ノルウェーの名将として知られるペア=マティアス・へグモ監督の求めることは現状かなりシンプルであるようだ。4ー3ー3をベ…

 ノルウェーの名将として知られるペア=マティアス・へグモ監督の求めることは現状かなりシンプルであるようだ。4ー3ー3をベースとした原則的な約束事はある。ただ、”こう来たらこう動いて”のような行動パターンや決まりごとは少なく、その範囲であればある程度、プレー選択は選手に委ねられる。

 ただし、初期段階から徹底しているのがラインをしっかりと上げること、各ポジションができるだけ下がらないことだ。象徴的なのがインサイドハーフで、日本で4ー3ー3を用いているチームの多くはビルドアップの時に、左右インサイドハーフのどちらかはアンカーの位置まで落ちてボールを受けて、また前に出ていくという動きが多い。しかし、ヘグモ式の4ー3ー3は左右ともにできるだけ高い位置を取り、アンカーも原則センターバックの間に落ちない。

「インテリオール(インサイドハーフ)のところが落ちないので、そこの難しさは感じてるんですけど、その分、自分が運ばないといけない。自分で解決というよりかはじれずに出口を探して、そこはほかの選手に預けてもいいのかな」

 ガンバ大阪から新加入の佐藤瑶大はそう語りながら、やりがいを前向きに捉えている。あまり可変せず、自陣に人数をかけない分、センターバックにプレッシャーが来る。そこをいかに手数をかけずに剥がして、インサイドハーフが左右のウイングに前を向かせるのか。「ドミネート(支配する)」という言葉をへグモ監督は多用するというが、それはボールの保持率を高めることではなく、前向きに相手を押し込んでいくことだ。

■”へグモ式”ではサイドバックの役割

 キャンプの最初は昨年のJリーグベスト11でもあるアレクサンダー・ショルツとマリウス・ホイブラーテンが主力組と見られるチームのセンターバックコンビを組み、相手側で佐藤と同じく新加入の井上 黎生人が組む構図だったが、キャンプが進む中で、コンディションも見ながら佐藤がマリウスと組んだりといったことも増えてきた。

「それこそ、あの二人に勝ったら近づく。圧倒的に近づくんじゃないかなと。遠回りに見えて近道だと思うので。獲ったらすごい。獲れなかったら獲れなかったで、獲れなかったんだなということになるし、獲れたらすごい価値がある」

 そう語る佐藤にとっても高いモチベーションで挑める環境が、今の浦和にはある。”へグモ式”ではサイドバックの役割もこれまでの浦和とは多少違いが出ている。攻撃的なポジションのイメージが強い渡邊凌磨が左サイドバックでテストされているのも、持ち出しのセンスや一気にウイングを追い越していく推進力を買われてのものだろう。

 その一方で、左右のウイングが主戦場になると想定された関根貴大が、インサイドハーフでテストされて、割とうまくハマっているのも面白い。なるべくポジションを落とさず、前向きにボールを動かしていく役割を考えると、そうした起用も頷けるものがある。

(取材・文/河治良幸)

(後編へ続く)

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