『大胆』をスローガンに掲げて始動した早大の春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)第10戦の東海大戦。幕開けから、セッター前田凌吾(スポ2=大阪・清風)がクイックを使う大胆なセットアップを見せた。MB麻野堅斗(スポ1=京都・東山)をおとりとし…

 『大胆』をスローガンに掲げて始動した早大の春季関東大学リーグ戦(春季リーグ戦)第10戦の東海大戦。幕開けから、セッター前田凌吾(スポ2=大阪・清風)がクイックを使う大胆なセットアップを見せた。MB麻野堅斗(スポ1=京都・東山)をおとりとしたOH水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)のライトスパイクなど、多彩な攻撃で相手に的を絞らせない。前田の片手でのディグから、OP畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)がセットし水町が決めるなど、崩された際にも冷静な対応を見せる。一方守備面も好調で、水町・麻野やMB伊藤吏玖副将(スポ4=東京・駿台学園)のブロックポイントが相次いで出た。OH山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)のサービスエースが出た時点で15-8と圧倒。その後は前田のツーアタックや、ミドル陣のクイック、畑の軟打などで点を重ねる。強引にはいかずに着実にサイドアウトを取り、25-19でセットを先取した。


構える麻野

 第2セットは、序盤から双方にサーブミスなどが多く出て、勢いが停滞する時間が続いた。それでも、伊藤のサーブから5連続得点し、12-10と一歩前に抜け出した。ブロックでワンタッチを取りながら、両エースを中心にトランジションアタックを展開する流れも見られた。 後半には、水町が緩急あるスパイクで相手を翻弄(ほんろう)する。この水町のサービスエースでセットポイントを獲得すると、最後は山田が決めて25-21。

 続くセットは、リベロ布台駿(社4=東京・早実)が2本連続で相手の強打を拾う好守備を魅せた。山田が何度もスパイクに跳び、タッチアウトを取らせてこのラリーをものにする。伊藤のサーブがネットインでエースとなり、9―4でタイムアウトを取らせた。この後、早大のアタックミスなどが複数出て拮抗(きっこう)した展開となったが、山田が躍動し流れを渡さず。鋭いクロススパイクに対し相手がはじいた球は2階席にまで及び、暗雲を切り裂いた。終盤、水町のスパイクがブロックされるなど、相手の3連続得点で24―23まで迫られたが、一旦タイムアウトを取り、最後はリベロ荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)のレシーブから水町がクロスに決めきって決勝点とした。


水町主将のフェイクトス

 「2セット目と3セット目は点差がついても終盤、追いつかれてしまうことがあったので、チームとしてはあま りよくなかった」と伊藤が振り返ったように、圧倒していた第1セットから一転、2セット目以降細かいミスが多 く見られた場面もあった。しかし、そのような状況でも4年生を中心に声掛けをし、デュースに持ち込ませず、セ ットカウント3―0(25―19、25―21、25―23)で勝ちきった。翌日、最終戦の中大戦は惜しくも敗戦し、全勝 とはならず。優勝したものの選手たちの目には涙があり、勝つことの難しさを実感して春季リーグ戦を終えた。

(記事 五十嵐香音、写真 飯田諒)