■チアゴ・サンタナに代わるブラジル人FWを獲得 清水エスパルス、勝負の2024年シーズン。 昨シーズンの秋葉忠宏監督は…
■チアゴ・サンタナに代わるブラジル人FWを獲得
清水エスパルス、勝負の2024年シーズン。
昨シーズンの秋葉忠宏監督は、4-2-3-1と3-4-2-1を併用したが、そのどちらでもCFのファーストチョイスはチアゴ・サンタナだった。21年から3シーズン連続で2ケタ得点をマークしたブラジル人FWの穴を埋めるのは誰なのか。
ファン・サポーターの期待を集めるのは、FW北川航也だろう。クラブ生え抜きの27歳はキャプテンに指名され、クラブのエースナンバー「23」を5シーズンぶりに背負う。ゼ・リカルド前監督のもとではサイドで起用されたりもしたが、本来はストライカーだ。18年以来の2ケタ得点を記録し、前線の柱になるべき選手だ。
新たなブラジル人FWも加わっている。30歳のドウグラス・タンキだ。15年にJ2のザスパクサツ群馬、17年にJ1のアルビレックス新潟でプレーしている。当時の登録名はタンケだった。その後はポルトガルやトルコのクラブでプレーしている。188センチ、92キロの屈強なフィジカルを持つ彼が前線のターゲットマンとして機能すれば、2列目のカルリーニョス・ジュニオや乾貴士、松崎快らの「個」の力が引き出される。
北川とタンキに続く3番手以降は、現時点で横一線と言っていい。ファジアーノ岡山とザスパクサツ群馬へ期限付き移籍していたFW川本梨誉、FC今治と徳島ヴォルティスへ期限付き移籍していたFW千葉寛汰、プロ2年目の長身FW森重陽介、市立船橋高校から加入したFW郡司璃来ら、将来を期待されるタレントは多くいるものの、現時点での彼らは未知数な存在だ。J2優勝でのJ1昇格をターゲットとする清水では、まだ計算できる選手まで至っていない。
開幕ダッシュに失敗した昨シーズンを振り返れば、シーズンの入りが重要になるのは言うまでもない。そのためには、北川の爆発はもちろん2月中旬に合流したタンキの素早いフィットが望まれる。さらには、彼らがケガなどに見舞われた場合も想定すると、次世代のタレントの素早い台頭も期待される。
■守備のブロックはCBを素早く固めたい
守備のブロックはほぼ固まっている。
GKは権田修一だ。昨年のJ1昇格プレーオフに出場したGK大久保択生は移籍したが、世代別代表の経験を持つ沖悠哉が鹿島アントラーズから加入した。5人が争うGKは万全だ。
両サイドバックは右が原輝綺、左が山原怜音だろう。3-4-2-1のウイングバックにも対応する彼らの存在は、秋葉監督にとって頼もしいはずだ。原は3バックの右CBにも対応する。バックアップは右が北爪健吾、左が吉田豊と、経験豊富な選手がチームを下支えする。GKとサイドバックについては、控えの選手も含めて不安はないだろう。
ポイントは鈴木義宜の抜けたCBだ。
昨シーズン37試合出場の高橋祐治のパートナーは誰なのか。FC東京から期限付き移籍の蓮川壮大か、サンフレッチェ広島から加入した住吉ジェラニレショーンか。 蓮川はヴァンフォーレ甲府に期限付き移籍した昨シーズン、キャリアハイとなるリーグ戦31試合出場を記録した。住吉は秋葉監督指揮下の水戸でプロデビューを飾った選手で、対人プレーの力強さに定評がある。
J2リーグ戦における清水は、ボール保持率で相手を上回る試合が多い。そのなかでCBには、ビルドアップから前線へボールを出し入れし、カウンターに備えたリスクマネジメントが求められる。カウンターを受けた場面では、数的同数でも確実に危機を回避しなければならない。
このチームなりのCBの役割に照らすと、昨シーズンの経験がある高橋が軸になるのだろう。彼のパートナーを早く固めることで、守備の不安はなくすと同時に試合運びを安定させたい。
補強充実度:B
選手の入れ替わりはあったが、人材不足のポジションはない。あえて不安材料があるとすればFWか。北川とタンキがスロースタートになると、得点源不在に苦しむ可能性がある。逆に、彼がふたりが好調を持続していった場合、4-2-3-1のシステムに手を加えるのかどうか。こちらは贅沢な悩みだ。
昇格可能性:A
今シーズンもJ1昇格を逃したら、”J2の沼”にハマってしまうとの危機感は、クラブ全体の認識と言っていいだろう。昨シーズンは最終節の引分けで自動昇格圏の2位から転落し、J1昇格プレーオフ決勝では後半アディショナルタイムの失点で昇格を逃した。勝点1の重み、1点の重みを痛感した経験も、今シーズンを戦ううえでプラスになるはずだ。