第37回関東大学女子サッカーリーグ早大早大得点1-0(前半)1-0(後半)0神奈川大【得点】(早大)9分:三谷和華奈、58分:浦部美月(神奈川大)なし 関東大学女子リーグ(関カレ)は第3節、ア式蹴球部女子(ア女)は神奈川大と対戦。序盤からア…

第37回関東大学女子サッカーリーグ
早大早大得点1-0(前半)
1-0(後半)
神奈川大
【得点】
(早大)9分:三谷和華奈、58分:浦部美月
(神奈川大)なし

 関東大学女子リーグ(関カレ)は第3節、ア式蹴球部女子(ア女)は神奈川大と対戦。序盤からア女がボールを握り押し込む展開が続く。9分、右サイドのMF三谷和華奈(スポ4=東京・十文字)が、ドリブルから右足の強烈なシュートを決め先制に成功。後半に入ってもア女は主導権を渡さず58分、左サイドを駆け上がってきたDF浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)のゴールでリードを広げる。試合はその後もア女が支配し2-0の完勝。見事リーグ2連勝を飾った。

 


得点を喜ぶ選手たち

 前週の関カレ第2節で今季の初勝利を挙げたア女。この日の相手は神奈川大と、リーグ内でも存在感を増している難敵をホーム東伏見に迎えた。序盤からボールを保持し、完全にア女が主導権を握る展開に。6分、右サイドで三谷からパスを受けたMF宗形みなみ(スポ2=マイナビ仙台レディースユース)が、一人かわして強烈なシュートを放ったが惜しくもサイドネット。9分には再び右サイド、今度はゲームが動く。足元で受けた三谷が正対する選手を揺さぶりながら運び、最後は相手の股下を抜く鮮やかな右足シュート。ドライブ回転のかかった強烈な弾道は相手GKの手をすり抜けネットを揺らし、見事先制に成功した。33分、今度は左サイドでDF後藤若葉主将(スポ4=日テレ・メニーナ)とのコンビネーションで裏を取った宗形がマイナスに折り返すと、中でMF白井美羽(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)が合わせる。惜しくも寸前でブロックされたが、「(宗形とは)お互いに中盤の選手なので、崩しとかコンビネーションとかに関してはよく話している」(白井)と、前節からの最前線でのプレーに手ごたえを示した。

 


先制弾の三谷。局面を打開する韋駄天はこの日も大車輪の活躍

 エンドは変わって後半、ア女ペースは一切揺らがない。48分には前からプレスをかけ、奪ったボールをそのまま後藤がシュートもキーパー正面。49分、右サイドの三谷から宗形が足元で受けると、迷わず左足を振り抜くがニアポスト直撃の惜しいシュートになった。その後もよく整備されたポジショニングと、個の打開力をもって鮮やかなプレス回避から相手を圧倒するア女。「自分たちで段差を作ってつながっていく、誰かが誰かのスペースを作る、という感覚がついてきたんじゃないか」と後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)も振り返った。そんな中58分、待望の追加点が生まれる。ハーフスペース、いわゆる“ポケット”をとった宗形が、外を追い越してきた浦部へ足裏でパス。クロス気味のシュートはゴールのニアサイドを抜き、貴重な2点目。本人は「完全に自分はセンタリングのつもりであげた」と語ったが、積極的な攻撃参加が功を奏した。その後もア女は主導権を渡さず。人数をかけて攻める中でも、MF築地育(スポ3=静岡・常葉大橘)の徹底的なカバーリングと、最終ラインのリスク管理が90分間常に機能した。

 


