サマートロフィーとげんさんサマーカップから1週間。8月19、20日の2日間にわたって東京夏季大会が開催され、早大からはシニア女子の競技に馬場はるあ(社4=東京・駒場学園)と吉本玲(国教1=兵庫・芦屋国際中教校)が、シニア男子の競技に廣田聖…

 サマートロフィーとげんさんサマーカップから1週間。8月19、20日の2日間にわたって東京夏季大会が開催され、早大からはシニア女子の競技に馬場はるあ(社4=東京・駒場学園)と吉本玲(国教1=兵庫・芦屋国際中教校)が、シニア男子の競技に廣田聖幸(スポ3=千葉・東邦大東邦)が出場した。

★シニア男女ショートプログラム(SP)

 吉本玲(国教1=兵庫・芦屋国際中教校)は28人が出場したシニア女子部門ショートプログラム(S P)、全体の1番滑走で登場した。前週にエントリーしていたげんさんサマーカップは体調不良のため棄権した吉本。なんとか出場できた、という今大会だったが、ベストコンディションでは無かったのだろうか、ジャンプに精細を欠く。「確実に降りられるようにする練習が足りていないところが出てしまった」とプログラムの3つのジャンプ要素全てで転倒してしまった。ジャンプ以外の要素は全て加点のつく実施で、スピンは全てでレベル4を獲得。『展覧会の絵』の曲に合わせて緩急をつけたスケーティングや指先まで神経の行き届いた身体表現など、美点も多かった。しかし結果は、フリースケーティング進出条件の上位18人にわずかに届かずSP19位。18位の選手とはわずかに0・01点差だっただけに、やはりジャンプの失敗が悔やまれる結果となった。今後の大会に向けては、「体調管理もしっかりして毎試合ベストコンディションで臨めるように」と意気込む吉本。確かなスケーティング技術と表現力に、ジャンプの安定性が加えることができるかが、ブロック大会の成績を左右する鍵となる。


SPで演技をする吉本

 馬場はるあ(社4=東京・駒場学園)は25番滑走で登場。ピアノの和音が鳴り響くとゆっくりと顔を上げ、ショートプログラム『My Blood』の演技を始めた。  最初のジャンプ、3回転トーループは着氷時にややバランスを崩しオーバーターンになってしまう。「丁寧にそして慎重にやりすぎたため身体の動きがかたく、スピードが遅くなってしまった」と、冒頭のエレメンツからミスが出てしまった。続く3回転サルコウには2回転トーループをつけ、落ち着いてリカバリーするなど立て直しを図る。音に合った腕の動きや、指の先まで神経を行き届かせた表現を見せた中盤のスピンも丁寧に回り切り、フライングシットスピンではレベル4を獲得した。しかし、2回転アクセルでは回転不足の判定を受け、最後のスピンではレベルを取りこぼしてしまう。エレメンツでのミスを感じさせない成熟した4年生らしい演技に、演技終了後は観客から大きな拍手が送られたが、序盤と終盤にミスが目立つ演技となってしまった。  キスアンドクライでは演技が曲から遅れてしまったと反省点を述べていた馬場。得点は39・71点とミスが響いて伸び悩んだが、演技終了時点でFS進出が決まった。


SPの演技後、あいさつをする馬場

  シニア男子の競技に出場した廣田聖幸(スポ3=千葉・東邦大東邦)はSP5番滑走で登場。『It's gonna be alright』の曲に合わせ軽やかな演技を見せた。  最初の3回転フリップこそオーバーターンとなり減点されてしまったが、続く3回転−2回転のコンビネーションジャンプと後半の2回転アクセルは、ともに危なげなく成功させ、出来栄え点でもプラスの評価を得た。終盤のステップシークエンスでは、音楽に合ったダイナミックな滑りで会場を引き込み、大きな手拍子に包まれて華やかなステップを披露した。また、軽快な演技は、廣田の持ち味が十分に発揮されたものとなった。自身が課題として掲げるスピン・ステップのレベルについては今回も取りこぼしが目立った一方で、SPの得点は46・61点。全体7位で翌日のFSに駒を進めた。


SPで演技をする廣田

★シニア男女フリースケーティング(FS)

