第31回全日本大学女子選手権早大11-00-1PK2-31日大【得点】(早大)10分:宗形みなみ(日大)46分: 久保華恩 12月28日、ア式蹴球部女子(ア女)は全国大学女子選手権(インカレ)連覇の道を断たれた。兵庫で行われた準々決勝は今季…

第31回全日本大学女子選手権
早大1-0
0-1
PK2-3
日大
【得点】
(早大)10分:宗形みなみ
(日大)46分: 久保華恩

 12月28日、ア式蹴球部女子(ア女)は全国大学女子選手権(インカレ)連覇の道を断たれた。兵庫で行われた準々決勝は今季1勝1分の日大。10分にMF宗形みなみ(スポ1=マイナビ仙台レディースユース)のゴールで幸先よく先制するも後半開始直後に同点に追いつかれる。その後退場でチームの大黒柱を欠いた日大を相手に攻めあぐね、PK戦の末に敗れた。GK近澤澪菜副将(スポ4=JFAアカデミー福島)は2本ストップしたが後続が振るわなかった。


試合後に泣き崩れるイレブン。西が丘に帰ることはできなかった。

 

 試合がア女ペースで進む中、10分に先制に成功した。MF築地育(スポ2=静岡・常葉大橘)が自陣から大きく前に蹴りだしたロングパスがFW吉野真央(スポ4=宮城・聖和学園)に通り、右サイドから瞬く間に前進。このロングカウンターで逆サイドから抜け目なくペナルティエリアまで走っていた宗形が吉野のクロスにダイレクトで合わせた。聖地、西が丘行きに大きく近づく先制点にア女の喜びは爆発した。しかし後半開始直後、ア女に隙が生まれる。小さくなったクリアを自陣ペナルティエリアで回収されると、そのままクロス性のボールがゴール前に。これを近澤がキャッチミス。同点弾を許した。開始からわずか18秒だった。もちろんア女は動じない。ここから怒涛の攻撃が始まった。その中で試合が大きく動いたのは52分。FW髙橋雛(社4=兵庫・日ノ本学園)の正確なパスに完璧に抜け出した吉野がゴール前で倒された。主審がペナルティスポットを指さしたと同時に、日大の大黒柱であるDF大沼が一発レッドで退場。吉野がこのPKを決められなかったものの、攻勢は大きくア女に傾いた。決勝点も時間の問題だと思われたが、同点の状態で10人になったことで「PK戦に持ち込む」という意思が固く統一された日大の守備を破ることができず。試合は日大の思惑通りPK戦に。近澤が渾身のセーブを2本も見せたが、髙橋、宗形、築地が決めることができず2-3で敗戦となった。優勝候補筆頭だったア女がまさかのベスト8敗退。兵庫の地で涙に暮れた。


ベスト4入りが決まり喜ぶ日大の姿は屈辱的な光景だった

 

 「もし主審がレッドカードをすぐさま出していれば」(吉野がPKを蹴ろうとしてから2分間の審判協議を挟みイエローカードがレッドカードに変わった)、「そもそも中1日の過密日程の影響で延長戦が行われないのがおかしい」などなど、筆者が思うところはたくさんある。ただ、後半に13本放った中で勝ち越せなかった部分が一番の敗因であることは間違いない。後半の失点でもなく、PKでもない。

 振り返ってみれば今季の公式戦、先制されたゲームで勝利したのは1試合のみだった。先制されることが少ないことは確かだが、最後まで1点を巡る戦いで勝利しきった試合は数少ない。特に後期では大宮アルディージャVENTUS戦(●0-1)や3戦全て0-1で敗戦した東洋大戦、帝京平成大戦(●1-2)といった強豪相手だけではなく、十文字学園女子大戦(△1-1)や東京国際大戦(△1-1)など、下位チーム相手にも決定機を迎えながら勝ち切れなかった試合があった。そういった勝負どころでの得点力がインカレという大一番で響いた形となった。


後半の13本の中にはポストやバーに嫌われ、あと一歩というプレーに頭を抱えるシーンも多かった

 

 年が明けた6日、西が丘では日本一に輝いた東洋大が笑顔の花を咲かせていた。関カレ、皇后杯関東予選、そしてインカレと主要タイトルを総なめだ。個でも組織でも1年間を通して見せた戦いぶりは盤石であった。まさに2022シーズンは東洋大の1年だったと言わざるを得ない。ア女も関東リーグを除けば東洋大に全敗を喫していた。全て1点差だった。


9月15日の東洋大戦の敗戦直後。決勝でのリベンジは叶わなかった

 

 インカレ決勝の前日、東伏見には仲間との最後のサッカーを楽しむア女の姿があった。アップからミニゲームまで笑顔の絶えない2時間の後、円陣では4年生から「来年は日本一を」と、後輩たちは王座奪還という使命を託された。

 今季は確かな実力と様々な名場面を見せてくれた。前半戦の関カレ11戦3失点という無双っぷり、苦しい時期にもかかわらず決勝に進出した皇后杯予選、なでしこリーグ勢相手に3連勝しプロ相手に互角以上に戦った皇后杯本戦。挙げればきりがない。それでもやはり物足りなさを感じさせる。ア女に無冠は似合わない。結果にこだわり、タイトルにこだわり、そして日本一のトロフィーを掲げるア女を再び見せて欲しい。

 

『雪辱果たせ』


次のステージへと進む4年生、来季に向かう1~3年生、それぞれが新たなスタートを切った

(記事 前田篤宏、写真 前田篤宏、大幡拓登)

早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK◎1近澤澪菜スポ4JFAアカデミー福島
DF夏目歩実スポ3宮城・聖和学園
DF13浦部美月スポ3スフィーダ世田谷FCユース
DF15田頭花菜スポ2東京・十文字
→62分後藤若葉スポ3日テレ・メニーナ
MF三谷和華奈スポ3東京・十文字
MF井上萌スポ4東京・十文字
MF14笠原綺乃スポ3横須賀シーガルズJOY
→76分18白井美羽スポ2ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ
MF19築地育スポ2静岡・常葉大橘
MF26宗形みなみスポ1マイナビ仙台レディースユース
FW10髙橋雛社4兵庫・日ノ本学園
FW11吉野真央スポ4宮城・聖和学園
◎=ゲームキャプテン