東京都サッカートーナメント 学生系の部 予備予選 1回戦早大21-01-00明治学院大【得点】(早大)22’…

東京都サッカートーナメント 学生系の部 予備予選 1回戦
早大1-0
1-0
明治学院大
【得点】
(早大)22’駒沢直哉 82’山市秀翔
(明治学院大) なし

 11月にリーグ戦が終わり4年生が引退してから早1カ月、ア式蹴球部(ア式)の新体制での戦いが幕を開けた。新体制初陣となるのは東京都サッカートーナメント学生系の部予備予選。この戦いを勝ち上がると、来年の天皇杯出場を懸けた天皇杯予選の本戦に出場することができ、チームの日本一という目標を達成するためにも、また新体制の試金石となるという意味でも重要な大会だ。初戦の対戦相手はリーグ戦3部の明治学院大。試合は序盤からア式がボールを握る展開になると、22分にFW駒沢直哉(スポ3=ツエーゲン金沢U18)のゴールで先制に成功する。後半は相手の反撃に一転バタつく時間も見られたが、粘り強い守備で対応し追随を許さない。すると82分にMF山市秀翔(スポ2=神奈川・桐光学園)が豪快なミドルシュートを決めリードを広げる。そのまま試合は終了。2-0で明治学院大を下し、新体制初戦を白星で飾った。

 


先制点を決め喜ぶ駒沢(左)とDF石川真丸(スポ3=名古屋グランパスU18)

 序盤から主導権を握ったのはア式。13分にはゴールキックから素早く攻撃を展開し、クロスに山市が合わせるもこれはわずかに枠の外へ。20分にも石川がMF成定真生也(スポ3=神奈川・日大藤沢)とのワンツーで一気にペナルティエリア内に侵入するが、シュートは相手GKの好セーブに阻まれる。それでも22分、ビルドアップからピッチを広く使った攻撃を見せると、MF光田脩人(スポ3=名古屋グランパスU18)、MF谷村峻(スポ2=FC東京U18)、DF佐々木奈琉(社2=新潟・帝京長岡)、MF森山絢太(スポ2=兵庫・三田学園)、再び佐々木とボールをつなぎ、佐々木がクロスを上げる。これは味方に合わないが、こぼれ球を拾った光田が石川にボールを渡し、石川が再びクロス。このクロスが相手に当たってコースが変わると、こぼれ球を駒沢が詰め先制点を奪う。その後もチャンスをつくるア式。33分には森山、39分には成定がクロスからシュートを放つもこれはわずかに枠外へ。さらに41分には駒沢、43分には谷村が石川とのパス交換からゴールを狙うがいずれも相手GKの正面に飛んでしまう。決定機を多くつくりながら、追加点は奪えずに前半を終えた。

 


シュートを放つ山市

 後半になると一転バタつく時間も出てきたア式。相手の速攻などからチャンスをつくられる時間も増えるが、公式戦デビュー戦となったGK北村公平(文構3=神奈川・桐光学園)やDF神橋良汰(スポ3=川崎フロンターレU18)を中心に落ち着いた対応を見せ、失点は許さない。ア式のチャンスは68分、途中出場のMF松尾倫太郎(人3=千葉・八千代)が左サイドで仕掛けクロスを上げると、中にいたこちらも途中出場のMF東廉(スポ3=清水エスパルスユース)がワントラップからボレー気味のシュートを放つが、これも枠を外してしまう。そのまま互いに次の1点を奪えず試合は終盤に突入する。そんな中82分、ピッチ中央でボールを受けた山市がルーレットで相手DFを1枚はがすと、迷わず左足を振り抜く。相手GKが一歩も動けない素晴らしいコースにこのシュートが決まり、待望の追加点を奪う。試合はそのまま2-0で終わり、3年生以下だけの新体制初戦で白星スタートを切った。

 