 SP12位でFSの舞台に挑んだ馬場は、新プログラム『ムーラン・ルージュ』をお披露目。「ムーランルージュの曲が昔から好きだったことと、アシュリーワグナーさんのプログラムがとても素敵で、いつか滑ってみたいなと思っていた」と、大学最後の年のフリープログラムに選んだという。前日のSPと一転、淡いピンクとグレーの生地にビジューやスパンコールが美しく散りばめられた衣装に身を包んで演技に臨んだ。  手を前に差し出すような振り付けで滑り始めると、美しく舞いながら徐々に加速し、ジャンプの軌道へと入っていく。最初に跳んだのは3回転ルッツ。両足着氷となり成功とはならなかったが、昨シーズン中盤から構成から外していたジャンプに挑んだ。その後は『ムーラン・ルージュ』の有名な旋律に乗せて次々とエレメンツをこなし、会場を引き込んでいく。力強い音楽に合わせて引き締まった表情で滑る部分と、ジャッジ席で前でパッと華やかな笑顔を見せる部分のメリハリが感じられる滑りを見せた。後半は「途中でスタミナが切れてしまった」と疲れが見られジャンプのミスが目立ったが、『Hindi Sad Diamonds』に合わせて最後のスピンを回り切り、演技を終えた。  久々の有観客開催となった東京夏季大会で大勢の観客を前に新しいプログラムを披露した馬場。村上佳菜子さん振り付けのこのフリープログラムは、「滑っていて楽しく、気がつくと終わっているようなお気に入りで大好きなプログラム」だと語る。このプログラムとともに、馬場は大学4年の特別なシーズンを駆け抜けていく。


FSで演技をする馬場

  大きなミス無く演技をまとめた前日のS Pから引き続き、当日の6分間練習でも調子の良さそうな様子を見せた廣田。名前がコールされると、数年ぶりに観客が戻ってきた東京夏季大会の会場からは「ガンバー! 」の声が複数とぶ。リンク中央について腕を下ろすと、東日本のファンにはお馴染みとなった「廣田聖幸の『ロケットマン』」の演技が始まる。冒頭、前週の試合では回転が抜けてしまっていたルッツジャンプを確実に決めると、プログラム前半の3回転ジャンプを次々着氷していく。特に、雄大なイーグルなどを組み込んだコレオシークエンスの後の3回転サルコウは美しく決まり、観客からは大きな拍手が送られた。続くコンビネーションスピンも回転速度を落とすことなく複数のポジションで回り切り、今季初のレベル4を獲得した。しかし、後半になると疲れが見え始め、回転が抜けて2回転になってしまうジャンプが続く。2回転アクセルでは転倒、終盤のステップ、スピンはレベル1となり、最後はフィニッシュポーズを解くとすぐに膝に手をつき、疲れた様子を見せた。点数は77・58点のFS10位で、総合8位。FSの演技内容について、後半のジャンプミスと演技構成点の低さを反省点としてあげ、「まだまだ体力をつけていかないといけない」、「これから滑り込む必要がある」と振り返った。その一方で、今までなかなか全ては決められていなかったプログラム前半の3回転を揃えられたことは、ブロック大会に向けて良い収穫となっただろう。年々エレメンツの精度を上げ、確かな成長を続ける廣田が、今年のブロック大会ではどんな演技を見せてくれるのか、注目だ。


FSで演技をする廣田

(記事 及川知世、吉本朱里、荘司紗奈 写真 吉本朱里、及川知世)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

結果

▽シニア女子

馬場はるあ

 

SP 12位 39・71点

FS 11位 72・40点

総合 11位 112・11点

吉本玲

 

SP 19位 34・74点

▽シニア男子

廣田聖幸

 

SP 7位 46・61点

FS 10位 77・58点

総合 8位 124・19点

コメント

▽シニア女子

馬場はるあ(社4=東京・駒場学園)

――今回試合に臨む上で意識していた点や目標を教えてください

 スピード感や体の動き、そしてジャンプで自分が今出来ることをしっかり出し切ることが目標でした。

――SP、FSの演技内容をそれぞれ振り返っていかがですか

 ショートは丁寧にそして慎重にやりすぎたため身体の動きがかたく、スピードが遅くなってしまい、ジャンプにミスが出てしまいました。フリーではショートの反省からスピードを意識して挑みましたが、途中でスタミナが切れてしまい失速してしまいました。どちらもスピンやステップのレベルの取りこぼしやジャンプの回転不足が目立ちましたのでそこを改善していきたいです。

