第37回関東大学女子サッカーリーグ早大33-0(前半)0-0(後半)0筑波大【得点】(早大)28分:浦部美月、39分:笠原綺乃、42分: 笠原綺乃(筑波大)なし 関東大学女子リーグ(関カレ)は前期3節、筑波大戦を迎えた。序盤から完全に主導権…

第37回関東大学女子サッカーリーグ
早大3-0(前半)
0-0(後半)
筑波大
【得点】
(早大)28分:浦部美月、39分:笠原綺乃、42分: 笠原綺乃
(筑波大)なし

 関東大学女子リーグ(関カレ)は前期3節、筑波大戦を迎えた。序盤から完全に主導権を握ったア式蹴球部女子(ア女)。28分には左サイドを突破したMF浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)が、見事な右足シュートで先制点を挙げる。さらに39分、中盤から抜け出したMF笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)が左足のミドルシュートで2点目。42分には再び笠原が相手ディフェンスの裏に抜け出し、追加点を決めた。試合最終盤には押される時間帯もあったが決定機は作らせず、結局そのまま試合終了。関カレでは2試合連続、3-0の完勝となった。

 


2得点の笠原。今季ここまでで3ゴールはチーム内トップ

 日差しが照りつけるホーム東伏見、関カレ前期を折り返す試合となる第6節に筑波大を迎えた。前節の快勝の勢いをそのままに、完全にア女ペースで試合は進む。「紅白戦の時から後ろの歩美(夏目)、璃子(堀内)の声かけを中心に、プレスではめていく部分に関しては共有できていた」と浦部が振り返るように、なかなか得点が奪えない中でも、相手に反撃の隙を与えない前のめりの姿勢が奏功した。28分、中盤でボールを奪取したMF後藤若葉主将(スポ4=日テレ・メニーナ)から左サイドの浦部へ。パスを受けた浦部は対峙する相手DFをまた抜きでさらりとかわし、右足で逆サイドネットへのコントロールショット。貴重な先制点となった。39分、中盤の底でボールをもったMF築地育(スポ3=静岡・常葉大橘)が左サイドに展開。もらった浦部が前線のFW白井美羽(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)に縦パスを送ると、落としたところに笠原。滑らかなタッチで持ち出すと思い切りよく左足を振り抜き、豪快なミドルシュートで2-0とした。さらには42分、最終ラインのDF堀内璃子(スポ4=宮城・常盤木学園)からの鋭いロングスルーパスにMF笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)がラインブレイク。今度もタイミングよく右隅に流し込み、3点目。連続の“ゴラッソ”に会場もどよめいた。

 


得点を喜ぶ選手たち

 3点のリードで後半に入ったア女だが、全く攻撃の手を緩めない。48分には前線でボールを奪うと、白井が右足のミドルシュート。しかしこれは惜しくもキーパーに阻まれてしまう。53分には逆に、相手コーナーキックから枠内シュートを食らったが、ライン際で笠原がヘディングクリア。直後、セカンドを回収されてのクロスも笠原が防いだ。61分、DF夏目歩実(スポ4=宮城・聖和学園)のスペースへのパスに浦部が走る。ダイレクトであげたクロスに途中交代のFW千葉梨々花(スポ1=東京・十文字)が飛び込んだがわずかに合わない。68分には千葉から右サイドのMF三谷和華奈(スポ4=東京・十文字)、そしてゴール前のFW﨑岡由真(スポ1=埼玉・浦和レッズレディースユース)までつないだが、シュートは枠の上に飛んだ。チャンスを作りながらもなかなか追加点が生まれない試合終盤にはピンチも。87分に左サイドを突破されると、クロスを上げられるが戻った笠原と三谷で対応した。追加タイムには右サイドの裏を取られると、際どいクロスを上げられピンチに。あわや失点というところだったが、最後は夏目がクリアして事なきを得た。

 


築地はこの日も中盤で八面六臂の活躍。セットプレーでもターゲットだ

 前節同様相手を圧倒するゲームとなったが、一つ違うのは前半の出来。ア女側のパフォーマンスももちろん、事前のスカウティングが上手く機能したという試合とも言えるかもしれない。また無失点で試合を終えたというのもポジティブな要素。「(関東リーグメンバーの交代)カードを切ることができたのは、後ろへの信頼があったから」と、後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)も守備陣への安心感を口にした。この試合を終え、前期関カレは折り返し。ここからア女は、強豪ひしめく6月シリーズに臨む。目先の結果に左右されず、内容にもこだわってきたからこそ、選手たちの表情に不安はない。携えるは自信と誇り、その眼がとらえるは勝利だけだ。