味方に指示を送る北村。公式戦デビュー戦となったが、落ち着いたプレーを見せた

 立ち上がりからア式が主導権を握ったこの試合。昨季からの攻撃的なサッカーを継承し、数多くのチャンスをつくった。しかし、シュートは14本放ちながらもゴールネットを揺らせたのは2回。結局サッカーは相手より1点でも多くゴールを奪うスポーツであり、得点に結びつかないと意味がない。兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)も「いいプレーで終わっても、結果につながらなかったら何も反映されないところは昨シーズンに身をもって体感した。1部に上がれなかった、あれを決めとけばというシーンはたくさんあったので、それをどれだけ今年に生かせるかというところでは、勝ったけど満足は全然できない内容」と昨季からの課題、最後決め切るところについてまだまだ改善の余地があることを強調した。加えて後半開始からはバタつき、相手にチャンスもつくられてしまう。相手の決定力に助けられ事なきをえたが、試合運びにも課題があることは明白だ。それでも「(失点)0で終われたというのは良かった」と兵藤監督。確かに昨季は特に試合終盤での不用意な失点が目立ち、結果的に1部昇格を逃す結果にもなってしまった。そんな中で攻められる時間がありながらも、無失点で試合を締めることができた部分は一つ収穫だろう。多くの課題が見えた中、「一つ勝って反省できるというのはいいことだと思う。課題を克服して次の試合につなげていきたい」と駒沢。その言葉の通り、あくまでも勝ちながら結果を残しながら出た課題を修正し、ここからの試合、新たな兵藤早稲田のサッカーを見せてほしい。

(記事 髙田凜太郎 写真 熊谷桃花、近藤翔太、和田昇也)

 

早大メンバー
ポジション背番号名前学部学年前所属
GK北村 公平文構3神奈川・桐光学園
DF佐々木 奈琉社2新潟・帝京長岡
DF増田 健昇スポ2横浜FCユース
DF神橋 良汰スポ3川崎フロンターレU18
DF石川 真丸スポ3名古屋グランパスU18
→89分13佐橋 杜真スポ2名古屋グランパスU18
MF14谷村 峻スポ2FC東京U18
→89分24佐久間 真寛商2静岡・藤枝東
MF10山市 秀翔スポ2神奈川・桐光学園
MF22森山 絢太スポ3兵庫・三田学園
→74分11本保 奏希スポ2JFAアカデミー福島
MF20成定 真生也スポ3神奈川・日大藤沢
→59分15松尾 倫太郎人3千葉・八千代
MF17光田 脩人スポ3名古屋グランパスU18
→59分東   廉スポ3清水エスパルスユース
FW◎駒沢 直哉スポ3ツエーゲン金沢U18
◎=キャプテン
監督:兵藤慎剛(平20スポ卒=長崎・国見)
コメント

兵藤慎剛監督(平20スポ卒=長崎・国見)

――新体制初戦の試合になりましたが、どういうテーマを持ってこの試合に臨みましたか

 1年間やらせてもらって、3年生以下にも今年やっていたサッカーはだいぶ浸透してるところもあったので、それをしっかり継続させていきながら、プラスアルファどういうアクセントを加えていくかというところでした。ただ、まだなかなかそこまではいけてないという中で、今までやってきたことがどれだけ出せるのかなというゲームで、チャンスはつくれるけど点が取れなかったです。前半で3点は最低でも取れたかなと思っていたので、そこがやっぱり0点だと、事故が起きたり、後半自分たちがバタバタする時間をつくったのも、そこで(点を)取れずに気持ちの余裕がまだまだないのかなと思います。1点でも気持ちに余裕はつくってほしいのですが、(点をもっと取ったほうが)試合を楽に運ぶことはできたので、ゲーム運びとかはまだまだ課題かなと思いました。

――前半得点こそ1点でしたが、ボールはある程度持つ時間が長かったと思いますが、監督にはそこはどう映っていましたか

 ボールを動かし相手のギャップを取りながら、相手がされて嫌なことを要所要所で出せたのかなと思いますが、結局ゴールを奪うスポーツなので、いいプレーで終わっても、結果につながらなかったら何も反映されないところを昨シーズンに身をもって体感しています。1部に上がれなかった、あれを決めとけばというシーンはたくさんあったので、それをどれだけ今年に生かせるかというところでは、勝ったけど満足は全然できない内容です。勝ちながら、一つ一つ課題を潰していくしかないのかなと思うので、まず、(失点)0で終われたというのは良かったのかなと思います。

