(写真:Getty Images) 1-3で逆転負けを喫した前節の大阪ダービー。試合後、下を向きがちになるミックスゾーンで杉本は、「ネガティブに考えることは一切ない。何が一番大事かと言えば、連敗しないこと。次の試合でしっかり勝つことが大事」…


(写真:Getty Images)

 1-3で逆転負けを喫した前節の大阪ダービー。試合後、下を向きがちになるミックスゾーンで杉本は、「ネガティブに考えることは一切ない。何が一番大事かと言えば、連敗しないこと。次の試合でしっかり勝つことが大事」と顔を上げた。敗戦の理由としては「自分が2点目のチャンスを外したこと」を挙げ、「次の試合でこの借りはしっかり返す」とキッパリ語った。

 迎えた札幌戦。有言実行のゴールは26秒で生まれた。リカルド・サントスが前線で粘ってこぼれたところを、思い切りよく蹴り込んだ。そして、自身の2点目は、前節外したヘディングだった。「今日は絶対にヘディングで決めてやる」という強い気持ちで、丸橋のクロスに味方のソウザも吹き飛ばして豪快に決めた。この試合を視察に訪れた手倉森誠日本代表コーチも、「(ヴァイッド・ハリルホジッチ日本代表監督に)報告しないといけないな」と言い残してキンチョウスタジアムをあとにした。

 現在、C大阪の強化部に所属する森島寛晃氏は「(プレーに)関わり続けることができるようになったこと」を一番の成長ポイントに挙げる。もちろん、最終的に得点できる場所に入って行けていることもストライカーとしての成長の証なのだが、かつての杉本は、単発で終わることも多かった。ただし、いまは違う。一度収めて、前へ出る動き。クロスに入り直す動き。攻撃から守備へ切り替える速さ。それら一連の動作の過程で集中力が途切れず、いかなるときも相手に脅威を与えている。右肩上がりの充実ぶりは目を見張るばかりだが、当の本人は、「もっと冷静になれていれば、3点目も取れた」と満足する様子はない。もう一つ壁を破ったとき、さらなる進化を遂げる。

文・小田 尚史