関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)第5節。いよいよ長いリーグ戦も折り返し地点を迎えた。現在4戦を終え、ついに白星がないのは早大のみに。是が非でも初勝利を挙げたい早大は、順大と対戦した。今季から関東学生リーグ1部に昇格してきた順大。早大として…
関東学生秋季リーグ(秋季リーグ)第5節。いよいよ長いリーグ戦も折り返し地点を迎えた。現在4戦を終え、ついに白星がないのは早大のみに。是が非でも初勝利を挙げたい早大は、順大と対戦した。今季から関東学生リーグ1部に昇格してきた順大。早大としてはここで確実に白星を挙げたいところだ。序盤は早大がその実力差を見せつけるかたちとなった。今季初の早大がリードで前半を終えると、後半もその勢いは止まることなく、7点差まで順大を引き離す。しかし後半中盤、早大の得点が止まり、7点差あった点差はみるみるうちに縮まっていく。試合終了間際に勝ち越しのゴールを順大に決められ、これで引き分け挟んでリーグ戦3連敗。早大は窮地に立たされることとなった。
先制点を挙げたのは早大。白築琢磨(文構3=東京・早実)がディフェンスの間を割って倒れ込みながらゴールを決める。さらに順大がシュートミスやパスミスで攻撃の機会を失っている間に、狩野直樹(スポ4=埼玉・浦和学院)のミドルシュート、鍋島弘樹(スポ1=福井・北陸)の速攻、田井健志(スポ4=香川中央)のポストシュートなどで早大は得点を量産し、開始早々6連続得点に成功。守りでは前半13分にGK塚本智宇(スポ4=富山・高岡向陵)が相手のスカイプレーを大の字となってセーブし、順大に流れを渡さなかった。上々の滑り出しを見せた早大はフローター陣を中心に得点を重ねる。しかし中盤に差しかかり、落ち着きを取り戻した順大。順大のミドルシュートが決まり始め、前半17分で9ー6と追い上げてくる。押され気味となった早大だったが、14ー12で辛くもリードを保って前半を終えることができた。
ジャンプシュートを放つ鍋島
今季初めてリードで前半を終えるものの、2点差まで詰め寄られ、油断はできない後半。後半開始直後いきなりスカイプレーを試みる順大にインターセプトでボールを奪うと、西村悠吾(人2=千葉・市川)が速攻を決める。さらに白築に対して順大がディフェンスの枚数を増やすが、早大は狩野と鍋島のミドルシュートで得点を重ね、攻撃陣の層の厚さを見せた。相手ディフェンスが早大のフローター3人全員を警戒せざるを得なくなったところで、再び白築のミドルシュートが決まる。ここで順大はタイムアウト。後半10分で21ー14と7点差をつけて順大を突き放す。タイムアウト明けも早大の流れは変わらなかった。早大の素早い攻撃に対応できない順大ディフェンスはファールで立て続けに退場者を出す。勝負あったかに思われたが、ここから順大の逆転劇が始まる。後半16分、順大に7mスローを決められた後、早大がスローオフした直後にパスカットされ速攻を決められてしまう。珍しいかたちの得点に順大の応援が盛り上がる。「後半相手が僕らに点数が近づいてくるとだんだん相手の応援も大きくなって」と鍋島が振り返るように、会場は一気に順大ムードに変わり、早大は順大の応援に飲まれる。さらに追い打ちをかけるように、早大は退場者を出してしまい、数的不利な状況に。順大は後半23分にスカイプレーで同点のゴールを決めて会場を沸かせると、後半24分にステップシュートでついに逆転。怒涛(どとう)の6連続得点で試合をひっくり返した。7点差あった試合だったが、どっちが勝つかわからない展開に。その後、点を取り合い、同点で迎えた後半29分。早大はタイムアウトを要求し、最後の攻撃に臨む。順大ディフェンスはミドルシュートを警戒して高い位置でプレッシャーをかける。早大は攻めあぐね、白築が苦し紛れに打ったシュートは相手キーパーに止められると、相手キーパーが弾いたこぼれ球を鍋島がゴールを狙うがこれも止められてしまう。残り20秒、今度は順大がタイムアウトを要求。早大はスカイプレーを警戒したのか、田井がマンツーマンにつく。しかし最後は相手がディフェンスに接触されながらも振り抜いたシュートがゴールを突き刺し、ゲームセット。その瞬間、会場が順大の歓喜の渦に包まれた。それとは対照的にうつむく早大の選手達。まさかの辛酸を嘗める結果となった。