シュートを打つ浦部。積極的な攻撃参加で勝利に貢献

 2-0の完勝で、今季初の連勝を飾ったア女。内容、結果共に現時点でのパーフェクトに近いゲームとなった。この日前節に比べ明らかな進歩があったプレス回避については、「紅白戦の時にサブメンバーたちがかなりきついプレスをかけてくれた。ただ今日のメンバーが、それに対してもしっかりパスコースを作ってつなげて、という成功体験が作れていた」と指揮官。サブメンバーをはじめチーム全体のバックアップが、この日の勝利を後押ししたようだ。次節は山梨学院大戦。昨季リーグ最終順位ではア女を上回った強豪である。今季ア女が展開するサッカーを難敵に“押し付けて”いけるか、それを試す上で一切不足のない相手と言っても良い。それでも「リスペクトしすぎることなく、また一つ積み重ねられるように目の前の相手としっかりと戦っていきたい」(後藤監督)。引かず臆さず、積み重ねてきた、今のア女の最高点をぶつけよう。

(記事 大幡拓登、写真 髙田凜太郎、梶谷里桜、大村谷芳、塩野由奈)

 


スターティングイレブン

 

早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK石田心菜スポ3大阪学芸
DF夏目歩実スポ4宮城・聖和学園
DF堀内璃子スポ4宮城・常盤木学園
DF25杉山遥菜スポ1東京・十文字
MF◎後藤若葉スポ4日テレ・メニーナ
DF浦部美月スポ4スフィーダ世田谷FCユース
→89分13木南花菜スポ3ちふれASエルフェン埼玉マリ
MF笠原綺乃スポ4横須賀シーガルズJOY
MF三谷和華奈スポ4東京・十文字
MF10築地育スポ3静岡・常葉大橘
MF白井美羽スポ3ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
→71分26千葉梨々花スポ1東京・十文字
MF11宗形みなみスポ2マイナビ仙台レディースユース
→90+2分28﨑岡由真スポ1埼玉・浦和レッズレディースユース
◎=ゲームキャプテン
コメント

後藤史監督(平21教卒=宮城・常盤木学園)

――試合を通して振り返ってください

 試合の入りから全員がアラートな状態で、セカンドボールの回収や切り替えの早さも素晴らしかった試合でした。

――常に「アラートに!」ということをコーチングされていましたが、試合前やハーフタイム、どのようなメッセージを選手たちに伝えましたか

 開幕節よりも、中ですごく声が出ていると思うんですよね。ホーム東伏見の雰囲気だったり自分たちで盛り上げていくような声がチーム全体から出ているっていうのが、1戦1戦積み重なってきているなというのはすごく感じています。サッカー面で言うと、前線2枚とインサイドハーフとワイドのつながりが良い形でできてきているなと思います。前半は自分たちがボールを保持していてもゴールに向かわないまま回している中で奪われて、というシーンがありました。実際には美月(浦部)がボールを持った時も、前線は走っていたりしたので、ファイナルサードでの崩しの部分だったりを修正して、ということはハーフタイムに声かけした部分です。プレスをかけられながら逃げ道を作れていましたし、全体を通してイメージを共有しながら戦えたんじゃないかなと思います。

――ここまでと比べるとセンターバックの一角が前に出ていって追い越す、といったシーンも多かったと思います。意図した攻撃パターンでしたか

 神奈川大さんは5枚くらいディフェンスラインをしっかり敷いてくる守備だったので、列の違う選手が絡んでこないと、そのラインを越えて攻撃するのは難しい部分があったかなと。ただ紅白戦の時から歩美(夏目)もはる(杉山)も積極的に行っていましたし、後ろは育(築地)や璃子(堀内)がカバーしてくれているというのもあって、今日もそのイメージを保ったままガンガン行ってくれたのかなと思います。

――浦部選手が得点されましたが、ウイングバックになってより特徴が生かされている印象です

 運動量のある選手なので、守備でも献身的に戦ってくれますし…。あれは多分クロスですけど(笑)。まあ(中に)上げようとして頑張ったことがまず良かったですし、今日全体を通しても美月は良いプレーをしてくれました。

