元全仏オープン準優勝者のサラ・エラーニ(イタリア)は、薬物使用のため2ヵ月の出場停止を言い渡されたあと、自分は決して不正はしていない、と言いながら、涙を抑えるのに四苦八苦していた。 エラーニが2月のテストで禁止薬物レトロゾールに陽性反応を…

 元全仏オープン準優勝者のサラ・エラーニ(イタリア)は、薬物使用のため2ヵ月の出場停止を言い渡されたあと、自分は決して不正はしていない、と言いながら、涙を抑えるのに四苦八苦していた。

 エラーニが2月のテストで禁止薬物レトロゾールに陽性反応を示したため、国際テニス連盟(ITF)は月曜日に、彼女の出場停止処分を発表した。

 記者会見の場でエラーニは、彼女の母の乳ガンの薬から食事が汚染されたに違いない、と言い続けた。

「判決ははっきりしている。私は、女性にはドーピングの効果のない物質を知らないうちに摂取したことで、有罪との判決を受けた」とエラーニは言った。彼女は、レトロゾールはパフォーマンスを向上させる薬物ではない、と何度も繰り返し訴えた。

「私の母が摂取している薬が一体どうやって食事に紛れ込んだのかは、はっきりわからないけれど、それが考えられる唯一の可能性だわ。私たちは(密に検討した結果)その他のすべての可能性を排除したから」

 30歳のエラーニは、4月28日にテストの結果を告げられたが、出場停止処分を避けられるよう願いつつ、プレーを続けることを決めていた。

「プレーを続けるか、自分でプレーを中断するかは選手次第なのよ。私は続けようと決めた。なぜって、何も悪いことはしていないとわかっていたから。それは今も同じよ」と、彼女は言った。

「私は無罪になることを望み、そうなるために力を尽くしてきた。残念ながら、提出した髪の毛で行ったテストは、法律上の細かい規則のため、受け付けてもらえなかった。私はこれまでいつも、クリーンなスポーツのチャンピオンであり続けてきた。そして私は今も、意図的に禁止薬物を摂取した者は、生涯にわたり選手活動を許されるべきではない、と確信し続けている」

 審判団は、エラーニの過ちは、判断基準の中で度合いが低いほうではあるが、それでも8月3日から、2ヵ月間出場停止処分に服さなければならない、との判決を下した。

 エラーニの処分は10月2日に終わり、そのため彼女が全米オープンに出場することは不可能となる。

「この休止期間が、私によりいっそうのモティベーションを与えるよう願うわ」とエラーニは言った。「この休止期間を、このむごい経験とストレスから回復するために使えるよう願っている。いつもやってきたように、できる限りのハードワークを積み、以前より強くなって戻っていけるよう努めるわ」。

 エラーニは、次のように続けながら、抑えきれず涙にくれた。

「私の家族にとって辛い状況だけど、私たちはいっそう団結することができた。私は家族の皆を誇りに思うわ」

 エラーニはまた、2月16日から6月7日まで遡って、失格という処分を受けた。この期間の彼女の唯一の目につく成績は、5月のラバト(モロッコ)での準決勝進出、そして全仏オープンでの2回戦負けだけとなっている。

 彼女は、この期間に獲得したポイントの剥奪に対し、上訴するつもりだと宣言した。

 エラーニは繰り返し、また熱っぽく、嘘を報道したとしてメディアを批判し、「あなたたちは他の人々の人生と気持ちを弄んだのよ。私の、私の母の、私の家族の生活と気持ちを。私はそのことに、ものすごく腹を立てている」と言い添えた。

 エラーニは2012年、全仏オープンで決勝に進出し、そこでマリア・シャラポワ(ロシア)に敗れた。彼女はまた、ロベルタ・ビンチ(イタリア)と組んだ女子ダブルスで生涯グランドスラム(キャリアを通じて4つの異なるグランドスラムで優勝すること)を達成している。

 世界98位のエラーニは、そのWTAでのキャリアにおいて、9つのシングルス・タイトルと25のダブルス・タイトルを獲得した。彼女は2013年に、シングルス・ランキングでキャリア最高の5位に至っている。彼女はまた、イタリアが果たしたフェドカップでの3度の優勝にも貢献した。(C)AP(テニスマガジン)

※写真は薬物使用により、2ヵ月の出場停止処分を言い渡されたサラ・エラーニ(イタリア)。彼女は無罪を主張している。(写真◎Getty Images/1月の全豪オープンで撮影)

Photo: MELBOURNE, AUSTRALIA - JANUARY 19: Sara Errani of Italy celebrates winning a point in her second round match against Ekaterina Makarova of Russia on day four of the 2017 Australian Open at Melbourne Park on January 19, 2017 in Melbourne, Australia. (Photo by Quinn Rooney/Getty Images)