッチェ広島らとは対照的に、前評判が高かった浦和レッズ長谷川健太監督3年目の名古屋グランパスが揃って敗戦。暗雲立ち込めるシーズンの幕開けになってしまった。

 まず浦和だが、昨季までの得点力不足を解消すべく、実績あるFWチアゴ・サンタナやノルウェー代表MFオラ・ソルバッケン、海外復帰組の松尾佑介、リズムを作れるアンカーのサミュエル・グスタフソンら強力な新戦力を続々と補強。ペア・マチィアス・ヘグモ新監督の戦術も短期間で浸透しつつあっただけに、開幕からロケットスタートを切るのではないかと思われた。

 だが、キーマン・松尾を右サイドで起用したのが裏目に出たのか、サイドの打開力という意味ではやや物足りなかった。松尾と関根貴大は状況に応じて左右を入れ替えており、松尾が左に行った時の方が推進力が前面に出ていたため、やはり彼は定位置の左に固定すべきだったのではないか。

 もう1つ気になったのは、渡邊凌磨の左サイドバック(SB)。昨季までプレーしていたFC東京では2列目を主戦場にしていて、アタッカーとしての能力を発揮していた彼を左SBにコンバートするというのは大胆なトライだった。本人は「どこのポジションも問題なくこなせる」と自信満々で、ともに最終ラインを形成するマリウス・ホイブラーテンやアレクサンダー・ショルツらとも得意のドイツ語で意思疎通を図っていた。

■伸びしろはJ1トップ

 しかし、広島にとってはそこが狙い目だったのだろう。前半から渡邊のところを狙い撃ちするようなサイドチェンジやタテパスを多用。浦和の左の上がりを封じ、主導権を握ることに成功。大橋祐紀の2ゴールによる勝利に持ち込んでいる。

 ヘグモ監督が3月3日の東京ヴェルディ戦に向けてどのような修正を図ってくるかが見ものだが、浦和にはまだベールを脱いでいないソルバッケンがいるし、サンタナやグスタフソンも調子を上げてくるはず。松尾や前田直輝といった槍のようなアタッカー陣ももっと推進力を出せる。伊藤敦樹ら既存メンバーもギアを上げることが可能だ。伸びしろはJ1トップと言ってもいい陣容だけに、ここからが本番。広島戦の反省を生かすことが肝要だ。

 一方の名古屋は鹿島に対し、あまりにもアッサリやられ過ぎた印象だ。最大の問題点は守備陣。昨季の主力だった中谷進之介ガンバ大阪藤井陽也がコルトレイクへそれぞれ移籍。丸山祐市も川崎へ赴く中、最終ライン再編の必要性が生じ、ハ・チャンレを補強。既存の野上結貴河面旺成とコンビを組ませるべく準備を進めてきたはずだった。

 けれども、ハ・チャンレと河面が揃って負傷。開幕は井上詩音と三國ケネディエブスが先発することになった。その2人がシャヴリッチの2点目に絡むなど低調なパフォーマンスを露呈。「僕がマークについた選手に簡単に剥がされてしまった」と三國も反省しきりだったが、それでは長谷川監督の目指す堅守速攻のスタイルは具現化できない。ハ・チャンレと河面の復帰待ちというところもあるだろうが、まずは手堅い守備を確立させるところから取り組むべきだろう。

■森保監督も熱視線を送ったルーキー

 ただ、そういった中でも、個の打開力に秀でる大卒ルーキー・倍井謙が爪痕を残したのは朗報だ。視察した日本代表森保一監督も、鹿島の濃野公人について聞かれたのに、いつの間にか倍井のことを語っていたほど、強烈に脳裏に焼き付いたのだろう。日本代表歴のある山中亮輔、個人昇格組の小野雅史ら新戦力ももっと融合してくれば、チームの大きな力になりそうだ。

 現時点では最下位という不本意な位置に沈んでいるが、名古屋がこのまま下位に低迷することはないはず。ここからの立て直しに期待したい。

(取材・文/元川悦子)

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