――前線の2人に関しても前節よりよく自由にプレーできていましたし、機能しているように感じました

 もともと宗形も白井もフォワードというタイプではないので、どういう立ち位置でプレーすれば彼女たちの良さが出るのかというところで、試合と練習を重ねる中で自分たちでつかんできたんじゃないかと思います。宗形に関しては1.5列目で自由に動きながらパスを捌いて、時にはボールを狙ったり、白井も相手のセンターバックを困らせつつ後ろ向きですけど、彼女はやっぱり技術があるのでダイレクトで落としたり、前を向いたり。2人の本来の良さが出てきたかなと思います。

――縦パスも前節に比べて増えたように見えます。前節から改善できた部分ですか

 基本的にライン間や相手が困る立ち位置に立てる、そういった実力のある選手たちですしそういったシステムにしています。紅白戦の時にサブメンバーたちが本当に一生懸命神奈川大のシミュレーションをしてくれて、かなりきついプレスをかけてくれたんです。ただ今日のメンバーが、それに対してもしっかりパスコースを作ってつなげて、という成功体験が作れたことが試合に向けての準備として良かったですし生きたんじゃないかなと思います。自分たちで段差を作ってつながっていく、誰かが誰かのスペースを作る、という感覚がついてきたんじゃないかなと。前までは同じスペースを使ってしまったりとか、空いたスペースを使いきれなかったりした部分があったところが改善されてきました。ただ次節は山梨学院大さんで、去年自分たちより上位で終わっているチームですし、個々の強度や受け渡しのスムーズさもレベルの高いので、その中でも自分たちでリズムを作れるかどうかが大事になってくるのかなと思います。

――お話にあった通り、今後は去年ア女より上位でリーグを終えたチームとの対戦があると思いますが、どのように戦っていきたいですか

 一戦一戦、チームとしても個々としても積み重ねてくれているなと感じています。山梨学院大さんだからといってリスペクトしすぎることなく、また一つ積み重ねられるように目の前の相手としっかりと戦っていきたいと思います。先を見ればまだ強豪との試合はありますが、一つ一つ、というところが大事なのかなと思います。

 

三谷和華奈(スポ4=東京・十文字)

――今日の試合を率直に振り返っていかがですか

 まずは勝ち点3をしっかり東伏見のホームで取れたっていうことが、本当に大きな勝ちだったんじゃないかなって思います。とても嬉しいです。

――風の影響はやはり大きかったですか

 前節の東京国際戦もアウェーで風があったんですけど、それよりかはまだあんまり感じなかったなっていう感じでした。多少は影響あったんですけど、ホームで慣れてるっていうのもあったので、雰囲気的にもあんまり風の影響は考えずにしっかりセカンドボールを拾うとか徹底することは全員で決めていたので。風はあったけど問題なく戦えてたんじゃないかなと思います。

――ご自身の得点シーンを振り返ってください

 4年間やってきて、相手もある程度私の特徴を把握してくる中で、サイドバックの選手が結構縦切りをしてきたのでちょっと仕掛けるの最初難しいかなと思いました。なので一回もう思い切って外してシュートを打ってみようと思って、打ってみたら良いコースにいって相手が弾いてくれたので、思い切って打って良かったなと。今後もクロスばっかりにならないでシュートをどんどん狙っていきたいなと思います。

――押し込む時間も多かったですが、パス回しに関してはどのようなことを考えてプレーしていましたか

 相手がすごい前から激しくプレスかけてくる中なんですけど、しっかり中盤のスペースとか相手のライン間のスペースっていうのはすごい空いてるっていうのはスカウティングで把握していたので、そこをしっかり冷静につけたんじゃないかなって思います。ただやっぱり中につけるボールだったり、ちょっと危険なボールがいくつかあったと思うので、そのタイミングとかはもっと突き詰めていかないといけないなっていうのは今後の課題かなと思います。

――次節に向けて意気込みを聞かせてください

 良い形で関カレ二勝できているので、この勢いのまましっかり次の試合も勝ち切りたいと思いますので、応援よろしくお願いします。

 

