注目されたルーカス・ポドルスキとのマッチアップではなく、真骨頂である攻撃の部分で、この日の中山は魅せた。きれいな放物線を描いたボールがゴール左スミに吸い込まれると、背番号5はチームメートから手荒い祝福を受け、ゴール裏のサポーターからはチャ…


 注目されたルーカス・ポドルスキとのマッチアップではなく、真骨頂である攻撃の部分で、この日の中山は魅せた。きれいな放物線を描いたボールがゴール左スミに吸い込まれると、背番号5はチームメートから手荒い祝福を受け、ゴール裏のサポーターからはチャントが響き渡った。

 チームの勝利を決定づけるゴールが生まれたのは76分。「左足に落とすことだけを考えていた」という伊東のパスを利き足の左足でしっかり捉えると、ボールは狙いどおりのコースに一直線。鮮やかにゴールネットを揺らしてみせた。殊勲のレフティーは「落としてくれたら打とうと決めていたし、J(伊東)がすごく良い落としをしてくれたので良かった。ニア上は狙いどおり。マグレかもしれないけど、それが結果として取れたのは大きかった」と振り返った。

 昨季もプロ初ゴールを含む2点を挙げていた中山だが、いずれも勝利にはつながらなかった。「次こそは勝利につながるゴールを決めたい」。そう話していた中でのゴールは、喜びもひとしおなはずである。ユース時代はボランチやトップ下など中盤でのプレーを本職にしていた中山。いまでもCBでプレーしながら「自分の最大の特長は攻撃」と常に口にしている超攻撃的CBにとって、これがうれしい今季初ゴール、そして“チームを勝たせる”待望のゴールだった。

 それでも、ここで満足しないのが中山雄太“らしさ”であり、中山雄太たる“ゆえん”。「シュートはうれしいけど、今日の試合はあまり良くなかったと思うので、こういうときこそ自分の課題を見直してまた修正できるようにしたい」

 喜びを爆発させたゴール直後とは対照的に、ミックスゾーンではもうすでに冷静さを取り戻していた。

文・須賀 大輔