記憶にも新しい、今春慶大1回戦で代打逆転本塁打を放った島川叶夢(スポ4=熊本・済々黌)。今季からはスタメンに定着し、東大2回戦では本塁打を放つなど、勝負強さを発揮している。そんな島川に、早大での4年間や、早慶戦への思いを伺った。※この取材…

 記憶にも新しい、今春慶大1回戦で代打逆転本塁打を放った島川叶夢(スポ4=熊本・済々黌)。今季からはスタメンに定着し、東大2回戦では本塁打を放つなど、勝負強さを発揮している。そんな島川に、早大での4年間や、早慶戦への思いを伺った。

※この取材は10月11日にオンラインで行われたものです。

「自分がチームに貢献するんだという強い気持ち」


明大1回戦で適時打を放った島川

――今年は済々黌高と早稲田大学の先輩にあたる大竹耕太郎選手(平30スポ卒=熊本・済々黌)がプロ野球で活躍されていました。何か刺激は受けましたか

 先発の時は情報を結構気にして見ていました。やはりあれだけの成績を残されてすごいなというのがあって、そして自分も頑張っていきたいなと思っていました。大竹さんに憧れて早稲田にきて今野球をやっているので、自分も大竹さんまではいかないですが、活躍できるように頑張りたいなと思って見ていました。

――今回は早慶戦前対談ということで、島川選手が大一番の時に気合いを入れる方法などはあります

 特にないです(笑)。いつも通りという感じです。

――初めに今季のチームについて伺います。秋のリーグ戦を振り返ってチームとしていかがですか

 全員で優勝を目指して夏からずっとやってきて、やっぱり明大に勝たないと優勝は見えてこないと思っています。春は明大に2連敗して、秋は1勝したものの、その後2敗してしまって「まだ力が足りないな」とは思いました。それでも優勝を諦めているわけではなくて、みんなで一つになって今までずっとやることができているその粘り強さ、というのはこのチームの魅力かなと思います。

――最初のカードの東大戦ではいい形で勝ち点を獲得しました。振り返っていかがですか

 チームとしては思うようなバッティングはできずに、2戦目は特に序盤を抑えられて、苦しい試合でした。終盤に打線をつなぐことができて、それで勝てたのですが、快勝できたというわけではなかったので、そこは緊張感のある試合だったかなと思います。

――続く明大戦では初戦に勝利したものの、その後連敗で勝ち点を落としました。明大戦についてはいかがですか

 初戦は終盤に逆転といういい形で勝つことができました。しかし、明大は今3連覇中で力のあるチームというのはみんなわかっていた中で、2戦目、3戦目と自分たちのバッティングをさせてもらえずに、相手ピッチャーにしっかり抑えられてしまったのが、ちゃんと力負けしたなという感じです。

――立大戦は悪い流れを引きずらず、2連勝でした。立大戦に向けてどのような準備をされましたか

 明大戦が終わって、勝ち点を落としてしまったので、これから全勝しないと優勝は見えてこないぞ、という気持ちでみんな取り組んでいました。立大戦の1回戦は本当に苦しくて、最後の最後まで負けそうな試合でしたが、そこで逆転することができて、チームの底力を見せることができました。2戦目も勢いに乗ってしっかり勝てたかなと思います。

――春と比較して成長を感じる点はありますか

 数字には表れてないですけど、春よりはみんなフィジカルの面で強くなっていると思います。ピッチャーだったら、明らかに春よりも失点は少なく、投手力も上がっています。打撃陣も春ほどはまだ打ててないですが、みんな夏の練習を乗り越えて力をつけてきてはいるので、この先の試合でそれを見せることができるようにやっていきたいと思います。

――チームとしての課題はどのような点ですか

 負けた試合はやはり打てずに、いいピッチャーから点を取れないというのが課題でした。打撃ではとにかくいい投手を想定して、次の法大も慶大もいい投手がいるので、そういう選手を打ち崩せるように日々イメージしながら練習に取り組んでいます。

――この次の法大戦、そして早慶戦に向けてチームとして具体的にどのような練習をしていますか

 チームとしてやっているのはシートバッティングです。みんなとにかく試合を想定して、守備だったら一つのミスで負けるというのはわかっているので、そういう緊張感の中で練習に取り組んでいます。

――ここからは個人について伺います。ここまで個人の成績を振り返っていかがですか

 満足のいく成績を残すことはできていないのですが、自分は下位打線を打っているので、「下位打線を活気づけられるように」というのと、「チャンスでの1本」を考えてやっています。東大戦では逆転の一打を打つことができたり、明大戦ではタイムリーを打ったりしたのですが、やっぱり自分が潰しているチャンスというのも多くて、その1点で勝つか負けるかというのが決まってくるので、そこに関してはまだまだ突き詰められるかなと思っています。

――今季からスタメンでの出場となっていますが、今疲労面はいかがですか

 元気です(笑)!