(記事 大幡拓登、写真 大幡拓登、板東萌)

 


スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK 石田心菜スポ3大阪学芸
DF夏目歩実スポ4宮城・聖和学園
DF堀内璃子スポ4宮城・常盤木学園
→76分田頭花菜スポ3東京・十文字
DF25杉山遥菜スポ1東京・十文字
MF◎後藤若葉スポ4日テレ・メニーナ
MF浦部美月スポ4スフィーダ世田谷FCユース
→76分13木南花菜スポ3ちふれASエルフェン埼玉マリ
MF笠原綺乃スポ4横須賀シーガルズJOY
MF三谷和華奈スポ4東京・十文字
MF10築地育スポ3静岡・常葉大橘
MF11宗形みなみスポ2マイナビ仙台レディースユース
→67分28﨑岡由真スポ1埼玉・浦和レッズレディースユース
MF白井美羽スポ3ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
→56分26千葉梨々花スポ1東京・十文字
◎=ゲームキャプテン
コメント

後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

――90分間振り返って率直にいかがですか

 今日はチームとしてしっかり守備のところ積み重ねよう、というところで入っていて、3点を入れて勝ったという結果以上に、奪いどころの共有もできていましたし、良いシーンの沢山ある試合だったなと思います。

――選手たちも前からの守備に関してはスカウティング通りできたと話されていましたが、そこに関してはやはり手応えはありますか

 筑波大は左サイドバックの選手がストロングだということは分かっていたので、そこに三谷が勝負を仕掛けにいくだけでなく、そもそも自分たちでそこに誘導して、というところはうまくいった部分が多くあると思います。

――今季ここまでは前半は難しい展開を強いられることが多かった中で、今日は前半から主導権を握って得点できました。改善が見られた部分ですか

 試合の入りの部分を全員でというのは意識していました。今年は後ろの選手に4年生が多くそこがベースになっていますし、その守備というところにおいても引いてブロックというよりは前から奪いに行くところから自分たちのリズムを作っていくという感じなので、そういった部分が最初からできると、今日のように前半から良いゲームができるかなと思います。

――後半ピンチを迎えながらも無失点で終えることができたというのはプラスだと思います。守備陣に対しての評価はいかがですか

 点差もありましたし、後ろがしっかり守ってくれるだろうという感覚があったからこそ、普段関東リーグで戦っている千葉や崎岡、田頭も途中投入することができました。練習ではもちろん(両リーグのメンバーが)一緒にやりますが、やっぱり試合で関カレの雰囲気を感じてもらうというのはすごく大きいので。願わくば得点が欲しかったですが、そういったカードを切ることができたのは、後ろへの信頼があったからだと思っています。

――明日も関東リーグの筑波大戦ですが、どういった準備をしていきたいですか

 また筑波大さんもメンバーが変わってくると思いますが、今日負けている分絶対に勝つという思いでくると思うので、その気持ちを上回って自分たちのサッカーで勝てるように準備していきたいと思います。

――関カレは次節日大戦と、関カレやインカレでも苦戦を強いられた相手です。その後も6月は競合との試合が続きますが、意気込みを聞かせてください

 日大戦から日体大、東洋、帝京平成と順位でいっても上位のチームが相手になってくるので、ここでもう一つチームの質を上げたいと思っています。そうすれば結果もついてくると思いますし、まずは自分たちが今やろうとしていることを積み重ねて、勝って、6月を終えたいと思います。

 

浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)

――完全にア女ペースの試合になりました。振り返っていかがですか

 引いてくる相手をどうやって崩していくかというのが試合の肝だったと思うんですが、焦れずに前をうかがいながら攻めることができた結果が、あの3得点だったと思います。後半はピンチを迎えるシーンもあったんですが、キーパーやセンターバック中心に声を掛け合って、無失点で勝つことができて良かったです。

――前半飲水タイム直後のゴールでした。ご自身のプレーを振り返ってください

 何度か右から展開されてきて1対1になるシーンが多かったのですが、相手のサイドバックとマッチアップしていて、「結構いけるな」という感覚がありました。若葉(後藤)から良いパスがきて、しっかりと狙ったまた抜きからカットインシュート、という感じでした。

――前からの守備はハマった部分がありましたか

 紅白戦の時から後ろの歩美(夏目)、璃子(堀内)の声かけを中心に、プレスではめていく部分に関しては共有できていましたし、それがうまくいったかなと思います。

――今季ここまでの試合とは異なり、前半からペースを上げて得点してというところが見られた試合でしたが、そこはやはり改善できたところですか

 そう言われると確かに(笑)。ただ今日の試合は得点を取って押し込めた中で、後半は無得点だったというのは結果として出ています。後半に入る時に0-0の気持ちで入ろう、という話はしていましたし、気持ちが緩んだりすることは無かったですが、後半に得点がなかったというのに関しては、自分自身もチャンスが何度かあったので課題かなと思います。