――4年生が引退されて新チームになりましたが、これからのチームには、どういう特徴とか色があると思いますか

 4年生の方が多分、個々に特徴のある選手は多かったと思います。なのでチームとしてというところでは、まとまりはこの下の学年の方あるのかなとも思います。その結束力というところをどう反映させていくのかというところと、小さくまとまる集団であってほしくないので、この中から飛び抜ける選手をしっかり中で育てていくことが大事なのかなと思います。

――その中で、今日のスタメンの選考に意図はありましたか

 この1年間の積み上げと、ここ最近のパフォーマンスというところを基準にしてメンバー選びました。

――来週2回戦がありますが、どのような準備をして臨みたいですか

 今日の課題をしっかりと抽出して、1週間という限られた時間の中で修正できるところをしっかりして、まずはやりたいかなと思います。

FW駒沢直哉(スポ3=ツエーゲン金沢U18)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 新チームが始まってまだ2週間ぐらいなのですが、この天皇杯予選が来シーズンにつながりますし、新チームとして今日はまず勝つのが絶対条件でした。2週間では新チームの色というのはまだあまり出せてなくて、昨シーズンのと同じ感じでいこうと試合に臨みました。今日の試合で追加点を取れたことと、しっかり最後まで0で守り切ったということは、昨シーズン通して感じた課題を少し克服できたかなと思います。

――初戦で口火を切る先制点を挙げました。そのプレーを振り返っていかがですか

 今日は自分がキャプテンマークを巻いての出場になりました。チームの先頭に立って、キャプテンマークを巻いて試合に挑んでということで、先制点はもちろん意識してました。泥くさいかたちではありましたが、点を取れたことは良かったなと思います。

――キャプテンとして試合に出たことで、意識していたことはありますか

 少し静かな選手が多い中で、意識的に声を出したというのはあります。キャプテンが一番声を出さないと(周りも)ついてこないと思いますし、プレーで引っ張っていくのは意識していました。声を出すことで雰囲気というのはつくれると思いますし、静かなままだと相手のペースになることもあると思います。ただ、まだまだチームとしての課題だとは思います。

――プレーでも競り合いで負けないところや球際のところなど、より一層の覚悟が見受けられましたが 、そこに関しては

 相手のセンターバックと自分で五分五分のボールが入っても、そこで絶対負けずに勝負することは自分としても自信はありますし、そこで攻撃の起点になれたのは良かったと思います。ですが、今日の内容で2点しか取れなかったことや、まだ決め切れる選手が少ないのは課題だと思います。

――これからのア式を引っ張っていく代になりました。その上で意識したいことことは ありますか

 これまでの先輩がやってくれてきたことをしっかり自分たちも継承するっていうのはあります。ただ、4年生としてチームを引っ張るには結果が一番だと思います。結果が伴わないと個人としては何も意味ないと思っているので、結果で示していきたいなと思います。

――2回戦への意気込みをお願いします

 今日の試合は自分たちとしては課題がすごく見つかった試合だと思います。一つ勝って反省できるというのはいいことだと思うので、1週間しかありませんが、課題を克服して次の試合につなげていきたいなと思います。

GK北村公平(文構3=神奈川・桐光学園)

――公式戦初出場となりましたが、振り返ってみていかがでしたか

 自分のプレーとしてはベストではなかったかなと思っていますが、後ろは0で抑えることや複数得点で勝つところはチームとして達成することができたので、非常に前向きかなとは思っています。

――新体制初戦で硬さもあったと思いますが、後ろから見ていてどう感じていましたか

 硬さはありましたけど、本当に100周年目の重要な第一歩目ということで、自分もモチベーションとか意気込みというのは相当なものがありました。チーム全体としても、それをパワーにできてたかと言われればそうじゃないかもしれないのですが、いいものに変えられたのではと思っています。後半は自分たちの持ち味を出せたかなと思っています。

――個人のプレーにはどのような手応えがありましたか

 自分の武器であるキックとかビルドアップのところはすごく意識していました。本当にまだまだですけれども、ある程度デビュー戦の緊張感もある中でやれたというのは、一つ自分の中で自信になったかなと思います。

