後藤啓介インタビュー後編2024年、ジュビロ磐田の新星がベルギーで躍動する。Jリーグデビュー戦でいきなり2ゴールを挙げ、…

後藤啓介インタビュー後編

2024年、ジュビロ磐田の新星がベルギーで躍動する。

Jリーグデビュー戦でいきなり2ゴールを挙げ、高原直泰の持つクラブ最年少得点記録を更新。リーグ戦33試合に出場し7得点の活躍を見せ、2024年1月1日よりベルギーのジュピラー・プロ・リーグに所属するRSCアンデルレヒトへと1年間の期限付き移籍を果たした。日本を背負って立つ規格外の大型FWににジュビロ磐田、RSCアンデルレヒト、そしてさりげなく話題の"駄菓子愛"について聞いてみた。

前編:『磐田から欧州へ移籍の後藤啓介の2024年の目標「日本代表に入るために」選んだ道』



ジュビロ磐田で攻撃の要として活躍した後藤啓介 Photo by H.Fukada/Kumafu

――幼いころから海外サッカーをよく見ていたそうですが、特に好きだった選手は誰ですか?

後藤啓介(以下同) アイドルは(リオネル・)メッシですね。海外サッカーを見始めるきっかけになったのも、メッシがいたころのバルセロナですから。メッシのほかにも(アンドレス・)イニエスタ、シャビ、ブスケッツ、ペドロ、(ダヴィド・)ビジャとかがいて面白いサッカーをしていましたよね。

 そのなかでも輝いていたのがメッシでした。今もアルゼンチン代表の試合でメッシのプレーは気にして見ています。

――ほかに欧州で見ているリーグやクラブはありますか?

 アンデルレヒトの試合は移籍前から見るようにしていました。FWの(カスパー・)ドルベリという選手がライバルになるので、その選手の動きを見ることが多いです。

――その選手と比べて、後藤選手のストロングポイントはどこですか?

 動き出しの回数、守備のハードワーク、プレーに対する気持ちの見せ方ですかね。ただ、経験値が違うので。彼はデンマーク代表としてW杯にも出ていますし、これから間近で見て学んでいけたらなと思います。

――ちなみに、参考にしている選手はいますか?

 FWだと(アーリング・)ハーランドや(ロベルト・)レバンドフスキ、中盤だったら(ケビン・)デ・ブライネですかね。ガビやペドリといった近い世代の選手も見ています。チームというよりは人に注目することが多いですけど、特定の選手だけを追い掛けることはないです。FWばかりに目がいくこともないですね。

――U-18まではFWではなく、ボランチやCBでもプレーしていた後藤選手。以前は「サイドもトップ下もボランチもCBもできるような超万能型になりたい」と語っていましたが、FWとしてプロで1年間経験した今もその考えは変わらないですか?

 アンデルレヒトにFWとして獲ってもらったので、このポジションで結果を出したいという気持ちが今は強いですね。ただ、オールラウンダーなところが自分の良さなので、その特徴を生かしつつ、与えられたところで質の高いプレーができれば。ポジションにこだわりはないです。言われれば、どこでもやります。

――ボランチやCBでプレーしていた経験は、FWとしてプレーする上で役立っていますか?

 出し手のタイミングもわかるし、受け手のタイミングもわかるし、相手DFが考えていることもわかる。どのポジションもやっていたからこそ、全員の気持ちがわかりますね。「ここに走ってほしいんだろうな」「ここに出したいんだろうな」「ここで受けてほしくないんだろうな」みたいなことを常に考えながらプレーしています。

――後藤選手はスタジアムの雰囲気を変えられる選手だと思うのですが、気持ちを前面に押し出す熱いプレースタイルは昔から変わらないですか?

 サッカーが好きだから熱くなっちゃうんです。気持ちを見せるのは当たり前のこと。別に下手でも強くなくてもいいけど、サッカーをやるなら気持ちがないと始まらないです。
 
 気持ちを忘れちゃったら自分らしくない。自分はほかの選手よりも気持ちをはっきり表現するし、サッカーに対して熱い想いを持っているから、スタジアムの雰囲気を変えられる選手と言ってもらえるんじゃないですかね。
 
 メッシを見ても(ズラタン・)イブラヒモビッチを見ても、自分にものすごく自信を持っているし、サッカーを愛しているからこそ、スタジアムを沸かせるプレーができる。歳をとっても世界のトップでプレーし続けられる理由だと思います。

――プロサッカー選手と高校生活を両立させた1年間でしたが、いかがでしたか?

 通信制に変えたのでそこまで大変ではなかったですけど、チームがオフの日に授業を受けていたのでけっこう忙しかったですね。

――ちなみに、トップチーム昇格の連絡がクラブから届いたのはいつ頃でした?

 高校2年生の10月に言われましたね。体育祭の前日だったのでよく覚えています。「やっとだな」というか。トップに上がりそうな雰囲気はその前からあったので、驚きはなかったです。もし上がらなかったら、「上げてください」って言いに行くつもりだったので。

――「20歳で海外へ行く」と決意していたということは、英語も意識して勉強していた?

 いや、特にしていないんですよ(笑)。このあいだベルギーに行ったら、聞くほうはできていたので、あとは話すほうができるようになれば。単語を覚えれば全然問題なさそうです。片言でも相手になんとか伝わればそれでいいかなって感じですね。

――ちなみに、好きな漫画は『ハイキュー!!』なんですよね?

 はい、小さいころから好きでした。バレーもサッカーも同じチームスポーツですし、個性が強いキャラクターたちが力を合わせて戦っていくのが好きで、小学生のころから見ていました。お父さんがもともとバレーをやっていたので、自分も小さいころちょっとやっていたことがあるんです。好きなキャラクターはやっぱり主人公の日向翔陽ですね。

――最後に、大好きな駄菓子について。シーズン中からクラブ公式SNSなどを通して、後藤選手の"駄菓子愛"がびしびし伝わってきました。

 駄菓子好きキャラはこれからも貫き通します! 特に好きなのは「蒲焼さん太郎」とか「サワーペーパー」とか「ロールキャンディ」です。ぜひ、ベルギーにたくさん送ってほしいですね(笑)。

プロフィール
後藤啓介(ごとう・けいすけ)
2005年6月3日生まれ、静岡県出身。191cm、70kg。カワイ体育教室SC―磐田U-15―磐田U-18―磐田。2023シーズン開幕前にトップチームに昇格し、J2リーグ33試合出場・7得点を記録。2024年1月1日からRSCアンデルレヒト(ベルギー)へ期限付き移籍