――関カレ次節は”あの”日大です。リベンジも含めて重要な試合にもなると思いますが、今後に向けて意気込みを聞かせてください

 昨年のインカレももちろんそうですし、関カレでも日大は相性が悪い、というか良いイメージがないので、それを払拭するという意味でもしっかりと勝ち切って、勝ち点を積み重ねたいと思います。

 

笠原綺乃(スポ4=横須賀シーガルズJOY)

――今日の試合を振り返ってください

 前半のうちに3得点できて、結果的に勝利することができたので良かったです。

――ご自身の得点シーンを振り返ってみていかがですか

 1点目に関しては、美月(浦部)から美羽(白井)に縦にボールが刺さることが分かって、常に3人目の動きは意識していた中で、美羽からめちゃくちゃ良いボールが来たので、最後はシュートを思い切って打ったら良いコースに行ったので良かったです。2点目に関しては、引いてくる相手だったので、背後からの動きを忘れないと言われていて、それで背後のスペースが空いたので、動き出して璃子から良いボールが飛んできたので、結果的に(シュートが)入って良かったです。

――この試合を通じて意識していたことはありますか

 個人的には、シュートを打って得点を決めることを意識していて、チームとしては相手が引いてくるので背後への動きを忘れずに意識していました。

――今季ここまで前半に得点できない試合が多くあった中で、今日の試合を通して変化したことは何だと思いますか

 今日に関してはロングシュートによる得点が多かったので、思い切ってシュートを打ったのがまず良かったですし、最近フォワードとの連携を意識しているので、そこの連携がうまくいったところは良かったと思います。ただ後半はそこがあまりうまくいかず得点できなかったのかなと思うので、もっと精度をあげていきたいと思います。

――明日の筑波大戦に向けての意気込みをお願いします

 明日も対戦相手は同じ筑波大ですが、今日の試合以上にチーム全員の力で勝つことを意識して、また明日も頑張って勝ちたいと思います。

 

石田心菜(スポ3=大阪学芸)

――まず90分間振り返っていかがですか

 試合の入りはなかなか上手くいかなかった中で、1点入ってから自分たちのペースをしっかり握って3点取れたというところはチームの中で大きいです。前半はあまりシュートがこなかったですが、後半は危ないシーンがいくつかある中でしっかりと守ることができたので良かったと思います。

――今季は守備がしっかりしている一方、得点力に関してはチームとして課題にされていたと思います。今日は前半から3得点ということで、そういった攻撃面に対しての評価はいかがですか

 上手くいかない中でも修正できる、というのがこのチームの良いところだと思いますし、焦れずに修正してプレーできていたところが得点につながって、非常に良かったと思います。

――前節同様主導権を握りながらも押される時間帯があった中で無失点に抑えました。ご自身も含め守備陣に対しての評価はいかがですか

 4年生の璃子さんや歩美さんを中心にディフェンスラインがしっかりと体を張って前で守ってくれました。チーム全体でまず守備から入るということを今季やってきている中で、前線からしっかり守備ができているところには自分も後ろから見ていて刺激を受けますし、だからこそ自分もちゃんと止めなきゃ、という責任も感じます。練習や紅白戦の中でも「無失点」をこだわってやれているからこそ、今日のような実戦での無失点につながっているのかなと思います。

――今季本格的に守護神として活躍されていますが、ここまでのご自身のプレーは100点中、何点ですか

 難しいですが、70点くらいですかね。ビルドアップへの関わりを自分の中での強みとして以前からやってきたのですが、キックの質に関してはもっとできると思っている部分でした。今季はそういった質も高められていると思いますし、攻撃につながるプレーもできているというところは、良い部分だと思います。ただ山場だった山梨学院大戦で2失点してしまったというのは、自分の中で反省する部分が大きかったですし、そういう強い相手に無失点で終わらなければいけないというところは自分の中で思っているので、70点にしておきます。

――関カレ次節は日大戦ですが、今後のリーグ戦に向けてどう言った準備をしていきたいですか

 試合を重ねるごとにチーム全員で積み上げられてきていると思いますし、攻撃も合う、合わないある中で修正できてきていると思いますし、そういったところはしっかりと試合につなげていきたいと思います。また6月は特に上位のチームとの試合があるので、そういった試合でも無失点にはこだわって、戦っていきたいと思います。