今週はフェブラリーSの前哨戦、第38回根岸S(GIII、ダ1400m)が東京競馬場で行われる。 今年は、大本命と目されていたドライスタウトが回避し、主役不在の混戦模様。そのドライスタウトの半弟サンライズフレイムが、オープン特別まで4連勝中で…

今週はフェブラリーSの前哨戦、第38回根岸S(GIII、ダ1400m)が東京競馬場で行われる。

今年は、大本命と目されていたドライスタウトが回避し、主役不在の混戦模様。そのドライスタウトの半弟サンライズフレイムが、オープン特別まで4連勝中で、重賞初制覇を狙う。同様に、アームズレイン、アルファマム、フルムらも、オープン特別を制して勢いに乗っている。一方、古豪のタガノビューティー、ヘリオスやシャマル、パライバトルマリンなど、交流重賞で好走しているメンバーが激突する。

そんな中、こちらも連勝中の新鋭エンペラーワケアが、今回の「危険な人気馬」の標的となる。

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■特徴的なレースに、初物尽くしでどこまで…

ダートで5戦4勝と底を見せていないエンペラーワケア。初ダートの未勝利戦で10馬身差の圧勝劇を演じ、2走前のドンカスターC(2勝クラス)は4馬身差、前走の御影S(3勝クラス)でも3馬身半差と、条件クラスを危なげなく完勝して、重賞に駒を進めてきた。ここまでの高パフォーマンスから、重賞初挑戦でも注目を集める存在。しかし、歴史あるダート重賞で、即通用するかと問われると、答えはノーだ。

まず、根岸Sの大きな特徴といえば“差し天国”。過去10年で、4コーナー4番手以内で勝利を飾ったのは、2016年モーニンのみで、それ以外は、5番手以下の後方待機組。勝ち馬の半数、5頭は10番手以下からの差し切り勝ちだ。エンペラーワケアのこれまでの戦法は逃げ・先行。速い上がりを繰り出せる力は持っているが、条件クラスと重賞では、道中のペースは別物で、これまでと同様に先行押し切りのレースができるかどうか、疑問符が付く。

また、過去10年で、前走オープン特別以下を使われてきた馬の成績は【0.4.5.54】と、勝ち馬は輩出しておらず、重賞を経ていることが勝利への必須条件。このうち、3勝クラスからの臨戦は【0.0.0.4】と、すべて掲示板外に敗れている。出走数は少ないが、17年ベストマッチョ(2人気12着)のように、人気を集めて大敗している馬もおり、過剰に期待することは禁物だ。

加えて、過去10年で東京コース未経験で馬券に絡んだのは、19年1着のコパノキッキング1頭のみ。それでも同馬は、前走のカペラSで中山へ遠征し、重賞勝ちも果たしていた存在。今回のエンペラーワケアは、初の東京どころか、初の関東圏への遠征競馬となり、その点も、本来の力を十二分に発揮できるか、微妙なところだ。

1週前追い切りでは、坂路で4F49秒7と猛時計をマークし、厩舎の期待も大きいエンペラーワケア。鞍上も前走に引き続き川田が騎乗で、人気を集めそうな雰囲気だが、レースの戦法、条件クラスからいきなりの重賞挑戦、初の東京遠征など、越えなければいけないハードルは高く、妙味を考えると、ここは思い切って「消し」でいきたい。

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◆著者プロフィール

石川豊●いしかわゆたか 20代から競馬メディアに寄稿。「ユタカ人気」と言われた時代、武豊が騎乗する過剰人気馬をバッサリと切り捨てる馬券術を駆使し、年間回収率100%超に成功。以来、「1番人気の勝率は3割」を念頭に、残り7割の可能性を模索し、「危険な人気馬」理論を唱え続ける。