浦部美月(スポ4=スフィーダ世田谷FCユース)

――今日の試合を率直に振り返っていかがですか

 前半チームとしてすごく良い入りができて、良い時間帯で和華奈(三谷)が点を取ってくれて、その後もチームも勢いを落とすことなく前後半通して戦えたたと思います。途中押し込まれる時間帯もあったんですけど、全員が声を出して盛り上げて、チーム全体でいくことができたので、追加点も生まれてすごく勝つことができて嬉しいです。

――風の影響はやはり大きかったですか

 相手のクリアボールとか相手のゴールキーパーのゴールキックを含めて、空中に上がったボールはやっぱり風で戻る時もありました。でも逆に高い位置から相手のゴールキックの時にボールが戻るっていうよりも、高い位置からそれを予測して前にかけることができてチャンスもあったので、チームとしては上手く対応できたかなと思います。

――ご自身の得点シーンを振り返ってください

 完全に自分はセンタリングのつもりであげて、その倒れ込んでみたらゴール入ってたって感じなのでまあシュータリングみたいな感じです。

――押し込む時間も多かったですが、パス回しに関してはどのようなことを考えてプレーしていましたか

 結構今週のチームでやる紅白戦でも相手が前からかけてきてっていう展開はあって、それでも落ち着いて中盤を経由しながらパスを回せて、ワンタッチとかではたきながら掻い潜ることができてきていました。それが今日の神大戦でも、相手の立ち位置を見ながらスペースを見つけてっていうのができたのかなと思います。

――次節に向けて意気込みを聞かせてください

 来週もホームで山梨学院大と試合だと思うんですけど、山学さんはやっぱり攻撃とかに勢いがあって、実際に関カレ第1,2節でも得点を量産してるチームなので、まず守備はしっかり、球際のところとか1回、1週間で突き詰めて、自分も積極的にゴールを狙ってホームで2連勝飾りたいと思います。

 

白井美羽(スポ3=ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ)

――90分間振り返っていかがですか

 前半から切り替えの部分など自分たちがやってきたことが出せましたし、試合のペースを握ることができたかなと思います。

――確かに前節に比べるとボールを回す時間やチャンスの数も多かったと思います。攻撃に関してはどのように感じていますか

 宗ちゃん(宗形)と関係を作って、1人が落ちたら裏に抜けるとか、あとは若葉さん(後藤)とか中盤の選手とも関わりを作ることができたと思います。バックラインが裏に蹴る時と中でつなぐ時とをはっきりと判断してくれたので、うまく攻撃できたかなと思います。

――ご自身も前節よりパフォーマンスが良かったんじゃないかと思いますがいかがですか

 前節はロングボールがきた時に相手に競り負けたり先に触られたりするシーンが多くて、不甲斐ないという感じだったんですが、今日は相手の前に体を入れてボールをキープするということを意識して、それが上手くいったかなと思います。まだまだ競るところや収めるところはできていない部分はありますが、そこは成長していきたいです。

――前線でコンビを組む宗形選手とのプレーではどのようなことを考えていますか

 常に目を合わせながら、逆の動きをすることを意識しています。もともとお互いに中盤の選手なので、崩しとかコンビネーションとかに関してはよく話していて、「今のこうだったよね」とかを試合中にも話していますし、とてもプレーしやすいです。

――今季は関カレでの出場機会をつかんでいますが、どのようにチームに貢献していきたいですか

 昨年は中盤をやっていましたが、今はフォワードとして出させてもらっているので、フォワードとしての役割である得点を取ることを目標に頑張っていきたいです。自分のタイプ的にも、自分でドリブルシュートというより味方との関わりや連携で得点につなげていきたいです。

――今後に向けて、どのように戦っていきたいですか

 まずは今日のように前半の入り方で試合が決まることが多いので、セカンドボールを拾ったり攻守の切り替えを早くしたりというところを心がけたいです。あとは相手を見ながらも合わせずに、ア女の良いところを出していきたいです。