2024年1月27日にJSFバーチカルシリーズ2023を締めくくる最終戦「ブルボン Presents WINGRAM CUP 2023 Vol.3」が埼玉県秩父市の秩父スケートパークで開催された。バーチカルはハーフパイプ状の巨大構造物をスケ…

2024年1月27日にJSFバーチカルシリーズ2023を締めくくる最終戦「ブルボン Presents WINGRAM CUP 2023 Vol.3」が埼玉県秩父市の秩父スケートパークで開催された。

バーチカルはハーフパイプ状の巨大構造物をスケートボードで往復しながら技を競うスケートボード種目であり、近年芝田モトや貝原あさひなどといった世界最高峰で結果を残しているスケーターや、世界に誇る若手キッズスケーターたちも国内には多くいることからストリート種目やパーク種目に続き、このバーチカル種目にも今後更なる注目が集まることが期待されている。

そして今大会は2023シーズンの最終戦となり、今シーズンのシリーズチャンピオンは全3大会の中から、各選手が収めた最高順位の2大会の結果に応じて順位が決まる。また現時点では発表されていないが、本大会の上位選手は、今年イタリアのローマで開催予定のワールドスケートゲームズへの出場権を獲得することから、各選手にとって重要視された一戦となった。

以下は、シリーズチャンピオンを決めるために重要な戦いとなった「エキスパート男子」と「エキスパート女子」の決勝にて入賞した各3名のライディングを振り返る。

エキスパート男子:世界初の新技をメイクし完全勝利を収めたのは猪又湊哉


今大会最高クラスのエキスパート男子クラスには12名の国内トップスケーターが出場。決勝では予選を勝ち上がった8名で優勝争いが行われた。なお今回のエキスパート男子クラス決勝の競技フォーマットは、30秒間のラン2本+ベストトリック3本の合計5本のうち、ランとベストトリック各1本ずつのベストスコア2本の合計得点により順位を決める形となった。
また世界的に見ても、日本は世界最高難度トリックを有する選手が多いことから必然的に選手たちは攻めのライディングを余儀なくされる中で、そのプレッシャーもあるのか、ランとベストトリック共になかなか決めきれずミスを連発。最後まで油断できない展開の中でハイレベルの戦いが繰り広げられた。


そんな中で完全に大会の雰囲気を自分のものにして決勝を制したのは猪又湊哉。猪又もパークとバーチカルの二刀流で活躍する選手の一人であり、前回の第2戦で準優勝を収めたことからなんとしてでも今大会では勝っておきたかったのだろう。完璧に今回に対して照準を合わせてきたのが感じられたライディングだった。

30秒間のランでは1本目から高難度複合トリックを盛り込みながら、繋ぎのトリックがないライディングを見せる。「ヒールフリップインディ」「メロングラブ540」「ボディバリアル540」などの高難度トリックをルーティンで79.10ptをマーク。1本目の時点ですら後続選手を引き離す高得点を残した彼だったが、2本目ではさらにこのルーティンをブラッシュアップ。「ダブルキックフリップインディ」をルーティンの中に取り入れるとフルメイクで終えて82.53ptをマークして、ベストトリックに向けて良い流れを作った。

その後のベストトリックでは1本目で「バリアルフリップバックサイド540インディ」を綺麗に決め、90.87ptをマーク。この時点で優勝は手堅いものだったが、 今回の猪又はここで止まらなかった。ウィンニングランとなった3本目では「アーリーウープバリアルフリップ540インディグラブ」という世界初のトリックをメイク。猪又本人もメイクした瞬間に両手でガッズポーズをして喜びを露わにした。そんな彼の世界初のトリックには今大会最高得点94.43ptがスコアされて合計176.97ptとして見事優勝を収めた。


準優勝は大会最年少であり、現在世界中から注目を集めている逸材の河上恵蒔。そんな彼の特徴的なトリックは完成度の高い「900」であるが、1本目ではこの「フロントサイド900」で河上らしくないミスも見られた。しかし、確実にラン1本が最終スコアに反映されるフォーマットからミスが許されない中で迎えた2本目でメンタルの強さを見せる。1本目でミスした「フロントサイド900」をメイクすると「フロントサイドインディ540(通称ロデオ)」や「バックサイド360ノーズグラブ」など決めきってフルメイクで68.03ptをマークした。

ベストトリックでは、世界で誰もバーチカルでメイクできていなかった「アーリーウープ900」にトライ。1本目ではミスするも2本目で見事メイクすると84.87ptをマークした。3本目では河上がリスペクトしているレジェンドライダーであるショーン・ホワイトがかつてメイクしていた「ステルフィッシュロデオ」にトライするも失敗。しかし合計得点を152.90ptとし準優勝を収めた。


3位は河上と年齢が近い弱冠10歳でありながら世界最高峰のスケーターである西川有生。西川も河上同様ラン1本目でミスするも、2本目ではスピードを維持したまま高難度トリックを盛り込むルーティンでランを展開。「キックフリップボディバリアル540」「キックフリップインディtoフェイキー」そして「720」とメイクしていく。ラストトリックとなる「オーリー540」は惜しくもミスしてしまったが63.87ptをマークしてベストトリックへ繋いだ。