――『ムーラン・ルージュ』は村上佳菜子さん振り付けですが、フリープログラムを『ムーラン・ルージュ』に決めた理由や、振り付けの過程で印象に残っていることを教えてください

 ムーランルージュの曲が昔から好きだったことと、アシュリーワグナーさんのプログラムがとても素敵で、いつか滑ってみたいなと思っていたのでこの曲に決めました。村上佳菜子先生の世界観や音の取り方、そして振り付けの覚え方など、全てが独特で、そして素敵だったので、振り付けの日を毎回楽しみにしていました。滑っていて楽しく、気がつくと終わっているようなお気に入りで大好きなプログラムになりました。

――来月の東京ブロックに向けての意気込みをお願いします

 試合を楽しめるよう、残り1カ月練習を頑張りたいと思います。ブロックでは今回の試合で見つかった課題を解決して、自分が出来ることをしっかりと出し切り自己ベストの点をとれることを目指します。

吉本玲(国教1=兵庫・芦屋国際中教校)

――先週のげんさんサマーカップを欠場されていましたが、今大会では調子はいかがでしたか

 先週は体調を崩してしまい残念ながら棄権しましたが、なんとか夏季フィギュアには出場できるようにすることができたので良かったです。

――SPの演技内容を振り返っていかがですか

 ジャンプは不安定でまだまだ確実に降りられるようにする練習が足りていないところが出てしまいましたが、前回出た試合よりもスピードをゆるめないことを意識しながら滑り切れました。スピンも新しくなったレベルの取り方でも4を揃えることができたのでこれから質も上げていきたいです。

――ショートプログラム『展覧会の絵』の中で気に入っている部分や、表現などで意識している部分があれば教えてください

 最初の振り付けの部分が美術作品で出てくるような彫刻をイメージした振り付けで気に入っています。表現面ではしっとりした曲調なのでメリハリがつけられるようにと、途中から曲調が変わるところでは体の動きを大きくしたりすることを意識してます。

――今後に向けての意気込み、目標をお願いします

 9月にはブロック大会などいろんな試合が始まるのでそれまでにスピードの落ちないプログラムの中でジャンプが決めていけるように練習を積んでいきたいです。体調管理もしっかりして毎試合ベストコンディションで臨めるようにします。

▽シニア男子

廣田聖幸(スポ3=千葉・東邦大東邦)

――SP、FSの演技内容をそれぞれ振り返っていかがですか

 ショートは今回はジャンプをある程度まとめられて、ジャンプの出来だけでどれだけ点数があるのかを知ることができました。スピンは今回はサマトロから順番を変えて挑みましたが、まだそこまで練習してなくて、練習不足で失敗してしまいました。点数自体にはあまり納得してはいませんが、下のPCSの点が少しずつ上がってきたので、そこは嬉しく思います。フリーは前半にジャンプを入れられたけど、後半疲れからパンクをしてしまったり転倒してしまって、そこはまだまだ体力をつけていかなかればならないと思いました。ただなかなか取れなかったコンビスピンのレベル4をようやく取ってもらえたので、そこは良かったです。下の点はショートよりも全然出ていないので、これから滑り込む必要があると感じました。

――サマートロフィーで意識されていたというスピンやステップは今大会ではいかがでしたか

 スピンは、ショートはサマトロから順番を変えて挑みましたが失敗してしまったので、ミスはミスでしょうがないと思っています。ただ、順番を変えたことにより、時間ギリギリで取れなかったレベルが取れそうなことは分かったので、そこはブロックに向けて練習すれば良いかなと思っています。フリーではコンビスピンでの回転速度の明確な増加を取ってもらえたので、少し自信になりました。ただ、まだ取りこぼしている部分もあるので、しっかり取れるように練習したいと思います。ステップはどちらもレベル1しか取れなかったので、コーチとブロックに向けてしっかり話し合って改善していきたいと思います。

――来月には東京ブロックが開催されますが、そちらに向けての意気込みをお願いします

 まずは、怪我なく練習をして、万全の状態で挑みたいと思います。そして、ショートで3+3のコンビジャンプを組み込みたいです。練習で少しずつ立てるようにはなってきたので、ブロックできちんと跳べるように頑張ります。点数的にはショートで最低50点、フリーは90点を目標に出したいと思います。順位的には半分よりも上を目指して頑張ります。