――初めにもあった通り、チームとして無失点で終われたことも大きかったと思いますがそこはいかがですか

 監督からも無失点でということを特にハーフタイムに集中的に意識を向けられましたし、自分たちとしても守備陣はやっぱり0で抑えることを今年本当にこだわっていくというのは、チームとしても掲げているところでもあるので、チームとして初陣を0で抑えられたことは非常に大きいかなと思います。

――これから最高学年としてこのチームを引っ張っていく立場だと思いますが、そこの自覚みたいなのはどのように感じていますか

 来年度主務ということで、一個上には山田(怜於、社4=神奈川・鎌倉)がいましたけど、やっぱり背負うものが相当大きいんだと改めて自覚をしていますし。本当に今まで以上の覚悟と責任感というのを自分の中で持って、魂を燃やし続けて、1年間走り抜けたいなというふうに思っています。

――去年の山田選手のような主務と選手の両立というところは目指していきたいですか

 そうですね。本当にいい前例というか、山田が先陣を切って引っ張ってくれていたので、自分は本当にそれを超えられるように。自分はもう一つスーパーな主務になりたいと思っているので、いろんな人への感謝を忘れずに来年1年間取り組んでいきたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

 相手がどこになるかはまだ分からないですけど、相手がどこになろうと関係ないと思っていますし、自分たちの攻撃的なサッカーというのは去年確実に積み上がっていると思うので、それを体現しつつしっかり0で抑えて勝てたらなと思います。

MF山市秀翔(スポ2=神奈川・桐光学園)

――試合全体を振り返ってください

 前半は駒沢君(駒沢直哉、スポ3=ツエーゲン金沢U18)が良いかたちで点を入れてくれましたけど、4点くらい前半で決めれたと思います。だけど、そこを外しちゃって1-0というかたちで後半に持っていって、後半も苦しい状態が続きましたけど自分のゴールで良いかたちをつくることができたので良かったかなと思ってます。

――前半は終始ボールを握れていた中、後半は押し込まれる時間もありましたがプレーしていてどのような違いがありましたか

 前半はやり切ったかなと思います。サイドいった時もやり切って終わっていました。逆に後半は全部(ボールを)各駅で回しちゃっていたりとか、前向ける時に向けなかったり、刺せる時に刺せなかったり、チャレンジするボールが少なくて相手に持たれてしまいました。でも持たれている中でしっかり守り切れたというのは成長できた部分でもありますし、点を決められなかった部分は課題でもあるなと思っています。

――2点目は見事なミドルシュートでした。振り返っていかがでしたか

 新10番をもらってすごいプレッシャーの中、それをしっかり結果で証明し続けていくことが10番の役割だと思いますし、そこはしっかりやってやろうという気持ちで試合に入って、ああいう練習しているかたちでゴールを決められたことはすごいうれしいなと思います。

――昨季は右サイドでのプレーが中心だった中、今日はボランチでのプレーになりました。感覚的なところで何か変わったところや手応えはありましたか

 右サイドをやってる分、右サイドでは前への関わりとかそういう部分を学ばさせていただいて、最後のゴールもそうですけどああやって前に関わってシュートで終わるという右サイドでやってたことが出たなと思いますし、そういう部分で監督に右サイドで自分のことを起用してもらって、前への関わりっていうことを意識付けさせてもらったからああいうかたちが出たのかなって思います。

――声という部分でチームを引っ張っていく姿勢みたいなものも感じられましたが何か意識されてましたか

 前半はちょっと静かだったかなと思っています。後半駒沢君とかから「もっと喋れよ」という話をされて自分の長所を考えた時に声でもチームを鼓舞できるところだと再認識できて、しっかりこのチームを自分が引っ張っていくんだ、先頭に立って引っ張っていくんだという気持ちが現れたかなというふうに思います。

――最後に次戦への意気込みをお願いします

 どっちと当たるかまだ分からないですけど、慢心することなく過信しすぎることなく、でも自信を持って謙虚で冷淡に勝ちたいと思います。