第2回はフリースタイル部門。モーグルを専門とする伊藤真凛(スポ1=東京・クラーク記念国際)とスノーボードクロスを専門とする櫻井虹太(スポ1=群馬・沼田)。高校時代から日本そして世界で活躍するお2人にお話を伺った。※この取材は8月5日に行わ…

 第2回はフリースタイル部門。モーグルを専門とする伊藤真凛(スポ1=東京・クラーク記念国際)とスノーボードクロスを専門とする櫻井虹太(スポ1=群馬・沼田)。高校時代から日本そして世界で活躍するお2人にお話を伺った。

※この取材は8月5日に行われたものです。

「一緒に話していて楽しい」(伊藤)

――お互いに紹介をお願いします

櫻井 伊藤真凜さんです。スキー部のフリースタイル部門でモーグルをやっている選手で、競技歴は12年です。明るくて、なんというか陽気で1年生の中でも賑やかでムードメーカー的な存在です。

伊藤 彼は櫻井虹太くんです。スキー部ではフリースタイル部門に所属していて、スノーボードクロスクロスをやっています。競技歴は8年です。彼は部活の中でも結構私と同じようなテンション感でいてくれているので、同じように陽気な方だなと思っていて、一緒に話していて楽しいなと思います。

――初めて会ったのはいつですか

櫻井 初めて・・・、入学式かなと思います。

――その時の印象は覚えていますか

櫻井 元々インスタグラムで見て知っていて、リザルトも残していてすごい選手なんだなと思っていました。

伊藤 私も元々知っていました。初めて喋ったのは入学式の後で、1年生全員で焼肉屋さんに行った時に隣の席で、インスタがつながっていたので話しやすいなと思いました。

――その時の印象と今違うことはありますか

櫻井 全然違います。自分の考えているアスリート像があって、真面目に本当にスキーのことしか考えていなくてひたむきにスキーをやってきたのかなと思っていました。もちろん真面目にやっているんですけど遊ぶときは遊んで、こういう一面もあるんだなと思いました。

伊藤 結構同じような感じで最初に会った時はクールな感じなのかな、親しみにくいのかなと思っていたんですけど、全然クールでもなく楽しい、本当に面白い親しみやすい方でした。

――スキー部に元々知っている先輩はいらっしゃいましたか

櫻井 自分は知っている先輩はいなかったです。スノーボードは珍しくて、今在学している人は1年生に僕ともう1人いるだけなので、その競技であまり関わることがなかったです。

伊藤 私はもう卒業している先輩なんですけど、西沢岳人(令4スポ卒=現チームリステル)さんです。同じモーグル競技として一緒に遠征に行くこともあったので、その方から早稲田大学スキー部というのはこういうところだよと聞いていました。

――スキー以外の特技はありますか

櫻井 スノーボードを始める前にスケートボードを3歳くらいからやっていて、スケートボードが得意です。海外遠征の合間に持っていってやっています。

伊藤 スポーツの特技はないんですけど、喋ってって言われたら永遠に喋り続けることができます。

――今はどんな練習をされていますか

櫻井 自分がやっているスノーボードクロスという競技はレースで4人くらいで一緒に滑ります。ぶつかることも結構多いです。だから自分より大きい海外の選手とかに当たり負けないように、フィジカル強化をしています。ウエートトレーニングが多いです。ベンチプレス、スクワットとかハイクリーンとかです。

――最高何キロくらい上げられるんですか

櫻井 スクワットは160キロくらいです。

――伊藤さんはいかがですか

伊藤 夏はウォータージャンプという練習方法があって、取り組んでいます。もちろんフィジカル面での強化でトレーニングもしますが、その他にモーグルはコース上に2つのエア台があり、ジャンプをするのでそこで点数を出すために練習をしています。

――その練習で雪上のような感覚を再現できるという感じですか

伊藤 そうですね。ブラシなので雪とは滑り方や抜け感は違いますが、エアのジャンプ自体の感覚的なものはあまり差がないかなと感じています。

――スキーを始めたきっかけを教えてください

櫻井 元々スケートボードをやっていてスケートボードの友達に誘われて小学2年生の時にスノーボードを始めました。

伊藤 私のおじいちゃんがスキーのスクールの先生をやっていて、母が櫻井くんと同じスノーボードクロスをやっていました。それで選手としてやっていた訳ではないんですけど、雪山に行く機会が多かったです。小さい頃からやっている中で最初はアルペンをやっていたんですけど、スキーの技術を上げるためにスクールに入った時にモーグルと出会って、楽しいと思って競技を始めました。

「強みがないことが自分の強み」(櫻井)

――競技面における自分の強みはなんですか

櫻井 自分の強みですか・・・。自分の強みがないことが自分の強みです。スノーボードクロスはいろいろなコースがあるんですけど、自分の得意なものがない時に落ち込んじゃうとかその日のメンタルが左右されるので、それがないことが自分の強みです。

伊藤 私の強みとしては、フロントフリップというジャンプの技です。前に回る技でそのジャンプをやっている人が競技の中でもあまりいなくて、そういう面ではみんながあまりやっていない技を自分ができるというのは点数が出やすく自分の強みかなと思っています。

