ジャパネット杯「春の高校バレー」第76回全日本バレーボール高等学校選手権大会は4日、東京・千駄ケ谷の東京体育館で開幕し、8日まで熱い戦いを繰り広げる。高校生でただ一人、女子日本代表登録選手に選ばれた東京・共栄学園の秋本美空(2年)は、代表活…

ジャパネット杯「春の高校バレー」第76回全日本バレーボール高等学校選手権大会は4日、東京・千駄ケ谷の東京体育館で開幕し、8日まで熱い戦いを繰り広げる。高校生でただ一人、女子日本代表登録選手に選ばれた東京・共栄学園の秋本美空(2年)は、代表活動で得た成長を武器に、1年ぶりの全国大会で日本一を目指す。

女子で下北沢成徳の3冠なるかが注目される今大会。同じ東京代表、共栄学園の秋本が目標を掲げた。

「下北沢成徳を倒して日本一を目指します」

開幕前日の3日には、大会に出る4校と千葉県内で合同練習。昨夏の高校総体8強の鹿児島女や、昨年3月の全国私学大会4強の旭川実(北海道)からセットを奪い、全国上位の力を示した。

「あまりよくなかった。スパイクを拾われた本数が多かった」と秋本。スパイク、ブロック、そして守備でも貢献しながら納得していない様子が、かえって期待を抱かせる。

2012年ロンドン五輪の銅メダリスト、大友(旧姓)愛さんの長女。184センチの高さに加えてセッターもこなせる器用さを持ち、昨年3月には日本代表の登録選手に初選出された。直後の代表合宿では「スパイクが意外と決まった」と自信を得た。秋のパリ五輪予選で活躍した和田由紀子(JT)のプレーを観察し「(スパイクの)打ち出しを早くしたり、コーナーを狙ったりと、まねをした」と貪欲に吸収した。

さらに成長を促したのがU19(19歳以下)世界選手権(8月、クロアチア)。自身初の世界大会で先発出場を重ね、世界との戦い方を実感した。自分より高い相手のブロックに対して「間を意識したり、奥の方に打ってみたり、日本ではできないことをできた」とスキルを磨いた。

初戦は開会式直後の第1試合。相手は日本代表主将、古賀紗理那(NEC)の母校・熊本信愛女学院だ。その先も大阪国際滝井・大阪国際、旭川実、高校総体準優勝の東京都市大塩尻(長野)と、強豪校が続くと予想される。前回は準々決勝で敗れて8強止まりだったが、秋本は「準決勝まではいける」と言い切った。

その準決勝で対戦が有力なのが下北沢成徳だ。今季は6月の関東大会決勝と高校総体東京都予選、11月の春高東京都予選とすべて負けている。「どんな形でも勝ちたい」。ジャイアントキリングを誓った。(只木信昭)

★秋本の母は春高の出場経験なし

秋本の高校での全国大会出場は昨年の春高に続いて2度目。高校総体は東京の出場枠が2で、昨年度も今年度も都予選で敗れている。一方、母の愛さんは春高の出場経験がない。宮城・仙台育英高出身だが、同県は古川商(現古川学園)が強く、出場権を得ることが難しかった。それでも年代別世界選手権で活躍するなどしてNECに進み、日本代表でも活躍した。愛さんは昨年、娘の春高での活躍を「本当にビックリしたし、楽しんでいることが親としてはうれしかった」と涙ぐみながら語っていた。

■秋本 美空(あきもと・みく) 2006(平成18)年8月18日生まれ、17歳。神奈川県出身。東京・共栄学園高2年。アウトサイドヒッター。母は2012年ロンドン五輪銅メダリストの愛(旧姓・大友)さん。小2で競技を始め、共栄学園中3年時に全国中学大会で優秀選手、JOC杯全国都道府県対抗中学大会でオリンピック有望選手に選ばれ、21年6月のアジアユース選手権で優勝。23年に日本代表候補に初登録された。同年世界ユース選手権代表。身長184センチ、体重60キロ、最高到達点301センチ。