人には言いづらいおしりの悩み。排便時の痛みや出血に悩んでいる人は意外と多いのではないでしょうか。面倒くさい、恥ずかしいなどの理由で、痔を放置していると大変なことになってしまうかもしれません。また特に日中の寒暖差が大きいこの時期…

 人には言いづらいおしりの悩み。排便時の痛みや出血に悩んでいる人は意外と多いのではないでしょうか。面倒くさい、恥ずかしいなどの理由で、痔を放置していると大変なことになってしまうかもしれません。また特に日中の寒暖差が大きいこの時期はトイレでいきんだ際に血圧が上昇し、心筋梗塞の原因になることも知られています。こういったトラブルを回避するためにも、日頃からのケアが大事です。今回はおしりの悩みの原因と解消方法を紹介します。

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1.痔の種類と症状

痔には大きく分けて3つの種類があります。痔の原因や症状を種類ごとに確認していきましょう。

1-1.いぼ痔
いぼ痔は、排便時の強いいきみや肛門への過度な刺激により、直腸や肛門付近の毛細血管がうっ血し、いぼ状に腫れた状態です。肛門奥の直腸側にできる「内痔核」と、肛門近くの皮膚側にできる「外痔核」があります。内痔核は、軽い場合は排便時の出血のみで痛みはないものの、ひどくなるといぼが肛門の外まで出てくるため、痛みを感じます。外痔核は、出血はあまりありませんが、強い痛みを感じるのが特徴です。

1-2.あな痔
あな痔は、肛門に細菌が入って炎症を起こし、中に膿がたまってしまった状態です。肛門に重くて鈍い痛みや異物感があり、排便時以外でも痛みを感じます。化膿しているため、発熱を伴う場合もあります。膿が出た後も、膿の通り道ができた状態になり、化膿を繰り返してしまうため、あな痔の治療には手術が必要になることもあります。

1-3.切れ痔
固くなった便を排泄する際に、肛門が傷つき出血してしまうものを切れ痔といいます。便秘の人にみられる症状です。排便時や排便後もズキズキとした痛みを感じることがあります。痛みのために便意を我慢してしまい、便秘も切れ痔も悪化するという悪循環に陥りやすいので注意が必要です。(※1)

2.痔は放置しないで早めに受診を

痔は、軽度の場合は薬で治療が可能ですが、症状が進むと手術が必要になってしまうこともあります。また、排便時の出血や肛門の痛みを感じたら、大腸がんの恐れもあるため、すぐに医療機関で診察を受けましょう。

痔の治療は肛門科で行います。近くに肛門科がない場合は、外科や消化器外科で診てもらえることもあるので、確認してから受診するようにしましょう。

3.痔を予防する3つの具体策

痔の原因は日々の生活のなかに隠れています。病院を受診しても生活習慣を改めなければ根本的な解決にはいたりません。痔を治し、再発を防ぐためにも、継続的に痔の予防策を行っていきましょう。

3‐1.肛門に負担をかけない
痔は肛門への過度な圧力が原因です。便秘で排便時に強く長くいきんでしまうと、肛門周囲がうっ血してしまいます。食習慣や運動習慣を整えて便秘を解消する、排便時はいきむ時間を短くするなどして肛門への負担を減らしましょう。

また、デスクワークや立ち仕事など、長時間同じ姿勢を続けることも、肛門周囲のうっ血の原因となります。少し歩く、屈伸運動をするなど、できる範囲でからだを動かし、肛門周囲の血行をよくしましょう。(※2)

3‐2.おしりや腰を温める
おしりや腰を冷やすと肛門周囲の血行が悪くなりうっ血しやすくなってしまいます。
日中は、腹巻、インナー、携帯用カイロなどを上手に使い、おしりや腰を冷やさないようにしましょう。

夜はシャワーで済ませず温かい湯船につかりましょう。入浴は、肛門周囲の血行をよくするだけでなく、肛門付近の清潔さを保つこともできるため、痔の予防策として最適です。(※2)

3‐3.漢方薬を飲む
痔の対策法として漢方薬も使われています。
漢方薬のなかには「痔」に効果が認められており、泌尿器科や婦人科で処方されているものもあります。

痔は、便秘がちで排便の際にいきむこと、長時間、同じ姿勢をとることにより肛門がうっ血することで発症すると考えられます。

そのため、「腸の水分バランスを整えて便秘を解消する」「血行をよくして、痔の原因となるうっ血をとる」「肛門周囲の出血を抑える」といった働きをもつ漢方薬がおすすめです。

<痔におすすめの漢方>

・麻子仁丸(ましにんがん)
水分不足の腸をうるおし、コロコロと固い便をやわらかくして、排便を促します。便秘や痔にも用いられます。

・乙字湯(おつじとう)
血(けつ)の流れを整えてうっ血をとり、傷の治りも早めます。また、便の通りをよくして、排便時の痛みや圧迫を和らげます。

漢方薬は自分の体質や症状に合ったものを選ぶことが重要です。選び方がわからない、相談先に困っているといった場合は、あんしん漢方のようなサービスの活用もおすすめ。薬剤師が、AIを使ってそれぞれの症状や体質に合った漢方薬を選んでくれます。オンラインで診断から購入まで完結するので、忙しい人でもすぐに漢方薬を試すことができます。
漢方薬を活用しながら痔の根本的解消をしていくのはいかがでしょうか。

4.おしりの悩みから解放されよう

日本人のおよそ3人に1人が痔に悩まされているといわれています。(※3)症状が深刻化すると手術が必要になることもありますし、他の病気が隠れている可能性もあるため、おしりに違和感を抱いたらすぐに医療機関を受診することをおすすめします。今回紹介した予防策を試しながら、おしりの悩みゼロの生活を目指しましょう。

参考サイト
(※1)うつのみや病院「肛門疾患(おしりの病気)」独立行政法人 地域医療機能推進機構
(※2)健康の森「痔を予防する(悪化させない)ためには?」日本医師会
(※3)平田肛門科医院「痔は切らずに治す

[文:あんしん漢方]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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<この記事を書いた人>あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 碇 純子(いかり すみこ)

薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。