あらかじめ練習メニューやスケジュールが伝えられることも、ましてや練習開始前のミーティングで戦術的なレクチャーが行われる…

 あらかじめ練習メニューやスケジュールが伝えられることも、ましてや練習開始前のミーティングで戦術的なレクチャーが行われることもなかった。

 それでも浦和レッズは始動3日目の15日から、いきなりゲーム形式の練習をスタートさせた。ハーフコートでの8対8に加えて、2人のフリーマンを加えた9対9、そしてフルコートでの11対11とめまぐるしくメニューが変わっていく。

 ゲームに必要なフィジカルは、ゲームのなかで作られる考え方が根底にあるからか。練習の合間に、コーチ陣から何度も「チャレンジ!」という大声が響いた。

 前日14日に行われた2024シーズン新体制発表記者会見。ノルウェー出身のペア・マティアス・ヘグモ新監督は、4-3-3システムを採用すると明言した上で、攻撃的なスタイルのカギを握るポジションとして左右のウイングをあげた。

「前線のワイドのところ、ウイングの選手たちが高いポジションを取り、そこから裏を取ることができる形を目指している」

■岩尾「最後の局面に繋がる大事な要素」

 一夜明けた公開練習。不動のCBコンビ、アレクサンダー・ショルツとマリウス・ホイブラーデンが配置された、主力組と見られるチームのウイングでは、左で大畑歩夢関根貴大が、右ではFC東京から完全移籍で加入した渡邊凌磨がプレーした。

 新体制発表会見で、2列目やウイングを含めて「どのポジションでも、全力でプレーする」と語っていた渡邊は、周囲との擦り合わせが大事だと力を込めた。

「ワイドは考えることが多い。自分は一人で突破するタイプでもないので、(ワイドだと)そのあたりも考えていかなきゃいけないですね」

 一方でウイングを使う側は、新戦術へどのようなイメージを抱いているのか。

「最終局面はウイングと1トップに仕事をしてもらうなかで、彼らにはできるだけストレスフリーというか、優位な状態で仕掛けてほしい。その意味で中盤の3人が、どれだけ最終ラインと繋がっていけるか。3人目の動きや、空いている人、空いているスペースをいいタイミングで使えれば(ウイングが)前を向けるので、そこが最後の局面に繋がる大事な要素だと、中盤の人間としては考えています」

 こう語ったのは主力組のアンカーを務めた岩尾憲だ。自分により大きなプレッシャーをかける意味で、背番号を「19」から「6」に変えた35歳は、エニカット・パンヤや中島翔哉、早川隼平らが務めたインサイドハーフとの連携を含めてこう続ける。

「監督が正解とするイメージや情報をいち早く自分の頭に取り込んで、局面、局面でそれらを体現していくためにも、キャンプ中にはたくさん失敗してもいいかなと。監督としっかり話をしながらですけど、そういう時間の使い方をしていきたい」

 浦和ではこのオフに、攻撃陣を中心に数多くの選手が入れ替わった。相互理解を深めていくキーワードとして「失敗は成功の母になる」と力を込めた岩尾は、2011年に湘南ベルマーレでプロになってから、初めてと言っていいオフを過ごしていた。

(取材・文/藤江直人)

(後編へ続く)

いま一番読まれている記事を読む