試合終了後、うつむく田井主将
快勝ムードから一転、絶望の淵に突き落とされた早大。昨日に引き続き、終盤で勝利を逃した。試合終盤になると、プレーが消極的になってしまう負け癖は果たして解消されるのだろうか。次戦は春季リーグ優勝校、そして早大が目標とする全日本学生選手権(インカレ)において昨年優勝を成し遂げている中大だ。秋季リーグ一番の山場といえるだろう。「前を向いてやっていくしかない」と田井主将が語るように、今の早大に失うものなど何もない。チャレンジャーとして思い切ってプレーしてもらいたい。
(記事 丸山勝央、写真 近藤翔太)
関東学生秋季リーグ早大 | 28 | 14ー12 14ー17 | 29 | 順大 |
GK 塚本智宇(スポ4=富山・高岡向陵) CP 鍋島弘樹(スポ1=福井・北陸) CP 田井健志(スポ4=香川中央) CP 守屋雄司(スポ2=神奈川・法政二) CP 狩野直樹(スポ4=埼玉・浦和学院) CP 西村悠吾(人2=千葉・市川) CP 白築琢磨(文構3=東京・早実) |
コメント
田井健志主将(スポ4=香川中央)
――試合を振り返っていかがですか
チームのできとしては、前半の出だしもそうですし、後半の出だしも今までで一番良かったと思います。点差があれだけ開いて僕たちがリードする展開が秋リーグ(関東学生秋季リーグ)中で初めてでした。試合の内容としては良かったのですが、終盤、特にラスト10分に自分たちの悪いところが出てしまった試合だったと思います。
――後半に勝ちが見えてきた時にミスが生まれてしまいました
そうですね。国士館大戦、筑波大戦と同じですが、やはり僕たちが勝っていて点差がある状況に弱いのでもう少し練習していかないとなと思いました。
――次戦に向けてこの1週間でどのようなことが必要だと思いますか
1週間で技術がすごく上がるといったことはないと思うのですが、チームの雰囲気面で僕ができるのはそこかなと思います。負けが続いたり、勝てない状況が続いてしまったりするとチームの雰囲気が悪くなっていってしまうので、もう前を向いてやっていくしかないなと思います。反省することはもちろん大事ですが、後ろは見ずに、残り4戦を勝つことだけを考えて練習していきたいと思います。
――次戦の意気込みをお願いします。
中大は春(関東学生春季リーグ)に優勝して最も強大な敵の1つなのですが、そこに勝つことで今までの自分たちの悪い雰囲気も払拭できると思いますし、やっぱり早稲田は違うぞというところを他大に見せつけてやりたいなと思います。
鍋島弘樹(スポ1=福井・北陸)
――今日の試合を振り返っていかがですか
昨日の試合も日大戦でも同点で、チームのレベルは高くなっているとはいえ、最後勝ちきれないままだったので、今日絶対勝とうという話をしていました。前半はとても良くて、後半も最初良かったんですが、最後早稲田の弱いところが全部出たのかなと思います。
――最後弱いところが出てしまった原因は
やっぱり勝ちを意識すると、みんな消極的になってしまって、昨日の試合でも残り5分3点差で勝っていましたが、同じような展開で追いつかれて、今日は逆転されるというところが本当に僕たちの弱さなのかなと思います。
――そんな中でも一時逆転のゴールを決める活躍をしましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか
個人的には収穫のあった試合だったかなと思います。一年生ながらこうやって出られない先輩もいる中で自分が出してもらっているということにもっと自信持って今後の秋リーグもプレーしたいなと思います。
――戦ってみた順大の印象はいかがですか
チームとして戦っているなと思いました。応援もあっての順大のチームというか、後半相手が僕らに点数が近づいてくるとだんだん相手の応援も大きくなって、応援の力も大きいのかなと思いました。
――次戦への意気込みをお願いします
中大は強いので自分の100%以上の力を出して勝てるように頑張ります。