サッカー日本代表のアジアカップが幕を閉じた。準々決勝でのイラン戦は、終了間際にPKを決められるショッキングな逆転負けだ…

 サッカー日本代表のアジアカップが幕を閉じた。準々決勝でのイラン戦は、終了間際にPKを決められるショッキングな逆転負けだった。だが、そこに至るまでの内容、大会を通しての戦い方は、どう評価され、今後に活かされるべきなのか。アジアカップ8強が持つ意味を、ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が語り合った。

■「事実上の決勝」での落胆

――おふたりとも事実上の決勝と呼んでいましたし、イランとの準々決勝は負けることも十分にあり得たかと…。

後藤「そんなことはないよ。そりゃあイランは強いけど、選手の力だけを見れば日本のほうが強いはずだ」

大住「日本は全然、いいところが出なかったよね」

後藤「そう。相手が強かったというより、日本が悪かったよ。今大会を通じて」

大住「攻めにかかるスピードがない、前に上がっていく人が少ない。最初の試合と比べて、攻撃のスピードが上がりかけたかなと思ったけど、結局は最後まで上がりきらなかったね」

後藤「ラウンド16のバーレーン戦は相手との力関係もあったのかもしれないけど、3点じゃなくて5点取れたかもしれないくらいだったから、調子は良くなってきていたのかなと思ったけど、やはりダメだったよ」

――大会を通して、何が足りなかったのでしょうか。

後藤「選手たちのコンディションが悪かったら、どうしようもないよ。ケガをしていた選手たちもだんだんと治っていって大会終盤には試合に出られるという計算でメンバーを選んだんだろうけど、計算違いだったね。それが一番の原因じゃない?」

大住「それほどコンディションが悪かったのかな、という感じがするんだけど。去年あれだけ勝ち続けて、点も取り続けた後で、戦うということをちょっと忘れちゃったのかな、という感じがしたよね。相手は日本選手がプレーした後に必ず体をぶつけてくるし、足を踏んだり蹴ってくることもあったし、抜かれそうになったら足を引っかけてきた。これまでの親善試合とは、まったく違ったわけだよね。そういう戦いに対する心構えが、まずできていなかったんじゃないかな。楽をしたと言ったら言い過ぎかもしれないけど、そんなに頑張らなくても勝てるんじゃないの、という気持ちでやっているように感じられた」

後藤「うん。苦労はしても最後には勝てるよね、という雰囲気が最後まで消えなかった。やはりコンディション的に良くなかったんじゃないかな。いろいろな理由でね」

■アジアカップへの本気度

大住「キャプテンの遠藤航や久保建英、堂安律はもちろん、大半の選手がヨーロッパのシーズンの真っただ中なので、そういう選手たちがちょっと後ろ髪を引かれているというか、ケガをしたくないという感じがあった。イランにしても韓国にしても、こういう大会を勝ち上がっていくチームというのは、身も心も捧げ尽くして、ナショナルチームのために戦っている。負けても納得できたり、頑張ったけど不運だったと思える大会もあるけれど、今回はちょっとそうではなかったなという感じはするね」

後藤「原因は何であるにせよ、日本チームがダメだった。そういう大会だよ。本気でやれば絶対に優勝できるのかという話は、別問題として」

大住「でも、たとえば去年のドイツ戦は単なる親善試合だったけど、日本は本気で臨んだと思うんだよ」

後藤「そう。今の選手は、そっちのほうに真剣になるわけだよ。ふだんからヨーロッパで戦っている選手たちは、アジアカップ優勝について、どう思っているのかな。日本は昔から、ムルデカ大会(マレーシアで開催される国際サッカートーナメント大会)にはBチームを、ヨーロッパ遠征にはAチームを送るとか言われていた。韓国はヨーロッパ遠征よりもムルデカ大会やキングスカップ(タイで開催される国際大会)と、とにかくアジアの大会で本気で戦っての強化を目指していたわけだよ。50年も前の話だけど、それと同じことを感じたな」

大住「イランも日本も中2日で準々決勝に臨んだけど、イランのほうがラウンド16の開始が数時間遅くて、しかも延長戦の末にPK戦にもつれ込んでいて、コンディションはイランのほうが厳しい状況だったんだよね。だけど、そういう状況でのあのイランの精神力を、日本のサッカー界はこれからも絶対に忘れちゃいけないと思うよ」

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