――東大2回戦では逆転の本塁打を放ちました。振り返っていかがですか

 相手ピッチャーが変わった後で、東大の柱となるピッチャーを打つことができたのはよかったです。それが結果逆転とつながったので、チームとしても個人としても良かったのかなと思っています。

――明大1回戦では3安打1打点と勝利に大きく貢献しました。この試合についてはいかがですか

 東大戦は6番を打っていたのですが、明大戦では8番を打っていて、自分から攻撃が始まることが多かったです。1打席目はとにかく「出塁」という気持ちでヒット打つことができましたし、次の打席はチャンスで回ってきてタイムリーを打つことができたので、しっかり仕事はできたのかなと思っています。

――自分自身で今季成長を感じている点はありますか

 メンタル面での成長が大きいかなと思っています。今までスタメンで出ることがあまりなかった分、やっぱり東大初戦とかは緊張しました。でも試合をやっていくにつれて、「自分がチームに貢献するんだ」という強い気持ちが現れてきて、それは今までにない感覚で、成長したところかなと思います。

――逆に課題はどのような点だと思っていますか

 課題はとにかくバッティングです。言えばきりがないのですが、バッティングは10割打てるということはなかなかなくて、打てて3割という世界です。その中で周りには4割、5割で打ってる他大の選手もいるのでそういう選手を超えられるようにやっていきたいなと思っています。

「野球するために早稲田大学を目指していた」

――ここまでの大学野球人生を振り返って

 一言で言えば「あっという間」という感じです。気づけば秋の早慶戦か、という。やっぱり1年の頃から神宮に憧れて、練習も積んできて、自分が今実際に試合に出ることができているので、4年間通していい経験ができましたし、人間としても成長できたのかなと思う4年間です。

――一般受験で早大に入学されていますが、受験生時代はどのような思いで勉強に励んでいましたか

 とにかく野球するために早稲田大学を目指していたので、とにかく野球がしたいと思っていました。受験勉強をしている時も早稲田の動画だったり野球部の情報だったり、そういうのを見てモチベーションをあげながら勉強を頑張っていました。

――早大の野球部に入部した時、不安などはありましたか

 とにかく周りに上手な選手が多くて、ここでやっていけるのかなという不安は大きかったです。

――その不安を払拭した出来事があれば教えてください

 自分は下級生から出られるような選手じゃないということはわかっていたので、3年、4年になってから活躍できるように、というのを目指して下級生の頃はやっていました。体のトレーニングやバッティング練習は怠らずに、そこをコツコツとやっていくことで自信もついてきました。3年になってリーグ戦のベンチに入ることもできて、そういう面では下級生の頃の積み重ねというのは自信にもなりましたし、そこで成長できたかなと思います。

――早大の野球部の思い出の中で1番思い出に残っていることはありますか

 キャンプとかもありましたし、みんなで野球をするというのが一番楽しかったので、日々の練習もそうですし、みんなと過ごした時間というのが思い出に残っています。一つ具体的に挙げるのは難しいですが、みんなで過ごす、みんなで一生懸命練習する、そういう日々が1番楽しかったかなと思っています。

――3年生の春にリーグ戦初出場を果たしました。その時はどのような思いでしたか

 「やっと立てた」という気持ちと、「これからもっと頑張らなきゃいけないな」という気持ちがどちらもありました。結果的には初出場でホームランを打つことができたのですが、やっぱりまだ自分の実力はないと思いました。その後スタメンで出場したのですが、そこでは全く結果を残すことができなくて、やっぱり自分はまだまだだなと思ったのが3年春のリーグ戦デビューでした。

――同期の中では島川選手と同じように公立高校からスポーツ推薦以外で入学した選手が多く活躍しています。そうした同期についてはいかがですか

 やっぱり加藤(加藤孝太郎、人4=茨城・下妻一)とかは1年生のころからメンバーに入っていて、他にも中村(中村将希、教4=佐賀・鳥栖)とか齋藤正貴(商4=千葉・佐倉)とか、そういう面々が自分よりも先に神宮でプレーしているのを、自分はスタンドから見ていました。だからこそ自分もそこに追いつきたいな、追い越したいなと思って、そういう選手たちの活躍が励みになって自分も頑張ることができました。

(早慶戦は)「やってきたことを全て出す晴れ舞台」


東大2回戦で本塁打を放つ島川

――ここからは早慶戦について伺います。今季の慶大の印象はいかがですか

 とにかく打線がすごいなと思っています。上位打線はとにかくみんな当たっていてホームランも長打もある打線なので、強力打線だなという印象です。

――投手陣について

 外丸選手(外丸東眞)はすごく抑えていて、スタミナもあるイメージです。外丸選手は完投してくるピッチャーだと思っていますが、打たないと勝てないので、チームとしてそこに向かって、そこを打ち崩せるようにやっていきたいと思います。2戦目の谷村選手(谷村然)も安定感あるピッチングをしているので、2人の先発投手は手強いなと思います。

――以前地元で行われた全早慶戦を見て、「早慶戦すごいな」という印象を持たれたという話をされていましたが、島川選手にとって早慶戦とはどのような試合ですか

 やってきたことを全て出す晴れ舞台というイメージです。

――早慶戦での注目選手を教えてください

 加藤です!

――理由は

 うちのエースなので、いいピッチングしてくれると思います。

――早慶戦では、全体的にどこに注目して欲しいですか

 とにかく勝ちにこだわる、みんなで勝利を取りにいく、そういう姿勢を見てもらいたいなと思っています。

――最後に早慶戦に向けての意気込みをお願いします

 まだ明大が負けてないので、優勝の可能性というのはまだわからないですけど、0ではないです。もし優勝の可能性が早慶戦に巡ってきたら、とにかく優勝目指して全員でやるだけだと思っているので、そこに向かって今から練習にも取り組んで全員で取り組んでいきたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 梶谷里桜)

◆島川叶夢(しまかわ・かなむ)

2001(平13)年9月17日生まれ。172センチ、83キロ。熊本・済々黌高出身。スポーツ科学部4年。内野手。自分の強みについて「気合が凄まじいところ」と語る島川選手。大舞台に向け気合十分です!