ベストトリックでは1本目で「ヒールフリップボディバリアル540」を決めて80.37ptをマーク。さらなるスコアアップを目指してトライした「アーリーウープノーハンド540」と「ダブルキックフリップボディバリアル540」は惜しくも失敗。1本目のベストトリックが採用され合計得点を144.23ptとし3位入賞を決めた。

また今回の結果から2023シーズンのシリーズチャンピオンは過去3大会にて1位と2位の座をお互いに分け合う形になった猪又、河上、西川の3名が同率で今年度のJSFバーチカルシリーズの王者となった。

エキスパート女子:ミスのないトリックメイクで圧倒的な強さを見せて優勝したのは長谷川瑞穂


一方で今大会にて女子最高クラスのエキスパート女子クラスには9名のトップライダーが出場。決勝では予選を勝ち上がった8名で優勝争いが行われた。なお競技フォーマットは、エキスパート男子同様に30秒間のラン2本+ベストトリック3本の合計5本のうち、ランとベストトリック各1本ずつのベストスコア2本の合計得点により順位を決める形に。

また今回はバーチカル女王と名高い貝原あさひが決勝ではミスを重ね入賞を逃すなど、全体的にトリックを決めきれない選手が多く現れる波乱の展開となった。


そんな厳しい戦いの中、しっかりトリックを決め切って優勝したのは長谷川瑞穂。昨年はパーク種目にてX Games Californiaでの銀メダル獲得をはじめ、パークとバーチカルの二種目にて世界最高峰の舞台で活躍する彼女。

この決勝ではラン1本目から「アーリーウープジュードーエアー」や「キックフリップインディ」「フロントサイド540」などを高いエアーと共に丁寧に決めると、ラストトリックは「キャバレリアルバックサイドグラブ」をメイクしフルメイクで66.17ptをマーク。その勢いのまま、ベストトリックでは1本目で「アーリーウープキックフリップインディ」を決め55.37pt、そして2本目では「フロントサイドキックフリップフロントグラブ」という前回の第2戦で決められず悔しい思いをしたトリックを見事メイクしてリベンジ。

長谷川自身もようやく決められたベストトリックだったこともあってか涙を浮かべる姿も見せていた。このトリックが66.10ptを評価を得たことでランとベストトリックの合計で132.27ptをマークし、2位と40pt以上の大差をつけて優勝を果たした。


準優勝は長い手足から繰り出されるトリックが特徴的な能勢想。バリエーションの多さに定評がある彼女は、「フロントサイドスミスグラインド」などコーピングをグラインドで長い距離を流すトリックや、高いエアーの中に「アーリーウープフロントサイド」や「キャバレリアルメロンバックサイドグラブ」を組み込むランで2本目に54.10ptをマーク。ベストトリックでは1本目に「キャバレリアル360」で35.33pt、2本目で「バックサイド」を入れた後「ブーメランアウト」をするルーティンに2度トライするも、足をついてしまいメイクとはならなかった。しかしバリエーションとオリジナリティが評価され25.6ptという成績を残して2位の座を勝ち取った。

今回彼女にとって本カテゴリー初の表彰台獲得となり、ベストトリックではメイクした後も小さくガッツポーズをする姿も見られ、今シーズンを締めくくる良い大会になったことだろう。


3位はバーチカル歴わずか1年の橘唯愛。決勝進出を目指して出場した彼女だったが決勝という緊張感のあふれる中で見事なライディングを見せた。他の選手たちがなかなかランを2本フルメイクでまとめられない中、橘は1本目をフルメイクで終えると2本目で「インバート」から「レイバックエアー」そして「フロントサイド360」の形に持っていき、最後には逆回りの「バックサイド360」を決めるルーティンで1本目の得点を上回る41.70ptをマークした。ベストトリックでは1本目で「インバート360」をメイクして41.00ptをマークすると2本目では「フロントサイド540」を決めた。3本目は惜しくもミス、また2本目は1本目の得点を塗り替えることはできなかったが、合計82.70ptとし初入賞を成し遂げた。

また女子カテゴリーのシリーズチャンピオンは第1戦で1位、第2戦で2位という結果を残したなった貝原あさひが逃げ切り今年度のJSFバーチカルシリーズを制した。

大会結果


<エキスパート男子>
優勝: 猪又 湊哉 (イノマタ・ソウヤ) 176.97pt
2位: 河上 恵蒔 (カワカミ・エマ) 152.90pt 
3位: 西川 有生 (ニシカワ・アオ) 144.23pt


<エキスパート女子>
優勝: 長谷川 瑞穂 (ハセガワ・ミズホ) 132.27pt
準優勝: 能勢 想 (ノセ・ココロ) 89.43pt
3位: 橘 唯愛 (タチバナ・ユイナ) 82.70pt


<オープンクラス>
優勝: 藤木 孔幸睦 (フジキ・コスモ)
準優勝: 河合 珠佳 (カワイ・シュカ)
第3位: 三浦 宴 (ミウラ・ウタゲ)

<シリーズチャンピオン>
男子: 猪又 湊哉、河上 恵蒔、西川 有生 (同率1位)
女子: 貝原 あさひ

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