――ここまでのスキー部での生活を振り返っていかがですか

櫻井 春学期は秋学期に向けて単位をたくさん取ったので、授業のオンデマンドとかがすごく大変だったなという印象です。自分のトレーニングも高校時代よりも取り組めたのかなと思うので、そういう部分は良かったかなと思います。

伊藤 私も春学期に単位をたくさん取ったので忙しいのかなって思っていたんですけど、やっぱり大学生というのもあって結構空き時間が多いなと思います。こんなにも単位を取ってるのに空き時間も多くて、意外と暇なのかなと思うこともありました。あとは高校の時に私は部活動に所属していなかったので、初めて部活動という中で活動して、競技は違っても早稲田大学というチームで行動していくための寮生活だったり、仕事だったりというのが今まで自分がやってこなかった分、辛くもあったし驚きもありました。

――ここまでのスキー部の練習ですごいなと思った方はいますか

櫻井 ランナー(クロスカントリー)部門はすごいなと思いますね。本当に尋常じゃない距離を毎日走っていて、ストイックですごいなと心から思います。

伊藤 私はアルペン部門の方々です。週に3日くらいウエートしていて、ずっとウエートルームにいます。同じ部屋の先輩がアルペン部門の先輩なんですけど、暇があったら走りに行くとかウエートルームに行くとか、トレーニング量が多いので、私も見習わなきゃなと思います。

――早大に入学した理由を教えてください

櫻井 早稲田のスキー部は種目は違いますが、オリンピック選手をたくさん輩出していて、自分もオリンピックに出たいという夢があるので、オリンピアンの生活を間近で見られるのは自分にとっていい財産になるんじゃないかなと思って入学しました。

伊藤 私が早稲田大学に入学したのはやっぱりスキー部があるからというのがあって、スキー部は強いというのもあったしモーグルで早稲田大学にいた先輩もすごくストイックな方だったので、競技に集中できる環境が1番に揃っている場所なのかなと思っています。練習場所も夏のウォータージャンプが近くにあったり、寮生活だと学校から近いのでトレーニングもできたりとか、そういう面で環境が1番整っているのかなと思って入学しました。

――尊敬する選手はいらっしゃいますか

櫻井 フランスのピエール・ボルティエという、もう引退した選手です。オリンピックで2連覇していて、スノーボードクロス界で格が違うくらい速くて憧れです。

――滑りなどを真似されているんですか

櫻井 遠征を海外でした時に、滑りの丁寧さが全然違っていて、その丁寧さを自分も取り入れていきたいなと思っています。

――伊藤さんはいかがですか

伊藤 尊敬する選手は杉本幸佑選手(株式会社デイリーはやしや所属)という、同じ長野県の選手です。その選手はトレーニングやスキーのことなどいろいろ考えが深いなと思うことが、話したり行動を見ていたりするとあって、自分の競技人生についても考えていて、そこが尊敬できるところです。

――今シーズンの目標を教えてください

櫻井 今シーズンの目標はまだどこかは分かりませんが、ヨーロッパのどこかで世界ジュニア選手権があるのでそこで表彰台くらいまでいきたいです。

伊藤 私の今シーズンの目標はW杯に出場することです。の年末か年明けに選考会があるのと、シーズを通してアジアカップがあるのでそこでW杯の権利を獲得することです。

――最後に色紙に文字を書くとしたらどんなことを書きますか

伊藤 「幸運は勇者を好む」、英語で「Fortis Fortuna Adiuvat」という言葉です。私はこれを中学生の時の英語の教科書で見て、これいいなと思って自分の机のところに貼って飾ってあって、でも入学して寮に入って忘れていたので、今思い出しました。幸運は努力している人に来るという感じは分かるんですけど、この言葉では勇者を好むと言っているので、いろいろなことにチャレンジすることは大事だと思って、そういうところがいいなと思います。

櫻井 「タスクフォーカス」という言葉があって、競技とかでどうにもならないことってあるじゃないですか。レースで相手の動きや結果に左右されるんですけど、そういうことを考えずに自分のできることだけを考えて、自分のできることを目一杯やるというタスクフォーカスを意識して競技に取り組んでいます。

――ありがとうございました!

(取材・編集 堀内まさみ)

◆伊藤真凛(いとう・まりん)


東京・クラーク記念国際高出身。スポーツ科学部1年。フリースタイル部門(モーグル)。2022年度世界ジュ ニア選手権モーグル2位、2022年度全日本ジュニア選手権モーグル優勝。ハマっていることはホラー映画鑑賞、おすすめは取材日前日に同期と一緒に見た「呪詛」。フロントフリップというジャンプの技が強みの伊藤選手。今シーズン、その華麗なジャンプに期待が高まります!

◆櫻井虹太(さくらい・こうた)


群馬・沼田高出身。スポーツ科学部1年。フリースタイル部門(スノーボードクロス)。2021年度全日本選手権3位2022年度スイスジュニアレース2位。ハマっていることはビリヤード。スケートボード、ビリヤード、スノーボードとマルチな才能をもつ櫻井選手の今シーズンの活躍から目が離せません!