エディオンピースウイング広島にPKを告げる主審の笛が響き渡った直後に、浦和レッズのインサイドハーフ、小泉佳穂は思わず頭…
エディオンピースウイング広島にPKを告げる主審の笛が響き渡った直後に、浦和レッズのインサイドハーフ、小泉佳穂は思わず頭を抱えてしまった。
1点ビハインドで迎えた53分。ボールをまったく前へ運べない状況を打破しようと、ペナルティーエリア内までポジションを下げてきた小泉が、パスの預けどころを探していた左サイドバック、渡邊凌磨から横パスを呼び込んだ。
この瞬間を待っていたように、サンフレッチェ広島のFW加藤陸次樹がプレッシャーをかける。とっさに反応した小泉のトラップが大きくなったボールを、前半終了間際に先制ゴールを決めていたFW大橋祐紀があうんの呼吸で奪い取った。
自軍のゴールを目指す大橋を倒し、イエローカードをもらった小泉が反省する。
「あの場面でもどの程度まで無理やり繋いでいくかで、ちょっと迷っているところがあった。後半はチームで繋ぐことにもっとチャレンジしたんですけど、技術的な問題だけでなく、プレーの選択判断という個人戦術の面でもリスクが高かった」
FWピエロス・ソティリウが蹴ったPKはゴール左に外れた。しかし、広島に傾いた流れは変わらない。直後の55分。加藤が左サイドから上げたクロスに大橋が頭をヒットさせ、ゴール右隅に流し込んだ瞬間に事実上、勝負が決してしまった。
■関根貴大「解決方法をもうちょっと明確に」
期待のFWチアゴ・サンタナは、最前線で孤立する時間が多く、ロングボールを託されてもマーク役の荒木隼人にことごとく潰された。試合後には「今日だけは申し訳ない。外に家族を待たせているので」とだけ言い残して取材エリアを通過した。
今シーズンから指揮を執るペア=マティアス・ヘグモ監督は、左右のウイングをキープレイヤーにすえる。その左で先発した関根貴大は完敗をこう振り返った。
「繋ごうという意識がより強くなり、8番の選手がどんどん降りてきた結果として、前のスペースを自分たちで潰してしまう形になった。サンタナのところでボールが収まれば一番いいけど、それが無理だったら、次はウイングがどうにかしないといけない。チーム全員で解決方法をもうちょっと明確に整理できればよかった」
ボールを繋ぐ形にこだわり過ぎた浦和を、指揮を執って3年目になるミヒャエル・スキッベ監督のもと、相互理解と完成度をさらに高めている広島がすべての面で上回った。76分から途中出場した37歳のベテラン、興梠慎三が言う。
「相手には積み上げてきたベースがあったけど、ウチは監督が代わって公式戦のまだ1試合目。監督がやりたいサッカーを100%できたかと言うと難しかった。焦らずにやっていきたいけど、優勝するとなればどうしてもスタートダッシュが必要になってくる。これが連敗にならないようにやっていきたい」
近年にない大型補強で注目された浦和を、打ち負かすためのシナリオが開示された開幕戦。2シーズン連続で3位に入った広島だから可能だったのか否かは、埼玉スタジアムに昇格組の東京ヴェルディを迎える3月3日の次節で明らかになる。
(取材・文/藤江直人)