10位でシード権を獲得した大東大がガッツポーズでゴールインした(C)産経新聞社 第100回大会となった2024年箱根駅伝は、青学大の2年ぶり優勝で幕を閉じた。一方で、復路の16校一斉スタートによる順位混乱や、選手が白バイと接触寸前になるなど…

10位でシード権を獲得した大東大がガッツポーズでゴールインした(C)産経新聞社

 第100回大会となった2024年箱根駅伝は、青学大の2年ぶり優勝で幕を閉じた。一方で、復路の16校一斉スタートによる順位混乱や、選手が白バイと接触寸前になるなど、運営面の課題も噴出した。

【関連記事】【箱根駅伝】2023総集編 男を上げたベスト3…フリーザ様は2位

①シード争い混乱

 1月2日の往路では青学大が、従来のタイムを3分近く更新する5時間18分13秒の驚異的な新記録で優勝。規定で、復路は「先頭走者から10分以上の差をつけられたチームは一斉スタート」。往路8位だった大東大以下、史上最多タイ16校が3日の復路6区から一斉スタートした。

 見た目の順位と、実際の順位が違うため、混乱を招いた。テレビでは順位確定次第、時間差でテロップが流れたが、視聴者にもわかりにくく、不満の声が多数あがった。

 とくに10位以内に与えられるシード権争いは多数チームが絡み、見た目の順位と違うため、判別は困難を極めた。9区を終えた時点で、10位東海大と11位大東大のタイム差はわずか4秒。10区のゴールでは東海大が先着したが、シードを獲得したのは、その後にガッツポーズしてゴールした大東大だった。

 復路スタートの繰り上げタイムが大きかったチームは、先にゴールしても、対象チームがゴールするまで記録が確定しない。往路8位の大東大には、16位東海大と2分39秒差の貯金があったため、見た目とは反対の「逆転現象」が起きた。

 現場も困惑した。12位だった国士舘大の小川監督は「タイムはテレビと、独自に計測もしたが、特にアンカーはタイム差を計るのが難しかった」とこぼした。選手もスタッフ関係者も「見えない敵」と戦い続けていた。

②広がる実力差

 一斉スタートは、箱根駅伝が公道で行われるため、渋滞などを考慮した交通規制が関係している。青学大が往路新記録をマークした影響は大きいが、記念大会で昨年より3校多い23チームが出場したことで、下位との差がさらに拡大した。

 繰り上げスタートも行われた。規定では「復路は先頭走者が通過してから20分(往路は3区まで10分、5区まで15分)」が経過して走者が到着しないチームは、次の区間の走者を出発させるというルール。最下位だった山梨学院大は9区、10区と2区間連続で繰り上げスタートを余儀なくされた。

 100回記念大会は予選会が全国の大学に門戸が開放された一方で、関東学連選抜の出場が見送られたことへの批判もあった。出場枠の問題も、一斉スタートや繰り上げスタートによる交通対策に関連してくる。

③白バイと接触寸前

 ヒヤリとする場面があった。小田原中継所で、首位でタスキを受けた青学大7区の選手が中継点エリアから道路へ飛びだす時に、スピードを出した白バイと危うくぶつかりそうになった。安全対策で選手を先導する白バイでも、今回のような不測の事態は起こりうる。先に行われた12月の福岡国際マラソンでは、運営車両と接触して転倒した選手が、右ひじを骨折する事故が起きている。

 全国的な人気を誇る箱根駅伝の伝統を守り、未来にもつなげるために、100回大会を検証し、安全で、混乱を招かない選手ファーストの改善が求められる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

【関連記事】箱根駅伝、完全V果たした青学・原監督と新庄ビッグボスの 「共通点」とは

【関連記事】【箱根駅伝】2023総集編 男を上げたベスト3…フリーザ様は2位

【関連記事】箱根駅伝ハプニング集 警察暴走、犬で裸足で区間新