大学日本一を決める大舞台。やや硬いスタートとなった第1セットだが、OH水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)が、最初のサーブでサービスエースを取る。一気に、試合に出ているメンバーのみならず、会場全体の雰囲気を持っていった。順大の粘り強いつなぎ…

 大学日本一を決める大舞台。やや硬いスタートとなった第1セットだが、
OH水町泰杜主将(スポ4=熊本・鎮西)が、最初のサーブでサービスエースを取る。一気に、試合に出ているメンバーのみならず、会場全体の雰囲気を持っていった。順大の粘り強いつなぎでラリーは長くなるが、早大は力を入れてきたブロックでしっかりと相手スパイカーをマークし、プレッシャーをかける。中盤はOH山田大貴(スポ4=静岡・清水桜が丘)とOP畑虎太郎(スポ2=福井工大福井)の勢いが止まらず、大きく先行する。ここで、「俺も忘れるな」と言わんばかりな、水町のインナースパイクが決まり、20点台に乗せた。山田とMB麻野堅斗(スポ1=京都・洛南)の高い壁がライトからの攻撃を阻み、セットポイントを握ると、25-17で第1セットを先取。


MIPを受賞した山田のサーブ

 続くセットは、序盤から4年生の活躍が光った。MB伊藤吏玖副将(スポ4=東京・駿台学園)のクイックや水町のサービスエースで一気に流れをつかむ。その後、早大のスパイクミスでブレイクされることはありながらも、主導権は一切渡さず着実にサイドアウトを取る。リベロ荒尾怜音(スポ4=熊本・鎮西)の二段トスから、水町がスパイクを打ち込み13-6。終盤にかけてはブロックで相次いでブレイクし、最後は麻野の足の長いクイックでセットを奪った。序盤から、前田のサーブのローテーションで連続得点した第3セット。リベロ布台駿(社4=東京・早実)のブロックワンタッチカバーから、畑のスパイクへとつなげる。中盤は、粘りを見せる順大が早大の攻撃をよくつなぎ、一度で決まらない場面もあった。しかし、ライトを効果的に使いながら多彩な攻撃が展開され、20―11と大幅にリードして大詰めへ。順大は主将の染野輝にボールを集め、エースの意地を見せる彼が早大ブロックから点をもぎ取っていく。しかし22-14の場面、伊藤と前田のブロックが染野を阻む。最後は相手のスパイクミスでセットカウント3―0(25―17、25―14、25―15)となり、早大の優勝が決まった。


優勝が決まり、固く抱き合う選手たち

 優勝が決まった瞬間、笑顔と涙があふれた。昨年とは違う、嬉しさと安堵からの涙を流す4年生。それを笑顔で支える後輩たち。各々、抱き合って喜びをかみしめた。主将の水町は、試合後のインタビューで「出る幕がなかった」と笑いながら述べた。昨年の準決勝で自分の連続被ブロックが「4年生を終わらせてしまう」と責任を背負い込んでしまった彼を、今年こそ支えるんだと、新体制が始まってすぐから何度も口にしてきたメンバーたち。誰か一人に頼っていたのではない、まぎれもなく全員でつかんだ大勝であり、4年生の集大成にふさわしい勝利だった。常に周りに気を配りチームを率いてきた、優しくも頼もしい4年生は卒業するが、彼らの姿は下級生の目に焼き付いた。こうしてまた、新しい「早稲田」が紡がれていく。どのようなチームが再始動するのか、今年も楽しみで仕方ない。

(記事 五十嵐香音、写真 町田知穂、渡辺詩乃)